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20.消費税の軽減税率制度の仕組みと税額計算の特例

公開日:

執筆者:大野 修平(公認会計士・税理士)

2019年10月1日より、消費税の軽減税率制度が実施される予定です。軽減税率制度の実施に伴い、消費税の税率が、軽減税率8%と標準税率10%の複数税率となります。今回は適用される品目や帳簿や請求書等の記載方法を解説します。



軽減税率が適用される品目

8%の軽減税率が適用されるのは、以下の品目です。

  • ① 酒類・外食を除く飲食料品
  • ② 週2回以上発行される新聞(定期購読契約に基づくもの)

つまり、①か②に該当しなければ10%の標準税率が適用されるということです。しかし①も②もよく考えてみると、すぐに該当するかどうかが判断できるものではありません。まずは、それぞれの要件を見ていきましょう。

①酒類・外食を除く飲食料品について

飲食料品の範囲を図で示すと以下のとおりです。

軽減税率の対象となる飲食料品の範囲

【参考】
国税庁:2019年10月1日〜消費税の軽減税率が実施されます

「飲食料品」とは、食品表示法に規定する食品のうち「酒類」を除くものを指します。
その他にも、白抜きで表されている「外食」や「ケータリング等」も軽減税率の対象外となります。

また、「一体資産」とは、例えば、おもちゃ付きのお菓子など、食品と食品以外の資産があらかじめ一体となっている資産で、一体としての価格のみが提示されているものを指します。
そして「一体資産」のうち、税抜価額が1万円以下であって、食品の価額の占める割合が2/3以上の場合に限り、全体が軽減税率の対象となり、それ以外の場合は、標準税率の対象となります。

②週2回以上発行される新聞(定期購読契約に基づくもの)について

軽減税率の対象となる新聞とは、一定の題号を用い、政治、経済、社会、文化等に関する一般社会的事実を掲載する週2回以上発行される新聞の定期購読契約に基づくものとされています。
したがって、いわゆるスポーツ新聞や業界新聞などでも、上記を満たすのであれば軽減税率が適用されます。
一方で、駅やコンビニで売っている新聞など、定期購読契約に基づかないものは標準税率が適用されることとなります。
【参考】
弥生:よくわかる!軽減税率対策のポイント

帳簿や請求書等の記載について

2019年10月1日からは軽減税率と標準税率の複数の税率が併存することから、帳簿や請求書等への必要記載事項が変わります。

期間 帳簿への記載事項 請求書等への記載事項
2019年9月30日まで【現行】 課税仕入の相手方の
・氏名または名称
・取引年月日
・取引内容
・対価の額
請求書発行者の
・氏名または名称
・取引年月日
・取引内容
・対価の額
・請求書受領者の氏名または名称
2019年10月1日から2023年9月30日まで 上記に加え
・軽減税率の対象品目である旨
上記に加え
・軽減税率の対象品目である旨
・税率ごとに合計した対価の額(税込)

区分記載請求書等の記載例

【参考】
国税庁:2019年10月1日〜消費税の軽減税率が実施されます

軽減税率の対象品目である旨等が記載された請求書等を「区分記載請求書等」と言いますが、免税事業者であっても、取引先の課税事業者から区分記載請求書等を求められる場合がありますので、複数税率に対応したレジ等を導入するなどして対応できるよう、準備しておかなければなりません。

税額計算の特例

基準期間における課税売上高が5,000万円以下の事業者については、原則的な方法(売上または仕入を税率ごとに区分して税額計算を行う方法)に代えて、次の方法により軽減税率の対象額やその税額を計算することができます。

売上税額の計算特例

売上げを税率ごとに区分することが困難な中小事業者は、次の方法により軽減税率の対象売上げ及び売上税額を計算することができます。

区分 ① 仕入れを税率ごとに管理できる卸売業・小売業を営む中小事業者 ② ①以外の中小事業者 ③ ①・②の計算が困難な中小事業者(注)
内容 卸売業・小売業に係る売上げに小売等軽減仕入割合を乗じた金額を軽減税率対象品目の売上げとし、売上税額を計算

小売等軽減仕入割合

卸売業・小売業に係る
軽減税率対象品目の仕入額(税込み)
卸売業・小売業に係る
仕入総額(税込み)

売上げに軽減売上割合を乗じた金額を軽減税率対象品目の売上げとし、売上税額を計算

軽減売上割合

通常の連続する10営業日の
軽減税率対象品目の売上額(税込み)
通常の連続する10営業日の
売上総額(税込み)

①・②の計算において使用する割合に代えて50%を使用して、売上税額を計算

(注)主に軽減税率対象品目を販売する中小事業者が対象
適用
対象

以下の期間において行った課税資産の譲渡等
2019年10月1日から2023年9月30日までの期間
※ ①については、簡易課税制度の適用を受けない期間に限る。

仕入税額の計算特例

仕入れを税率ごとに区分することが困難な中小事業者は、次の方法により軽減税率の対象仕入れ及び仕入税額を計算することができます。

区分 ① 売上げを税率ごとに管理できる卸売業・小売業を営む中小事業者 ② ①以外の中小事業者
内容 卸売業・小売業に係る仕入れに小売等軽減売上割合を乗じた金額を軽減税率対象品目の仕入れとし、仕入税額を計算

小売等軽減売上割合

卸売業・小売業に係る軽減税率
対象品目の売上額(税込み)
卸売業・小売業に係る
売上総額(税込み)

簡易課税制度を適用しようとする課税期間中に消費税簡易課税制度選択届出書を提出し、同制度を適用し、仕入税額の計算が可能

(参考)原則は、簡易課税制度を適用しようとする課税期間の開始前に消費税簡易課税制度選択届出書の提出が必要
適用
対象

以下の期間において行った課税仕入れ2019年10月1日から2020年9月30日の属する課税期間の末日までの期間
※簡易課税制度の適用を受けない期間に限る。

以下の課税期間に適用可能2019年10月1日から2020年9月30日までの日の属する課税期間
※消費税簡易課税制度選択届出書は2019年7月1日から提出可能

【参考】
国税庁:2019年10月1日〜消費税の軽減税率が実施されます

軽減税率制度については、国税庁からも詳しいQ&Aが公表されていますので、判断に迷った際にはご活用ください。
【参考】
国税庁:消費税の軽減税率制度についてQ&A
弥生:消費税軽減税率制度に関する情報

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この記事の執筆者

大野 修平(公認会計士・税理士)
大野 修平(公認会計士・税理士)

OneWorld税理士法人 公認会計士・税理士。
大学卒業後、有限責任監査法人トーマツへ入所。
金融インダストリーグループにて、主に銀行、証券、保険会社の監査に従事。
トーマツ退所後は、OneWorld税理士法人にて開業支援、融資支援、税務顧問などの業務を行う。
また、毎週、補助金と融資の勉強会 を開催し、中小企業の資金繰り支援にも力を入れている。
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