弁護士が教える!「知らなかったでは済まされない知的財産権侵害と対策」

2014/10/28

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法務博士が教える!知らなかったでは済まされない知的財産権侵害と対策

商標権や意匠権、特許権や著作権といった知的財産権の侵害リスクは、全てのスモールビジネス事業主にとって「他人事」ではない問題です。知的財産権侵害リスクの概要について正しく理解し、これらを合理的に回避・軽減するための基本知識について解説します。


POINT
  • 知らずに他社の知的財産権を侵害してしまう可能性
  • 「差止」を求められてしまうケース
  • 知的財産権侵害は可能な限り早い段階で調査を行なう

知的財産権は決して「他人事」ではない

「知的財産権」とは、著作権や特許権など、人の知的創造活動に関して与えられる権利。「自分には関係ない」と思っている人も多いのですが、事業を行う中で他社の知的財産権を知らず知らずのうちに侵害してしまう...というのは、全てのスモールビジネス事業主にとってあり得る事態です。例えば、ある技術を開発して商品を製造し、それをウェブ上で販売する場合であれば

(※以下は、侵害しているかもしれない『知的財産権』です。)

    1)【技術開発】特許権、実用新案権ーその技術は、既に他社が開発して特許権や実用新案権の登録を受けているものかもしれません。
    2)【商品形態】意匠権ー上記同様、他社の意匠権が問題になります。
    3)【商品名称】商標権ー上記同様、他社の商標権が問題になります。
    4)【商品販売サイト上の画像素材など】著作権ー上記同様、他社の著作権が問題になります。

と、いった具合です。「知らず知らず」のうちに、他社の様々な知的財産権を侵害してしまうかもしれないのです。スモールビジネス事業主にとって、こうした知的財産権の侵害リスクについて理解し、対策を取ることは非常に重要です。

知的財産権侵害リスクの特徴とは

他社の知的財産権を侵害してしまうと、損害賠償などのペナルティを受けることになってしまいます。そして、こうしたペナルティには、二つの特徴があります。

特徴1:商品販売や販売用サイトの公開を禁止されるおそれがある
知的財産権の侵害には、大きく三種類の「ペナルティ」があります。

    1)【損害賠償】基本的な考え方は、「ライセンス料相当額を権利者に支払う」というものです。
    2)【差止】
    (1)商品が知的財産権を侵害している場合は商品製造や販売など、(2)販売用サイトが知的財産権を侵害している場合は当該サイトの公開を停止しなければなりません。
    (1)の場合は商品の廃棄などが必要になりますし、(2)の場合も、サイトを作り直すまで販路を失うことになってしまいます。
    3)【刑事責任】通常の刑法犯と同様、裁判などで刑事責任を問われることになります。

損害賠償だけでも「痛い」ものですが、差止や刑事責任は、事業の根幹を揺るがしかねない、非常に重要な問題です。

特徴2:「知らず知らずのうち」だとしても責任を免除されない
一般論としては、「わざと(故意)」や「うっかり(過失)」の場合に限って「ペナルティ」を科せられるというのが、法律の原則です。しかし知的財産権侵害の場合、この原則と異なる部分があります。

    【損害賠償】故意又は過失がある場合のみ
    【差止】故意及び過失がない場合にも販売等を禁止される
    【刑事責任】故意がある場合のみ

「知らず知らずのうち」だとしても、差止を受けてしまうのです。

どうすれば知的財産権侵害リスクを回避できるのか

では、知的財産権の侵害リスクは、どうすれば回避できるのでしょうか。

知的財産権は、基本的に「早い者勝ち」です。従って考えなければいけないことは、「自社は間違いなく自分でそれを作ったのだけど、既に同じようなものを作っている人がいるのではないか」ということです。
そこで、既に同じようなものを作って権利化している人がいないか探す、というのが基本方針になります。※以下、基本的な権利の特徴と調査方法です。

    【権利】特許権・実用新案権・意匠権・商標権
    【特徴】単に作るだけでは権利化されず、申請して登録を受ける必要がある。

    【権利】著作権
    【特徴】単に作るだけで権利が生じる。
    【調査方法】同じようなものがないか、Googleなどを用いて探す。

既に権利を持っている会社が存在していた場合、そのままでは知的財産権の侵害になってしまいます。諦めるか、その相手と交渉してライセンス契約を結んで貰うか、どちらかを選ぶことになります。
そして、ライセンス契約を結ばざるを得ないならば、早い方が自社にとって有利です。

例えば、自社が既に商品開発や宣伝を行い、商品を店舗に並べた段階で、実はその商品が他社の特許権を侵害していた、と判明した場合について考えてみましょう。この場合、そのままでは商品を回収して廃棄する必要があります。金銭的ダメージも大きいですし、評判もガタ落ちでしょう。たとえ割高でもどうにかライセンス契約を結んで欲しい...と考えざるを得ません。相手もそのことは分かっていますから、強気に高額のライセンス料を提示してくる可能性が高いと言えます。

とはいえ、調査を行うにはどうしても時間がかかります。特に弁護士や弁理士などの専門家に依頼する場合には、ある程度費用もかかってしまいます。「どの段階で、どこまでコストをかけて調査を行うか」というのは、基本的には経営判断です。知的財産権の侵害リスクを正しく理解し、経営判断として適切な調査コストをかけることが重要なのです。

photo:Thinkstock / Getty Images

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この記事の執筆者

河瀬季
河瀬季

コスモポリタン法律事務所(東京・音羽)所属。東京大学法科大学院卒業。起業支援など企業法務を得意としており、中小企業などのスモールビジネス事業主に対する、資金調達や労働問題などを含む各種の法務アドバイスなどを行っている。また、エンジニアやテック系ライター、ITベンチャー執行役員の経験がある元IT関連フリーランス・理系出身者であり、特許法などの知的財産法や、電子商取引・ドメインを巡る紛争など、IT法にも強い。個人サイトは「tokikawase.info」、Twitterは@tokikawase

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