軒先代表 西浦氏「低コストで店舗開業できる環境が整ってきている」

2015/08/27

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軒先代表 西浦氏「低コストで店舗開業できる環境が整ってきている」

西浦さんが2008年に設立した軒先株式会社では、ドラッグストアの駐車場や、定休日の店舗の軒先など、ちょっとした空きスペースの貸し借りができるマッチングサイト「軒先ビジネス」 と自宅の駐車場や月極駐車場の空き区画を事前に予約できる駐車場として貸し借りできる「軒先パーキング」を運営している。

そのビジネスモデルが注目され、2008年の創業翌年には「ベンチャーフェアJapan2009」では最優秀賞を受賞、以降も数々の賞を受賞しているが、「自分が起業することは、全く考えていなかったんですよ」と話す西浦さん。起業に至る経緯からビジネスの拡大期、現在に至るまでを伺った。


――学生時代から、起業精神や独立志向はあったのですか?

起業する直前まで、自分でビジネスを起こそうとは考えたこともなかったです。会社勤めの父と専業主婦の母のもとに育ち、大学卒業時も大手企業に入ることだけを考えていました。将来は語学を活かす仕事に就きたくて、大学在学中にポルトガルに留学。そのとき持っていったウォークマン人気が印象的で、4年生の6月に帰国後、ソニーに滑り込むように入社しました。

ソニーは若いときからチャンスを与えてくれる風土だったので、私も希望していた海外事業に携わることができました。南米に駐在し、チリ、ペルー、ボリビアなど現地セールスを拡販すべく、マーケティングや販促企画の仕事に従事しました。

仕事はとても面白かったですし勉強にもなりましたが、時代は徐々にドットコムバブルに突入。いつまでもハード商品を扱っている自分が、少しずつ時代に取り残されているような気分がありました。

そこで思い切って転職を決意。その後、ゲーム会社などに勤務したのち、年収が思いっきり下がることも覚悟で、「もっと世の中の役に立つ仕事をやりたい」とODAの仕事にも従事しました。そこで妊娠が発覚。37歳という少し遅い妊娠だったこともあり、一度自分の仕事人生を見直すために、妊娠8ヶ月のときに退職しました。

ところが、いざ退職すると時間を持て余してしょうがないんですよ(笑)。そこで、以前、駐在していた南米の雑貨を輸入販売でもしてみようかしら、と軽い気持ちで思い立ったんです。でも、いざ調べてみると店舗を借りるには敷金や礼金のハードルがすごく高い。「世の中にはちょっとした空きスペースがたくさんありそうなのに」「もっと気軽に場所を借りられたらいいのに」。そんな自分の中の小さな不満が、軒先ビジネスを思いついたきっかけです。

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――いきなりの起業はハードルが高そう。行動に移すきっかけは何だったのですか?

夫の存在が大きかったと思います。ずっと会社勤めをしていた私とは違い、夫は20代の前半には起業し、不動産業を営んでいたんです。相談してみたら「面白そう。やってみたらいいじゃん」と軽く言われました。

当時、起業するにあたっては法人を立ちあげなければならないと思っていたのですが、まず個人事業主から始めることもできると夫からアドバイスを受けたので、「じゃあ、とりあえずWEBページを立ち上げて様子を見てみようかな」とあまり深く考えずにやってみることにしました。外注したWEBページの完成がちょうど出産の時期と重なり、入院しているベッドの上で掲載する原稿のチェックをしていましたね(笑)。

当時、SEOという言葉もなく、インターネット広告といえばバナー広告の時代。広告には一切お金をかけませんでしたが、それでも検索からWEBページに流入してくる件数がそれなりにあったんです。「やっぱりニーズはあるんだ」と手応えを感じました。

ただし「借りたい」という人はネット経由で来ても、「空きスペースを貸したい」という人はネット経由ではきません。そもそも「場所を貸す」という概念がないから当然ですよね。

そこで、まずは近所の商店街を1件1件回って、「お店が休みの日に軒先を貸して頂けませんか?」と地道に歩いて回ったんです。休みの日には夫も手伝ってくれて、少しずつユーザーが増えていきました。その後法人のユーザーが増えていったこともあり、2009年の4月には法人化させることができました。

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――起業当初は、どのような点に苦労されましたか?

やはり、これまでにないビジネスモデルなので、貸す側の人たちに「どういう人が借りるか分からないから不安だ」と言われました。ならば、と保険会社の人に相談をして、軒先ビジネス用の保険を作ってもらいました。幸いなことに、保険を使うような事故が起きることがほとんどなかったので、「保険がありますよ」「これまで事故はありませんよ」とアピールすることで信頼は増していきました。事故がないので保険料もだんだん安くなっていきましたね。

――小さくはじめたビジネスも人を雇うとなると、違う覚悟も資金も必要になります。その時期はどう乗り越えました?

夫の幼馴染に、起業から上場まで経験している人がいたんです。今では当社の取締役に就任してもらっている人物ですが、その人から有用なアドバイスをたくさん貰いました。当時の私は資金集めといえば、銀行借り入れ以外の方法は知りませんでした。そんな私にベンチャーキャピタル(VC)の存在を教えてくれて、事業計画書の書き方まで丁寧に教えてくれました。

しかし、当時は設立1年にも満たないアーリーステージのベンチャーに投資してくれるようなVCは皆無。そんな中、大手VCに紹介されたのが、サムライインキュベートの榊原さんでした。榊原さんは軒先のことを既に知ってくれていて、2回目の面談で「投資しましょう」と500万円の投資を決めてくださいました。さらにその場で、別の方にもご連絡いただき「僕、軒先に投資するけど一緒に投資しない?」と、さらにその方からも500万円を投資頂けることに。榊原さんもその方も軒先のことを既にご存知だったのはうれしかったですね。

榊原さんからコミットを求められたことは2つだけです。「軒先にフルコミットすること」と「スピード感を大切にすること」。当時、生活費のためのダブルワークをしていたのですが、それはきっぱりと辞めて、軒先に全力を注ぎました。

榊原さんの紹介で、軒先の1号社員となる営業メンバーも採用することができましたも。その後も、"あの榊原さんが投資をしている企業"と注目してくださる方もいて、大手VCからの出資にもつながり本当に感謝しています。

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>>NEXT 「軒先ビジネス」を利用するユーザーはどんな層が多いのか?
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この記事の執筆者

玉寄麻衣
玉寄麻衣

1979年生まれ。立命館大学政策科学部卒業。外資系大手人材派遣・人材紹介会社で、営業として主に中小企業の人材採用をサポート。2004年フリーランスのライターとなり、人材採用、人材育成、大学教育、広報・PR、企業経営等に関する取材・執筆を行う。

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