「確定申告の疑問」を税理士にズバリ聞いた!第2回青色申告編

2015/02/17

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「確定申告の疑問」を税理士にズバリ聞いた!第2回青色申告編

こんにちは。今回の確定申告は白ですが、次からは青に変更しようと考えているフリーライターの岸田です。青色申告の本を編集した経験もあり、ひと通りの仕組みは理解しているつもりですが、それでも実際に青色でやる段になると迷うこともありそうで不安です。今回はそんな青色申告の疑問・質問について、引き続き税理士の宮原先生に聞いてみました。

青色申告で悩むポイントを徹底解説!


「確定申告の疑問」を税理士にズバリ聞いた!第1回「領収書編」はこちら

簡易簿記と複式簿記、申請後に変更してもいいの?

岸田 青色申告にするときって事前に申請書を出さないとダメじゃないですか。この書類に自分が行う簿記方式に◯を付ける箇所がありますよね。簡易簿記なら10万円控除、複式簿記なら65万円控除、となるので重要な選択だと思うんですが、この簿記方式って申請後に変えてもいいんですか。

宮原「所得税の青色申告承認申請書」の話ですね。簿記方式の変更には何も手続きは要りませんよ。

岸田 それなら安心ですね。やっぱり65万円控除にしたいから、当然「複式簿記」のほうに○を付けるつもりですけど、もし複式簿記の帳簿が用意できなかったらどうなるんだろう、とか考えていました。逆に10万円控除で申請したけど、65万控除にするときに再度申請がいるんですか?

宮原 承認申請自体は青色でやるかどうか、という話ですからね。簡易簿記の帳簿しか揃えられなかった場合は、10万円控除で申告してください、ということ。65万円控除の要件を満たしてないのに65万円控除で申告しちゃうと、それはまずいですけども。

岸田 つまり、65万円でいける年は65万円控除、できないなら10万円控除、という風に年ごとに控除額が変わっても問題はないんですね。

宮原 まったくありません。

65万円控除を受けるために絶対に守らなければならないこと

岸田 フリー同士で飲んでいると「青のほうが得だけどめんどくさい」みたいな話になるんですが、あらためて65万円控除を受けるための要件って何ですか。

宮原 ざっとあげると「複式簿記であること」「貸借対照表が付いていること」「期限内に申告すること」ですね。

岸田 やはり複式簿記は必要であると・・・。でも正直、確定申告ソフトがないと複式簿記はムリです。とても覚える気にはならない。

宮原 簡易簿記の場合でも、資産などの項目をぜんぶ網羅できれば、複式簿記に準ずるものとして65万円控除が認められることはありますよ。とはいえ、確定申告ソフトを使って複式簿記の帳簿付けをするのが確実だしスムーズでしょうね。結局、何らかの帳簿は必要となるわけですから。

岸田 なるほど。その次の貸借対照表ですが、決算書の解説本なんかを読んだりすると、その瞬間だけは読み方を理解できた気にはなるんですが、すぐに忘れちゃいますね。会社経営したり株取引したりして、自分事として経験していかないと身に付く気がしません。

宮原 これもソフトを使って自動作成できちゃいますからね。それでも、内容を理解できるようになっておいたほうがいいでしょう。

岸田 右と左が同じってことくらいしか(笑)。ところで最後の期限内の申告って、今回は3月16日(*)までですけど、1日2日遅れた場合でもダメなんですか。
(*)平成27年(2015年)3月15日は日曜のため、3月16日(月)が期限です。(編集部注)

宮原 ダメです。青色申告特別控除は、たとえ複式簿記で貸借対照表まで作っていたとしても、申告期限を1日遅れただけで10万円控除しか認められなくなります。

岸田 それは厳しい。たとえば期限の2、3日前にどう考えても間に合わないってなったら、事前に「遅れます」とかって連絡入れるのはアリですか。

宮原 そんな制度はない(笑)。災害などでの期限延長は別として、ただ帳簿をさぼったことでの延長はありえません!

岸田 報連相は通用しないのか。ホントにギリギリのときは税務署のポストに入れておけとか、郵送なら当日消印は有効とか、聞きますけど。

宮原 申告はギリギリできたとしても、納付はアウトですよね。

岸田 納付? そうか所得税を納めなきゃいけないんだ。ボクは原稿料で源泉徴収されていて、ほぼ還付金が戻ってくるから、確定申告のときに税金を納めるという感覚がまずないんですよ。普通は申告と同時に所得税も納めているんですね。

宮原 そう。どうせ還付だからって安心している人も、期限後申告で65万円控除が10万円控除になっちゃうと、還付金が減ってしまうことになっちゃいます。

岸田 とにかく申告期限は厳守しないとダメということですね。

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支払調書の金額を鵜呑みにしてはいけない?

