ビジネスモデルやノウハウを保護する3つの方法とそれらの関係

2014/07/19

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実際に事業を始める前に、その事業でちゃんとお金を稼げるのか考えなければならないのは当然です。しかし、もう一つ考えるべき事があります。それは、「それでお金を稼げるとして、他の会社等に真似されてジリ貧にならないか」ということ。「ビジネスモデル」や「ノウハウ」等を、どのように保護すべきでしょうか。


ビジネスモデルやノウハウ等を保護する必要性

この世のほとんどの「ビジネスモデル」や「アイディア」は、最初に考えつくのは大変であっても、誰かが考えついてしまうと、他の人が真似することは簡単にできてしまいます。特に個人事業や小規模事業の場合、「ビジネスモデル」や「アイディア」一つを武器に企業して大きく成長することもありますが、大企業に真似をされてしまうと、開発や宣伝に使えるコストの関係で、結局ジリ貧になりかねません。

自分が思いついた「ビジネスモデル」や「アイディア」、「ノウハウ」などを法的にどう守るのか。スモールビジネス事業者にとって「ライフライン」といえる問題なのです。

「ビジネスモデル」や「ノウハウ」等を保護するための法律は複数にまたがり、それぞれ保護を受けるために必要な条件と、与えられる保護の性質が異なります。それらの違いを理解した上で、自分の事業をどの手段を用いて守るべきか考えましょう。

特許と実用新案

まず、もっともオーソドックスな保護の手段として考えられるのは特許です。特許制度は比較的高度な「発明」を対象としています。また、特許と似たものに、「実用新案」というものもあります。これは、発明には至らないようなちょっとした工夫も産業上意味を持つことから、小発明というべき「考案」をも保護するために設けられた制度。

つまり、特許で保護される「発明」の方が実用新案で保護される「考案」よりも創作の程度が高度、という関係です。

ビジネスモデルやノウハウは、「発明」と言える高度の創作性が必要

もっとも、特許と実用新案は保護の対象が異なります。特許は学問上の法則や精神活動などを除いた「物」と「方法」の両方が対象ですが、実用新案は特許よりも保護の対象が狭く、「物」に限定されています。

「ビジネスモデル」や「ノウハウ」は「物」ではないので、実用新案法では保護されません。では「方法」か......というと、ケースバイケースです。本稿では詳細は割愛しますが、コンピュータやインターネット、独自ルールのリストなどを用いた一部の「ビジネスモデル」「ノウハウ」は「方法」に該当します。

◆特許と実用新案が保護する範囲

特許と実用新案が保護する範囲

「ビジネスモデル」や「ノウハウ」が保護を受けるには

  • 「方法」に該当する
  • 「発明」に該当する(高度な創作性がある)

という二条件が満たされる必要があるわけです。

特許や実用新案は出願公開されてしまう

特許権や実用新案が認められると、模倣した人だけでなく、たまたま同じことを思いついた人に対しても使用の差し止めや損害賠償が請求でき、独占権を与えられます。しかし、それはあくまで一定期間のもの。そして、法は独占権の代償として、その「発明」「考案」を公開させています。特許の場合は出願公開、実用新案の場合は登録実用新案掲載公報という形で公開され、期間が切れた後は誰でも利用可能となってしまいます。

「ノウハウ」を営業秘密として保護する方法

そこで、「公開されたくないから社内でノウハウとして秘匿する」という手もあります。社内で秘匿される「営業秘密」は、不正競争防止法によって保護されます。ただ、不正競争防止法上の「営業秘密」と認められるためには、以下のような3条件を満たす必要があります。

  1. 秘密として管理されていること
  2. 事業活動に有用な情報であること
  3. 公に知られていないこと

ここで重要なのは、以下の2点。

  • 営業秘密として保護されるにあたっては、「物」でも「方法」でもその他でもOK。対象に制限がありません。
  • 「有用」であれば足りるため、特許や実用新案より創作性が低いものでもOKです。つまり、2の有用性さえ満たせば、後は、1それをきちんと秘密管理し、3公に知られていなければ保護される、ということです。

◆特許と実用新案、営業秘密が保護する範囲

特許と実用新案、営業秘密が保護する範囲

本稿では詳細は割愛しますが、「ビジネスモデル」や「ノウハウ」は、上図における「方法」又は「その他」のどちらかに該当します。

しかし、営業秘密として保護する最大のメリットは要件の緩さではなく、公開する必要がないこと。例えば、コカ・コーラのレシピは「営業秘密」です。もしかしたら特許として保護することも可能かもしれませんが、営業秘密だからこそ、19世紀に発売されてまだなお、そのレシピは門外不出なのです。

もっとも、営業秘密の場合、不正な手段・目的で模倣がされた場合のみが保護の対象となります。また、他社が特許出願してしまった場合は「特許権の侵害」と言われる危険すらあり、「自社は他社による特許出願の前から使用していた」ということを証明しなければなりません。

自分の事業にピッタリの方法を考えよう

以上で挙げたように、考えられる手段は3つあります。保護要件が厳しい反面、権利が安定している特許権。保護の対象が狭いものの、要件は緩やかで一定期間は権利の安定もある実用新案。そして、権利は不安定なものの、保護の対象が広く、公開の必要もない営業秘密。

ここまでを踏まえ、自分の事業が保護すべき「ビジネスモデル」は、どの方法を用いることができ、それが複数ある場合はどの方法がベストなのかを検討しましょう。

弁護士 河瀬 季かわせ とき

河瀬季

コスモポリタン法律事務所(東京・音羽)所属。東京大学法科大学院卒業。起業支援など企業法務を得意としており、中小企業などのスモールビジネス事業主に対する、資金調達や労働問題などを含む各種の法務アドバイスなどを行っている。また、エンジニアやテック系ライター、ITベンチャー執行役員の経験がある元IT関連フリーランス・理系出身者であり、特許法などの知的財産法や、電子商取引・ドメインを巡る紛争など、IT法にも強い。個人サイトは「tokikawase.info」、Twitterは@tokikawase

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