中小企業が資金調達を行う3種類の方法と要検討ポイント

2014/07/19

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企業の運転資金をいかに調達すべきかは、経営者にとって大きな課題です。資金調達には様々な手段がありますが、資金調達を行った結果、会社経営が危うくなる……なんてことになったら本末転倒です。スモールビジネス事業主が押さえておくべき、資金調達の考え方について解説します。


資金調達の方法は大きく3つに分類できる

「資金調達」とは、簡単に言えば、「会社が使えるお金を調達すること」です。会社経営にはお金が必要で、現状でお金がないなら、それを何処かから調達してこなければならない。......という「目的」は非常にシンプルなのですが、しかし、「資金調達」と一言で言っても、その方法は多岐に渡ります。あまりに種類が多すぎて、「資金調達の方法を選択するにはどう考えれば良いのか」が分からない人が多いのではないでしょうか。

資金調達の手段や各手段の相違点、「自分はどの手段を選択するべきか」という考え方について理解するには、まず、「資金調達は大きく3種類に分類できる」ということを理解するのが良いでしょう。

  1. 負債を増やす
  2. 資本を増やす
  3. 既に持っている資産を現金化する

「負債を増やす」とは、「いつか返さなければいけないお金」を借りてくること、つまり借金をするということです。この方法は基本的に、利息を支払うこと、元本を返すことが必要となります。

そして「資本を増やす」とは、「返さなくてもいいお金」を集めること。これは投資家などにお金を出してもらう方法です。この方法は、配当を支払うことが求められますが、会社の業績が悪ければ払わなくても大丈夫。株式発行が典型で、最も多く利用される手段です。

最後に「既に持っている資産を現金化する」とは、手持ちの不動産などの財産を売却したり賃貸しするなどしてお金を集める方法です。

資金調達の方法

以下、それぞれの具体例な方法のうち、スモールビジネス事業に馴染みやすいものについて紹介します。

方法1:負債を増加させる方法

負債を増加させる方法には、借入や社債の発行等があります。この方法の特徴は、会社が返済期日に資金返済の法的義務を負うこと。そして重要なポイントは、「会社(もしくは事業者)の信用力が強く問われる」ということです。

会社の信用力 採るべき手段
借入(ただし担保設定が必要)
新株予約権付社債
普通社債

借入の場合、通常は担保の設定を求められます。お金を貸す側が、「担保さえ押さえておけば、会社に信用力がなくてもお金を貸すことができる」と判断するためです。従って、土地建物などの価値の高い資産が有る場合や、安定した売り上げが見込める事業でなければ利用しづらい手段です。また、金融機関から借り入れる場合、一般には資金の使い道も限定されます。担保となる資産を所有する製造業や、安定的な売上が見込める飲食業、流通業等にとって利用しやすい手段、と言えるでしょう。

社債や「新株予約権付社債」とは

社債には、普通社債と新株予約権付社債があります。
まず、普通社債の場合は、返済予定時点で会社の支払い能力があるかが問題となるため、会社の信用力が非常に重要です。信用力が低い場合は利息を高くする必要があります。

次に、新株予約権付社債とは、当初は社債であるものの、株式への転換が権利又は義務になっている社債のこと。一般的には、投資家側が社債のまま回収するか株式に転換するかを決められるように設計されるため、投資家にとって有利であることが多く、主に会社の信用力が低い段階で利用される手法です。

方法2:資本を増加させる方法

資本を増加させる方法とは、株式の発行(又は株式に転換する社債の発行)のことです。この方法の最大の特徴は、集めた資金の返済義務を負わないこと。「当たり前」と思われるかもしれませんが、例えば、1株100円で発行した株式の市場価格が10円に下がったとしても、会社が株主から100円で株式を買い取ったり、株主に対して差額の90円を支払ったりする必要はありません。これはつまり、お金を集めたら「集めっぱなし」で良い、ということです。

さらに、お金の使い道も通常は限定されず、物的担保や保証人も必要ありません。株主に対する「配当」という形の報酬も、企業の経営成績が不振の場合には支払う必要はありません。したがって、株式発行等は、すべてのスモールビジネス事業において利用可能なうえ、メリットも大きい手段であり、実際に多く用いられる資金調達手段です。

ただしこの方法には、「事業主が経営権をコントロールできなくなるかもしれない」という大きなリスクがあります。通常の株式の場合、株主には、持株割合に応じた株主総会の議決権が認められ,つまり、株式を取得した投資家に,持分に応じた経営権を取得されてしまうのです。そして、投資家の命題は、投下資本の回収です。それは、必ずしも企業の成長だけを志すものではありません。経済的観点から、事業主の意図しない株式上場や買収・合併等の手段を選択されてしまうこともあるのです。

「株式の設計」とは

そこで、「どのような/どのくらい強い株式を発行するか」という「株式の設計」が重要です。株式の発行では、「どのような種類の株式を発行するか」という株式の種類の選択と、「誰に発行するか」という割当先の選択をすることが出来るのです。

ただ、発行する株式を「弱い」ものにすればするほど、その株を買おうという人は少なくなります。従って、「経営権をコントロールできなくなるリスク」と「資金の集めやすさ」のバランスを見ながら、「どのような株式を、どのくらいの数、誰に対して発行すべきか」を検討することになります。

株式をベンチャーキャピタルファンドに割り当てる場合等は、議決権を持たない種類株式を選択するなど、ファンドの性格や背景事情を十分に理解して設計を行い、また、発行株式数や割当先を選択することが重要です。

方法3:資産を現金化する方法

資産の現金化については、不動産などの物や回収時期がかなり先の債権、また事業そのものを売却することが考えられます。この方法を選択するには当然ながら現金化するための資産が必要。現金化する場合、実際の価値よりも減殺されることに注意が必要です。

自社の現状にマッチした資金調達で健全成長を

以上の資金調達手段の中からどれを選択すべきなのかは、将来の資金需要の見通し、現在の事業用現金の必要性、創業者等の持株比率等の観点から慎重な検討が必要な問題です。もっとも多く用いられているのは株式発行ですが、上に見たように、必ずしも全てのケースで最善だとは言えません。

自社の状況からはどの手段を採りうるのかを検討した上で、その中のどれがベストなのか、会社の将来を見据えた選択を行いましょう。

弁護士 河瀬 季かわせ とき

河瀬季

コスモポリタン法律事務所(東京・音羽)所属。東京大学法科大学院卒業。起業支援など企業法務を得意としており、中小企業などのスモールビジネス事業主に対する、資金調達や労働問題などを含む各種の法務アドバイスなどを行っている。また、エンジニアやテック系ライター、ITベンチャー執行役員の経験がある元IT関連フリーランス・理系出身者であり、特許法などの知的財産法や、電子商取引・ドメインを巡る紛争など、IT法にも強い。個人サイトは「tokikawase.info」、Twitterは@tokikawase

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