岸田 次ですが「発生主義と現金主義の違いがよく分からない」という質問が来ています。

宮原 まず発生主義というのは、仕事をした日、納品した日を基準にして帳簿を付けることですよね。納品日と入金日のタイミングがずれる場合は売掛の取引となります。

岸田 現金でもらわない場合は、ほぼ売掛取引になりますよね。この場合、納品と入金で2回帳簿を付けることになるんですよね。

宮原 そうです。逆に現金主義というのは、単純にお金の動きを基準にして帳簿を付けることです。お金が入った時が売上で、お金を支払った時が経費であると。

岸田 なるほど。現金という言葉のせいでイメージしにくいですけど、お金の増減だけで帳簿を付ける方法ですね。こっちのほうがシンプルな気がします。

宮原 青色申告の場合、おおまかにいうと所得300万円以下の小規模事業者は、届け出を出していれば現金主義が認められます。ただし10万円控除になってしまいますけど。白色申告では現金主義は認められません。

岸田 ボクは感覚的には完全に現金主義ですね。お金が振り込まれたときがすべての基準になっている(笑)

宮原 それでいうと、個人事業主の方で勘違いしている人が多いのが、年末に納品して年明けに入金されるパターン。これは昨年働いた分なので、昨年の収入となります。

岸田 ボクもそのパターンはずっと年明け分の収入だと思っていました。だって、1月末に取引先から支払調書(*)が届きますけど、年末分の取引は書いてないこともあるじゃないですか。

(*)支払調書は、「支払調書が来ない、届かない。確定申告できない!?」も参考に(編集部注)

宮原 そもそも支払調書に書いてあるのは、その1年間で支払いの確定した金額です。支払日が来年のものは反映されていないんですよ。なので、支払調書に書かれている金額と本来の収入が一致しないことは当たり前なんです。

岸田 そうなんですか!

宮原 最近は、支払調書を本人へ発行しない企業もあるみたいですしね。

岸田 ボクはいつも支払調書を確定申告書に貼り付けて提出していますけど、もらえない場合はどうすればいいんですか。

宮原 これも勘違いしている人が多いですけど、支払調書自体は確定申告書への添付義務がないんですよ。支払調書というのは、天引きした側が税務署に出す書類なので、税務署のほうですでに持っているんです。

岸田 なんと。

宮原 もともと申告で計算するときの源泉徴収税額っていうのは、源泉徴収された金額じゃなくて源泉徴収されるべき金額を書くので、そういう意味では天引きされる分を自分で計算するってことにはなりますね。

岸田 自分で!?

宮原 本来はこまめに帳簿を付けているのが前提ですから、支払調書がなくても計算はできるはずなんです。支払調書の金額をそのまま転記するだけ、というのはおすすめしませんね。

岸田 ううっ(困)。でも「やよいの青色申告オンライン」を使っていれば、取引を入力するときに源泉徴収の金額は自動計算されるので大丈夫かなー。

画像:やよいの青色申告オンライン「源泉徴収税額」計算
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副業で青色申告はできるのか?

岸田 最近はサラリーマンの副業もちょっとしたブームだっていいますよね。この「副業の分の所得は青色申告できないの?」という疑問も来ています。

宮原 明確な線引きは難しくて、ケースバイケースになりますね。まずその副業が事業といえるものかどうか、というのがひとつ。

岸田 事業といえる定義みたいなものってあるんですか。

宮原 いろいろな判例をみると、営利性や継続性、自己の責任や労力が認められるか。さらに、得られた収入で生活ができるかどうか。こういったところが判断材料にはなっていますね。

岸田 要するに継続的に営んで、その副業分だけで生活できていればいいってことですかね。

宮原 まあ生活できるに越したことはありませんが、副業という前提でそこに行きつくまでは大変ですよね。こういうときによく出てくるのが「社会通念上」という言葉ですね。それと開業届を出しているかどうかは、ひとつの判断材料にはなります。事業をやるという本人の意思があるのかどうか、ということで。

岸田 サラリーマンの場合、会社が副業を禁止していることも多いですよね。開業届を出すとバレちゃいそうな気も。

宮原 確定申告をする時に、事業など給与以外の収入に対する住民税が会社に行かないようにすること(*)はできますけどね。
(*)詳しくはこちらの記事「サラリーマンなどの副業の確定申告について」参照(編集部注)

岸田 それはやっとかないとまずい。ちなみに事業じゃない副業の場合は、雑所得で青色申告の特典はないんですよね。

宮原 そうです。サラリーマンは給与以外の所得が年間20万円以下の場合、確定申告の必要はありません。

まとめ

今回は、青色申告の疑問、質問に回答してもらいました。申告期限を厳守すること、年をまたぐ取引の処理など、覚えておいたほうがいいことばかり。そして開業届、白色だと出していない人も多いようですが、青色申告の承認申請には必要です。何より「これから事業を始めるぞ!」という自分自身のモチベーションが上がるはず。

第3回白色申告編第4回経費編第5回家事按分編は、こちら。

photo:ペイレスイメージズ / PIXTA(ピクスタ)

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この記事の執筆者

岸田元
岸田元

編集/ライター。出版社、編プロ勤務などを経てフリーランスに。得意分野はIT、家電、ビジネス、エンタメなど。書籍編集から取材記事の執筆まで守備範囲は広めなユーティリティープレーヤー(便利屋)。難しいことをわかりやすく、真面目な話を面白く、伝えることを心がけています。

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