確定申告を忘れたらどうなる?ペナルティや対処法を解説

2024/03/05更新

この記事の監修税理士法人 MIRAI合同会計事務所

所得税の確定申告の期限は、原則として毎年3月15日です。では、所得税の確定申告が必要にもかかわらず、期限までに申告するのを忘れた場合はどうなるのでしょうか。

確定申告を忘れてしまった場合、そのまま放置していてはいけません。忘れたことに気づき次第、すみやかに対処することが大切です。

ここでは、期限までに確定申告をしなかったときに発生するペナルティや、確定申告を忘れた場合にとるべき対処法の他、期間内に確定申告が間に合わなそうなときの対応などについても解説します。

確定申告の期限

所得税の確定申告の期間は、原則として、毎年2月16日~3月15日です。1月1日~12月31日の1年間に得た所得をもとに所得税を計算し、翌年2月16日~3月15日に、納税地を所轄する税務署に確定申告を行います。2月16日や3月15日が土・日、祝日に重なる場合は、翌平日が期日です。

なお、締切時間は、確定申告の提出方法によって異なります。

e-Taxで提出する場合は、提出期限は3月15日(土日祝日の場合は翌平日)の23時59分までです。また、税務署に郵送で提出する場合は、消印の日付が提出日として扱われるため、3月15日(土日祝日の場合は翌平日)の消印が押されていれば期限内の提出として受理されます。

税務署の窓口に持ち込む場合は、税務署の開庁時間内(17時まで)になります。ただし、税務署の閉庁後は、税務署に設置されている時間外収受箱に投函して提出することができ、その場合の締切りは原則として日付が変わるまでです。

確定申告が必要なのは、主に次のようなケースです。確定申告の準備をする前に、必要かどうかを確認してください。

確定申告が必要なケース

  • 事業による所得が年間48万円以上
  • 給与収入が年間2,000万円以上
  • 副業所得が年間20万円を超える
  • 2か所以上から給与所得を受けている
  • 株取引などで利益があった
  • 一定額以上の保険金や年金を受給した
  • 年の途中で退職した後、転職しておらず年末調整をしていない
  • 年末調整をしたが、申告していない控除や申告を忘れた控除がある
  • 年末調整をしたが、確定申告でしか申告できない控除を適用したい

ただし、これらのケースのうち、年末調整をしていない場合や控除に関する申告については、確定申告を行うことで納めすぎた税金が返ってくる可能性が高いでしょう。このような、必要以上に納付した税金を返してもらうために行う確定申告を「還付申告」といいます。還付申告の場合は、確定申告の期限を過ぎてもペナルティは発生しません。

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期限後でも確定申告をしなくてはならない

期限後に確定申告を忘れたことに気づいた場合、可能な限りすみやかに申告を行わなければなりません。期限を過ぎての確定申告は「期限後申告」となり、本来納めるべき税金に加えて延滞税などのペナルティが発生します。しかし、ペナルティがあるなら申告しないままでいようなどと考えてはいけません。

確定申告をしないまま放置していると「無申告」となり、悪質な税金逃れと判断されるおそれがあります。そうなると、延滞税だけではなく無申告加算税が加算されるなど、ペナルティが重くなるのです。もし期限を過ぎてしまったとしても、できるだけ早く申告することが大切です。

確定申告は期限に遅れた場合としなかった場合でペナルティが異なる

確定申告は、期限に遅れたもののみずから申告する「期限後申告」と、期限を過ぎても申告しないままでいた「無申告」では、ペナルティの内容が異なります。確定申告に関するペナルティについて、詳しく見ていきましょう。

延滞税

所得税を納付期限までに納めなかったときは、期限の翌日から完納する日までの日数に応じて延滞税が発生します。延滞税の最高税率は14.6%です。

所得税の納付期限は、確定申告の申告期限と同じです。期限までに確定申告をしていなければ、当然期限内の納税はできません。この場合、本来納めるべき税額に加えて、遅れた日数分の延滞税が課されることになります。期限内に確定申告をしても、振替納税を選択し、預貯金口座の残高不足などで振替ができなかったという場合、延滞税が発生するので注意しましょう。

無申告加算税

無申告加算税は、期限内に確定申告を行わなかった場合に発生するペナルティです。原則として、納付すべき税額に対して50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の金額が加算されます。ただし、税務署の指摘を受ける前にみずから期限後申告をした場合は、無申告加算税の税率は5%に軽減されます。
なお、期限後申告であっても、次の要件をすべて満たす場合は、無申告加算税は課されません。

