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印税収入のある業種のための確定申告ガイド

2023/08/01更新

この記事の執筆者荒井滋

主に、本を出版したり、作曲した歌が売れた場合に入ってくる印税。
プロとして活躍している人から副業として趣味の延長でされている人までさまざまだと思いますが、きちんと収入と必要経費を把握して所得を計算し、確定申告をしなくてはいけないというところでは同じです。
また、急に売れっ子になって収入が増えた場合の対策も知らないと損をすることになります。収入・経費・所得について、それぞれ次のポイントに留意して確定申告を行ってください。

POINT

  • 収入金額は手取り額ではなく支払調書の「支払金額」
  • 取材旅行は目的・日程などを記録保存しておく
  • 急に収入が増えたときは変動所得の特例を使おう

印税収入とその必要経費の特徴とは?

印税収入の場合、印税を支払う会社が「支払調書」を発行するので、一年間の収入金額はそのなかに記載されている「支払金額」の欄の金額となります。
なお、支払金額の内書きとして消費税額が併記されている場合もありますが、印税にも消費税はかかりますので、消費税も含んだ金額を収入金額と考えてください。

では、それに対して経費となるものはどんなものがあるのでしょう?
特徴的なものとしては、取材のための旅行費用などの「旅費交通費」と、調査のための資料として図書を購入したときなどの「新聞図書費」が挙げられます。
その他、事務所を借りていれば「地代家賃」、事務所の電気代などの「水道光熱費」、原稿を執筆するためのパソコンの購入費用などの「消耗品費」、取材や出版社の担当者との連絡で使う携帯電話の料金などの「通信費」、アシスタントを雇っていれば「給料賃金」もあるでしょう。

なお、消耗品費として経費にできるのは、一つまたは一式(組み合わせで一つの機能を果たすもの、たとえば応接セットなど)の値段が10万円未満の備品となります。
パソコンやその他創作のための道具にこだわっていて、10万円以上になってしまうので困った、と思った方は、ぜひ青色申告の特典として「少額減価償却資産の特例」を受けてください。30万円未満なら全額経費にできます。
その他、青色申告のメリットについては、「青色申告と白色申告の違いとは?メリットとデメリットをわかりやすく解説」で紹介していますので、そちらを参考にしてください。

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収入金額の把握は簡単

支払調書に記載されている支払金額と源泉徴収税額を、会社ごとの一覧表にして合計すれば、確定申告に必要な収入金額と源泉徴収税額の把握は終わり。
簡単ですね。

気をつけなくてはいけないのが、口座に振り込まれた手取り額を合算して、それを収入金額としてしまった時。
手取り額は、源泉徴収税額を差し引かれた金額ですので、収入金額ではありません。
それで確定申告をしてしまった場合には、収入を少なく申告したということで、税務調査等で指摘を受け、修正申告が必要になりますので、注意しましょう。

ここで、源泉所得税額ってなに? と思われた方、次の記事をご覧になってください。

経費を個人的な支出と疑われないために

執筆のため取材旅行に行くのは、仕事の楽しみの一つかもしれません。
でも、その場合には少し注意してください。
何を調べに行くのか、その目的に沿ったスケジュ-ルなのかを記録として保存しておかないと、税務調査の時に観光などの個人的支出とみなされかねません。
もし、その旅行の中に観光が含まれているなら、その部分は時間等の基準で按分して、経費から除く必要があります。

按分の例
3日間の取材旅行(総額9万円)のうちに、半日観光をした場合の経費の額
9万円 × 0.5日 / 3日 = 1.5万円
9万円 - 1.5万円 = 7.5万円

同じく旅費交通費以外でも、仕事ではなく個人として使う部分は、按分して経費から除く作業が必要です。
例えば、自宅兼事務所として、自宅の一室を事務所として使用している場合、電気代は合計から生活費として使用した分を床面積や時間などの基準で按分して、経費から除くことになります。

売れたら変動所得の特例!

変動所得の特例については、こちらもご覧ください。

所得税は累進税率と言って、所得が多ければ税率が高くなるようになっています。
だから、急に本が売れたりして所得が増えると高い税率で計算され、税金の額も多くなってしまいます。
それでは、同じ所得を5年間で得た人と、1年間で得た人で、所得の金額は同じなのに、支払う税額に不公平が出てしまうので、それを是正しようというのが変動所得の特例の趣旨です。

では、急に売れたときに、実際にどうすればよいのでしょう?
いろいろと特例を受けるための要件があるのですが、国税庁のHPから変動所得・臨時所得の平均課税の計算書新規タブで開くをダウンロ-ドして、計算してみるのが早いと思います。
手引きを見ながら数字を入れていけば、特例が受けられるかどうかも含めて、変動所得の計算をすることができます。
そのときも、所得がきちんと計算されていることが前提になりますので、上記の注意事項を守って、収入金額と必要経費を把握してください。

確定申告は面倒だし、何をしたら良いかわからないので、とりあえず支払調書だけで済ませているという人もいるかもしれません。
しかし、必要経費をきちんと把握したり、変動所得の特例を使ったりすると、節税をすることができます。
まずは、領収書や取材旅行の日程などの記録の保存と、その整理・集計からはじめてみましょう。

その際、会計ソフトを使うと日付が自動で並べ替えられるほか、集計も自動で、経費の按分計算までしてくれるので、非常に便利です。
そしてクリエイターに多いMAC派のあなた、今のクラウド会計ソフトはOSに関係なく、出張先でもいつでもどこでもオンラインでさっと入力ができるので、おすすめです。
今の時代、賢く、よりスマ-トに確定申告もこなしてしまいましょう。

photo:Thinkstock / Getty Images

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この記事の執筆者荒井滋

税理士、行政書士。1988年創業。群馬県前橋市を拠点に弥生特化。近年はクラウド会計にも業界に先んじて特化。IT分野を活用した効率化や仕組み作りを得意とする。併設する行政書士事務所で創業もトータルサポート。

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