企業名や商品名を決める前に知るべき商標とドメインの関係

2014/07/31

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企業名や商品名を決める前に知るべき商標とドメインの関係

企業名や商品名を決める場合には、商標とドメインの両方を検索することが重要です。商標とドメインはどちらも重要であり、そして、「片方を取れればもう片方は不要」と言えるものではないからです。企業名や商品名決定のために理解しておくべき、商標やドメインの基本と、それらの関係について解説します。


POINT
  • 企業名や商品名で商標権を取得するのは重要
  • ただし商標権があってもドメインの移転請求が認められるとは限らない
  • 商標権と併せてドメインも速やかに取得することが重要

「商標権」は重要だが万能ではない


インターネット時代においては、商標とドメインは、どちらも企業や商品のブランド力を高めるために「必須」と言える存在です。

「商標権」とは、平たく言えば、自社の企業名や商品名を他社が「パクる」ことを禁止するための権利。スモールビジネス事業主にとっても心強い権利であり、申請を行い登録されると、


●自分と同一又は類似する分野(区分)での
●自分と同一又は類似する名称(標章)の利用

を禁止することができるようになります(詳細は、後述する「知っておきたい基礎知識」の「法務」内記事を参照してください)。

ただ、「商標権」は万能な存在ではありません。特に問題なのが、以下で解説するように、ドメインとの関係です。そして商標権が万能でない以上、商標権を取得しただけで満足せず、ドメインもしっかりと押さえておくことが重要なのです。

自社名や商品名のドメインを他人に取得される危険


自社名や商品名のドメインを他企業等に取得されてしまうことは、防がなければなりません。自分がそのドメインでサイトを運営できなくなる......というのはもちろんですが、「サイバースクワッティング」、いわゆるドメインの不正取得などのトラブルに巻き込まれてしまう可能性があるからです。

「サイバースクワッティング」とは、成長しそうな企業・商品の名称など、後で高く売れそうなドメインを前もって取得しておき、成長後に高値で売り付ける、悪意のあるドメイン取得。国内では、百貨店の松坂屋より先に「matsuzakaya.co.jp」を取得した者が当該ドメインでアダルトサイトを運営し、松坂屋に高値で売り付けようとした事件などが有名です。

ドメインを不正取得されても移転請求は可能


ただ、こうした「サイバースクワッティング」に対しては、「ドメインの移転請求」という手段で対抗することが可能です。

「ドメインの移転請求」には、二つのルートがあります。

  解決を求める相手 処理に用いられるルール
紛争処理 一般トップレベルドメイン(「.com」「.net」など) WIPO仲裁調停センター UDRP処理方針という紛争処理方針
JPドメイン JPRS JP-DRPという紛争処理方針
訴訟 裁判所 不正競争防止法

紛争処理は簡易で時間もかかりませんが法的拘束力がなく、紛争処理で負けた相手は続けて訴訟を起こすことが可能、という関係です。

ドメインの移転請求が認められる条件とは?


どちらのルートを用いるにせよ、「処理に用いられるルール」はほぼ同じであり、おおむね、

(1) 自社にはそのドメインを使う正当な利益等がある
(2) 相手にはそのドメインを使う正当な利益等がない

上記の二条件を満たせばドメインの移転請求が認められる、というものです。例えば上記の松坂屋の事件であれば

(1)松坂屋には「matsuzakaya.co.jp」を使う正当な利益等がある
(2)「matsuzakaya.co.jp」に高値で売り付けるためにドメインを取得した者には正当な利益等がない

ため、仮に松坂屋が移転請求を求めれば、その請求は認められたと思われます。

正当な利益等を主張するためには商標権が重要


ただ、上記の「正当な利益等」を主張するには、基本的には商標権が必要です。つまり例えば、単に「自分の会社は『弥生会計』というソフトウェアを発売しているのだから『yayoikaikei.com』ドメインを使う正当な利益等がある」と言うだけでは十分でない可能性があり、「自分の会社は『弥生会計』の商標権を持っている」と言う方が確実だ、ということです。

相手が同じ名称の商標権を持っている可能性がある


さて、では例えば、(1) 自社が「弥生会計」という商標権を持っている場合、(2)「yayoikaikei.com」ドメインを持っている相手には「正当な利益等」がない、と言えるのでしょうか。

ここが、重要なポイントです。
上記通り、商標権は、

●自分と同一又は類似する分野(区分)での
●自分と同一又は類似する名称(標章)の利用

を禁止する権利です。......と、いうことは、自社が商標権を取得したとしても、他の分野(区分)で自分と同じ名称の商標権を持っている企業はあるかもしれません。そして、ドメインは「分野(区分)」と関係なく、世界に一つです(さらに、一つの会社が「.com」「.net」「.jp」全てを取得することなども可能です)。同じ名称の商標を持っている企業同士では、完全な「早い者勝ち」になってしまうのです。

商標権とドメインは両方とも非常に重要


ネット時代においては、商標権とドメインは、両方ともビジネスにとって非常に重要です。

商品やサービスをリリースする際には、その名称と分野(区分)で商標権が既に取得されていないか、そしてその名称のドメインが空いているかをチェックし、可能な限り速やかに商標権とドメイン、両方を取得しましょう。

photo:Thinkstock / Getty Images

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この記事の執筆者

河瀬季
河瀬季

コスモポリタン法律事務所(東京・音羽)所属。東京大学法科大学院卒業。起業支援など企業法務を得意としており、中小企業などのスモールビジネス事業主に対する、資金調達や労働問題などを含む各種の法務アドバイスなどを行っている。また、エンジニアやテック系ライター、ITベンチャー執行役員の経験がある元IT関連フリーランス・理系出身者であり、特許法などの知的財産法や、電子商取引・ドメインを巡る紛争など、IT法にも強い。個人サイトは「tokikawase.info」、Twitterは@tokikawase

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