無申告加算税が免除されるケース

  • 確定申告の期限後、1か月以内に自主的に確定申告をしている
  • 期限後申告にかかる税額を法定納期限(口座振替納付の手続をした場合は期限後申告書を提出した日)までに全額納付している
  • 期限後申告書を提出した日の前日から過去5年間に無申告加算税または重加算税を課されたことがない

過少申告加算税

過少申告加算税は、確定申告で申告・納付した税額が、本来納めるべき税額より少なかった場合に発生するペナルティです。申告した税額が本来より少ないことに気づいたら、できる限り早く修正申告をしてください。もし、税務署の調査を受けた後で修正申告をしたり、税務署から誤りを正されたりすると、新たに納める税金の他に過少申告加算税がかかります。

過少申告加算税の税率は、新たに納める税金の10%です。ただし、新たに納める税金が、当初の申告納税額と50万円とのいずれか多い方の金額を超えている場合は、超えている部分については15%になります。

重加算税

重加算税は、納めるべき税金を意図的に隠蔽したり仮装したりした場合に課せられるペナルティです。たとえ期限内に確定申告をしていても、帳簿の改ざんなど虚偽の申告をしていた場合は、重加算税が加算される可能性があります。

重加算税は、過少申告の場合は過少申告加算税に代えて本来納める税額の35%が、無申告だった場合は無申告加算税に代えて40%が加算される大きなペナルティです。さらに、5年以内に無申告加算税または重加算税を課されたことがある場合は、それぞれ10%が加算されます。

追徴課税を納付できず滞納すると、財産差押えになる可能性もあります。また、繰り返し重加算税を課されるなど、悪質だと認められた場合には刑事罰が科されることもありますので注意しましょう。

青色申告特別控除が10万円になる

青色申告で最大65万円の青色申告特別控除を受けるには、期限内の申告が必須です。期限に1日でも遅れると、その年の青色申告特別控除は10万円に減額され、その分、所得税額が増えてしまいます。

また、青色申告では、赤字を前年の黒字と相殺して繰戻し還付を受けることができますが、期限後申告ではこの繰戻し還付が受けられなくなります。

確定申告の期限が過ぎてしまった場合の対処法

確定申告の期限内に確定申告をしていなかったことに気づいたら、できるだけ早く申告を行うようにしてください。たとえ期限を過ぎていても、申告するのが早いほど延滞税は少なく済みますし、期限後1か月以内に自主的に期限後申告をすれば、無申告加算税が免除される可能性もあります。

反対に、申告をしないまま放置して、税務署の指摘で無申告が発覚すると、課されるペナルティも大きなものになってしまいます。

還付申告は期限が5年

還付申告書は、確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出することができます。確定申告の義務がなくても、源泉徴収されている所得税額が本来の税額より高い場合や、適用できる控除を申告せず所得税の納めすぎになっていた場合などは、還付申告を行うことで税金の還付を受けられます。

還付申告の期限は、該当する年の翌年1月1日から5年間です。この期限を過ぎてもペナルティはありませんが、税金の還付は受けられなくなります。

還付申告の具体例

  • 年の途中で退職し、年末調整を受けずに源泉徴収税額が納めすぎとなっているとき
  • 一定の要件のマイホームの取得などをして、住宅ローンがあるとき
  • マイホームに特定の改修工事をしたとき
  • 認定住宅等の新築等をした場合(認定住宅等新築等特別税額控除)
  • 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき
  • 特定支出控除の適用を受けるとき
  • 多額の医療費を支出したとき
  • 特定の寄付をしたとき
  • 上場株式等にかかる譲渡損失の金額を、申告分離課税を選択した上場株式等にかかる配当所得等の金額から控除したとき

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確定申告の期限が過ぎてしまいそうな場合の対処法

事情によって、期限までに確定申告をするのが難しい場合もあるでしょう。そんなときは、定められた手続きを行うことによって、期限を延長できる可能性があります。

災害による申告、納付などの確定申告期限延長申請ができる

災害などのやむを得ない理由によって、確定申告や所得税の納付が期限内にできない場合は、「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を、納税地を所轄する税務署に提出しましょう。審査の結果、申請者の被災状況などの実情に照らして妥当と認められれば、確定申告の期限を延長することができます。申請書の提出時期は、やむを得ない理由が解消した後、相当の期間内とされています。

