皆さんのお財布にも影響あり!? 平成29年度税制改正 〜個人 所得税編〜

2017/04/17

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皆さんのお財布にも影響あり!? 平成29年度税制改正 〜個人 所得税編〜

平成29年度の税制改正は、「働き方改革」の一環として、配偶者控除等における配偶者の収入上限の引き上げや、少額からの分散・積立投資を促進する「積立NISA」の創設、所得税の一部届出書の提出の簡略化などが議論されました。
さらに、平成28年度の税制改正で定められたセルフメディケーション税制が本格的にはじまるなど、個人をめぐる税制改正が大きく動き出した平成29年度。そのポイントをお話いたします。


POINT
  • 103万円の壁は「今は昔」!? 配偶者控除等の見直し
  • 資産形成の新たな形として「積立NISA」の創設も
  • 医療費控除、セルフメディケーション税制での領収書の添付提出が不要に

配偶者控除、上限額は150万円に

日本全体の成長力を底上げしていくためのポイントのひとつ、「働き方改革」の一環として、働きたい人が就業調整を意識しなくても済む仕組みを構築する観点から、配偶者控除・配偶者特別控除が見直され、平成29年度税制改正のなかでも大きな注目を集めました。
ポイントは、平成30年分以後の所得税について、配偶者控除等が適用される配偶者の所得上限の引き上げと、納税者本人の所得制限が新たに作られたことの2点です。

①配偶者の所得上限の引き上げ

配偶者控除(所得控除)38万円の対象となる配偶者の給与収入の上限が、103万円(合計所得金額38万円)から150万円(合計所得金額85万円)に引き上げられます。 また、配偶者の収入が150万円を超えても、所得金額に応じて配偶者特別控除を受けることができます。配偶者特別控除の場合、対象となる配偶者の給与収入の上限は201万円(合計所得金額123万円)となります。

配偶者控除・配偶者特別控除

図1:配偶者控除・配偶者特別控除(平成29年度税制改正)
出典:財務省「平成29年度税制改正」(平成29年4月発行) 1 個人所得課税・資産課税

②納税者本人の所得制限

配偶者控除等の適用される納税者本人に新たな収入制限が設けられ、給与収入1,120万円(合計所得金額900万円)を超える場合には、控除額が逓減・消失する仕組みになります。

納税者本人の所得制限

図2:納税者本人の所得制限
出典:財務省「平成29年度税制改正」(平成29年4月発行) 1 個人所得課税・資産課税

ただし、配偶者が給与所得者であっても、その給与が青色事業専従者給与に該当する場合は、従来どおり、配偶者控除・配偶者特別控除を受けることができません。
38万円の配偶者控除を受けるほうが有利か、青色事業専従者給与を利用して事業所得等を減らすほうが有利か、世帯全体の収支バランスを考えてみるとよいでしょう。

積立NISAの創設

大手都市銀行の定期預金金利が0.01%といわれているこの時代、資産形成の手段として、投資を選ぶ人は少なくありません。
平成29年の税制改正では、家計の安定的な資産形成を支援する観点から、少額からの積立・分散投資を促進する「積立NISA」が創設され、平成30年1月から本格的な運用がはじまります。

積立NISAは、20歳以上の居住者等が利用可能で、現行のNISAと同様に、口座内で生じた配当及び譲渡益が非課税になる制度です。
現行のNISAと積立NISAの2つの口座を持つことはできず、どちらか一方を選択することになります。

年間の投資上限額は40万円(現行NISAは120万円。平成26・27年は100万円)、非課税期間は、投資した年から20年間(現行NISAは5年間)、口座開設可能期間は20年(平成30年から平成49年。現行NISAは平成26年から平成35年の10年間)となっています。
現行NISAに比べて、年間の投資上限額が低いのですが、非課税期間が20年間と長くなっているところが特徴で、累積非課税投資額は20年間で800万円にのぼります。
また、年間40万円ということは1カ月で3万円強。「ちょっとはじめてみようかな?」というイメージだったなら、手ごろかもしれません。

