機密保持契約(NDA)を締結することが重要である3つの理由

2014/07/19

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「機密保持契約(NDA)」は、名前としては有名です。ただ、そもそも何故この契約が必要なのか、そして締結時にはどのような点に注意すべきなのか、実は良く理解していない……という人も多いのでは?個人事業主や小規模企業経営者など、スモールビジネス事業主にとって特に重要なポイントに絞って解説します。


機密保持契約【NDA=Non-Disclosure Agreement】
一般に公開されていない情報を入手する場合に、その情報を外部に漏らさせないために交わす契約のこと。 引用:http://e-words.jp/w/NDA.html

機密保持契約が必要になる場面

本来なら自分や自社内の限られた人間のみで保持したい機密情報を、事業上の必要から自社内や他社の人間に教えざるを得ない、ということがあります。例えば、「自社が開発している新商品の大量生産を工場に依頼するにあたって工場に詳細を提示する」、「システム開発を発注するにあたってベンダーに社外秘情報を提示する」......といった場面です。

このような場面では、いわゆる「機密保持契約(NDA)」を締結し、相手に対して機密情報の利用や漏洩を禁止し、万一破った場合には損害賠償請求を行う旨を規定しておくことが一般的です。しかし、こうした「機密保持契約」、何となく慣例として行っているだけで、実際どのような効果があるのか分かっていない人も多いのではないでしょうか?

「機密保持契約」が何故重要なのか理解していないと、その効果を十分に発揮するために必要な条項を入れ忘れたり、相手が契約に違反した場合にどう対処して良いのか分からず時間を徒過したり......といったことになりかねません。「機密保持契約」は何故重要なのか。3つのポイントを理解しておきましょう。

理由1 「営業秘密」と認められれば情報流出を食い止められる可能性があるから

原則的に、「契約」は、契約を行った当事者同士をのみ拘束するものです。どういうことかというと、自分が相手(Aさん)に機密情報を伝え、Aさんとの間で機密保持契約を締結した場合、その契約は、原則としてAさん以外の人(Bさん)を拘束しません。つまり、Aさんが契約を破ってBさんに機密情報を伝え、Bさんが機密情報を使用したとしても、

  1. Aさんに対しては「契約違反」として損害賠償請求を行うことができる(ただし、Aさんが無資力なら結局何も得られない)
  2. Bさんに対して機密情報の使用停止や損害賠償を請求することはできない

ということになってしまうのです。

しかし例外的に、不正競争防止法上の「営業秘密」の場合は、Bさんに対しても「機密情報を使うな」と要求できる場合があります。

※不正競争防止法...営業秘密侵害や現産地偽装、コピー商品の販売などを規制している法律(平成5年法律第47号)

不正競争防止法上の「営業秘密」と認められるためには、単に自分が「これは機密情報だ」と思っているだけでは足りません。実際に「機密情報」として慎重に取り扱うことが必要で、事業上の必要から他人に伝える場合には、機密保持契約を締結する必要があります。

つまり、機密保持契約を締結しておけば、万一相手が契約に違反しその情報を他人に教えても、その他人による情報使用などを食い止められる可能性があるのです。
このような効果を認めさせるためにも、機密保持契約においては、機密の範囲や開示許容者について、明確に規定しておくことが重要です。例えば、相手企業の開発部門担当者に開示するとして、その担当者が別の部署の人に開示するのはOKなのか(又はどういう場合にOKなのか)、契約書上で明確に規定されているでしょうか?

理由2 相手がその情報を元に「ライバル」になることを止められる可能性があるから

上記は「自分が教えた機密情報それ自体」の問題ですが、こちらは、「機密情報を元にした不正な活用」という場面です。例えば、ラーメン屋を経営する自分が画期的なレシピを知り合いに教えたら、その知り合いがそのレシピからインスピレーションを得て別のレシピを考え出し、ライバル店をオープンさせてしまった!というような場合です。

こうした不正な活用を防ぐには、機密保持契約で「競業禁止義務」というものを設定するのが一般的です。「相手方は、自分が教えた機密情報を元に、自分と同一又は類似のビジネスを行ってはならない」といった規定を行いましょう。

理由3 もし相手に機密を漏洩されても特許を取得できる可能性があるから

機密保持契約は、特許との関係でも意味を持っています。

特許の出願をして特許権を得るには、その発明が出願時に「公知」でない(公に知られていない)ことが必要です。そして、機密保持契約を締結せずに他人に発明を教えると、「その時点で当該発明は公知になった」と判断されてしまうおそれがあります。逆に、機密保持契約を締結しておけば、万一相手がその発明について不特定多数の人に漏らしても、特許権を取得できる望みがあります。

従って、将来的に特許出願を行う可能性がある発明について他人に教える場合は、その相手との間で機密保持契約を締結しておく必要があるのです。
特許権との関係においては、機密の範囲がきちんと明示されているかどうかは、特に重要です。また、上記のようにして「公知」になってしまった場合に特許権を取得するには、6ヶ月以内の出願が必要です。万一「公知」になってしまった場合には、速やかな出願を行いましょう。

弁護士 河瀬 季かわせ とき

河瀬季

コスモポリタン法律事務所(東京・音羽)所属。東京大学法科大学院卒業。起業支援など企業法務を得意としており、中小企業などのスモールビジネス事業主に対する、資金調達や労働問題などを含む各種の法務アドバイスなどを行っている。また、エンジニアやテック系ライター、ITベンチャー執行役員の経験がある元IT関連フリーランス・理系出身者であり、特許法などの知的財産法や、電子商取引・ドメインを巡る紛争など、IT法にも強い。個人サイトは「tokikawase.info」、Twitterは@tokikawase

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