一度提出した確定申告書を修正したい場合

提出した確定申告書を修正したい場合、間違いに気づいたのが確定申告の期限内か期限後かで、対処方法は異なります。

申告書の間違いに気づいたのが期限内であれば、正しい内容の確定申告書を作成し、再度提出すれば問題ありません。これを「訂正申告」といいます。確定申告では、期限内に2つ以上の確定申告書が出されたときは、期限内で最後に出されたもの、つまり一番新しい日付のものが正式な申告書として取り扱われます。e-Taxの場合は、正しい申告データを作成して送信すれば新しいデータに上書きされ、税務署への連絡などは必要ありません。

また、税務署の窓口や郵送など紙の申告書で訂正申告を行う場合は、間違いを防ぐために、正しい申告書に「訂正申告」と朱書きして提出すると安心です。

一方、期限後に間違いに気づいたときでも修正は可能です。その場合、申告した税額が本来より低かったか、高かったかによって対処法が変わります。

所得税の金額を低く申告した場合

所得税の税額を本来納める税額よりも低く申告してしまった場合は、「修正申告」を行います。修正申告を行うには、修正申告書に修正前の課税額などを記載したうえで、正しい内容の確定申告書とともに提出します。

新たに納める税金の納付期限は、修正申告書を提出する日です。なお、本来の確定申告期限は過ぎているため、新たに納める税金については延滞税を併せて納付する必要があります。また、みずから修正申告を行わず、税務署の調査で過少申告が判明した場合は、新たに納める税金の他に過少申告加算税がかかります。

所得税の金額を高く申告した場合

本来の納税額より高い税額を申告した場合や、還付される税金を少なく申告した場合は、「更正の請求」という手続きができる場合があります。更正の請求では、更正の請求書を税務署に提出し、内容が認められると納めすぎた税金が還付されます。その場合、更正の請求をした人にその内容が通知されます。

更正の請求の期限は、原則として法定申告期限から5年以内です。なお、修正申告とは異なり、更正の請求は行わなくてもペナルティはありません。

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確定申告を忘れたことに気づいたらできるだけ早く申告を

所得税の確定申告の期間は、原則として2月16日~3月15日(土日祝の場合は翌平日)です。この期限を過ぎてしまうと期限後申告になり、延滞税などのペナルティが発生したり、青色申告特別控除が減額されたりしてしまいます。確定申告を忘れたことに気づいたら、できる限り早く申告を行うことが大切です。確定申告をしないまま放置してはいけません。

また、期限後申告や無申告のペナルティを避けるには、期限内にきちんと確定申告を行うことが何より大切です。確定申告を手間なく簡単に終わらせたいときにおすすめなのが、弥生のクラウド確定申告ソフトです。「やよいの白色申告 オンライン」や「やよいの青色申告 オンライン」なら、確定申告が初めての方でも必要書類を効率良く作成することができます。便利な確定申告ソフトを活用して、確定申告を期限内に済ませましょう。

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よくあるご質問

確定申告をしてない人が多いというのは本当ですか?

確定申告をしていない人が多いかどうかはわかりませんが、所得税の確定申告をする必要がある人が申告していない場合は違法行為にあたります。会社員で副業をしている場合は年間所得が20万円を超えた場合、フリーランスなどの個人事業主は年間所得が48万円を超えると確定申告の義務が生じます。これらの条件に当てはまる人は、必ず期間内に確定申告をしましょう。確定申告が遅れた場合やしなかった場合のリスクについては本記事内で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

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フリーターで確定申告を忘れた場合はどうなりますか?

フリーターやパート、アルバイトの人で年末調整をしていれば、確定申告は不要です。年末調整をしていない場合は、所得税の確定申告が必要になります。確定申告が必要なフリーターが確定申告を忘れた場合は、気づいたら早めに確定申告をするようにしましょう。期限が過ぎたあとの申告は「期限後申告」になり、無申告加算税や延滞税など付帯税が課されるリスクがあります。

去年の確定申告を忘れた場合はどうすればいいですか?

去年の確定申告を忘れた場合は、なるべく早く申告をするようにしましょう。ただし、確定申告が必要だった人が申告をしなかった場合、無申告加算税や延滞税などが課されるリスクがあります。確定申告を忘れた場合でも後から申告可能ですが、余分な税金を支払わなければいけなくなる可能性があるため、確定申告は期間内に必ず行うようにしましょう。

この記事の監修税理士法人 MIRAI合同会計事務所

四谷と国分寺にオフィスのある税理士法人。税理士、社会保険労務士、行政書士等が在籍し確定申告の様々なご相談に対応可能。開業、法人設立の実績多数。
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