なお、投資対象商品は、現行NISAが上場株式や公募株式投資信託など、その対象が幅広いのに対し、積立NISAは積立・分散投資に適した一定の公募等株式投資信託に限られており、契約に基づき定期かつ継続的な方法で投資することが求められています。

財務省「平成29年度税制改正」

図 3 出典:財務省「平成29年度税制改正」 (平成29年4月発行) 1 個人所得課税・資産課税

医療費控除、セルフメディケーション税制の添付書類

日ごろから健康を気遣っている人が、軽度な症状について、まずは市販薬で対処・経過を見ることで、増大する医療費に歯止めをかけることができ、そのような取組を行う世帯を優遇する----
こうした趣旨のもと、医療費控除の特例として「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)」が平成28年度の税制改正で新設され、平成29年から適用がはじまりました。セルフメディケーション税制は、健康の維持増進・病気等の予防のために一定の取組を行う個人を対象に、平成29年1月1日以降、特定の市販薬(スイッチOTC医薬品)を年間1万2,000円を超えて購入した際、1万2,000円を超えた部分の金額(上限金額:8万8,000円)を所得控除することができます。
平成28年度税制改正のセルフメディケーション税制については、こちらの記事「税制改正2016:「使える」特例の継続、新設など」をご参照ください。

平成29年度の税制改正では、医療費控除及びセルフメディケーション税制に関する添付書類について、現行の医療費の領収書、又は医薬品購入費の領収書の添付等に代えて、医療費の明細書または医薬品購入費の明細書を確定申告書の提出の際に添付しなければならないこととなりました。
もし、税務署長等から当該適用にかかる一定の医療費の領収書または医薬品購入費の領収書の提示、あるいは提出が求められた場合は、原則としてこれに応じる必要があります。
これら一定の領収書等の提出などが求められるのは、確定申告期限等から5年間とされていますので、この間は領収書等もあわせて保存しておきましょう。

この規定は、平成29年分の所得税の確定申告(平成30年1月1日以後に提出する確定申告書)から適用されますが、経過措置として、平成29年分から平成31年分までの確定申告については、現行の医療費の領収書又は医療費購入費の領収書の添付、または提示による医療費控除又はセルフメディケーション税制の適用が受けられることとされています。

一部の所得税の届出書は提出不要に

次に掲げる所得税の届出書について、それぞれ次に定める税務署長への提出が不要になります。
それによって、平成29年4月1日以後、主に変更や異動、移転等に関する届出書で、同じ書類を異動前と異動後の双方の所轄税務署に提出していた手間が省けるようになりました。

(1)納税地の変更に関する届出書
......その変更後の納税地の所轄税務署長
(2)納税地の異動に関する届出書
......その異動後の納税地の所轄税務署長
(3)個人事業の開業・廃業等届出書
......その個人の納税地の所轄税務署長以外の税務署長
(※その個人が、事業に係る事務所等を移転した場合で、その移転前の事務所等の所在地を納税地としていたときは、その移転前の納税地の所轄税務署長以外の税務署長)
(4)給与支払事務所等の移転届出書
......その移転後の給与支払事務所等の所在地の所轄税務署長

個人の所得税をめぐる平成29年度の税制改正は、さまざまな人に影響を及ぼす改正が多いことが特徴です。制度がかわったことにより、どのような選択をすればより有利なのか、考えてみてはいかがですか。

Photo:Getty Images

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この記事の執筆者

浦田泉
浦田泉

税理士。会計事務所、コンサルティング会社を経て2003年「いずみ会計事務所」を開業。自身の起業経験から、特に女性経営者の起業、会社経営、成長戦略などのお手伝いが得意分野。また、新人の経理担当者でもすぐに使えるようになる弥生会計は、顧問先への導入、指導の実績が多数ある。

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