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給与計算・年間スケジュール

公開日:

執筆者:宮田 享子(社会保険労務士)

毎月、決まった支払日にミスなく従業員に給与を支払う給与業務。これは当たり前に思われるかもしれませんが、非常に重要な業務です。テキパキとこなすには何よりもスケジュール管理が大切です。
今回は、給与締日が毎月20日、支給日が当月25日、賞与支給が毎年7月と12月の会社を例に給与計算の年間スケジュールについて挙げます。



毎月のスケジュール

まずは、毎月のスケジュールを確認しましょう。

従業員へ税務署へ市区町村へ年金事務所
又は健康保険組合へ
10日・源泉所得税の納付・住民税の納付
25日・給与支給
末日・健康保険料、厚生年金保険料の納付

例えば2月25日に給与を支払うとしましょう。給与の締日は2月20日ですから1月21日から2月20までの間の出勤簿やタイムカードを確認して残業時間、深夜残業時間、休日勤務時間などを集計します。そして残業手当や深夜残業手当、休日出勤手当を計算します。
また、有給休暇の取得や欠勤が無かったかも確認します。

参考記事「あらためて知っておきたい「残業手当」の基礎知識 〜実践編〜

給与締日と支払日が近ければ近いほど、給与業務のスケジュールがきつくなることがわかると思います。特に給与支払い日が土日祝日と重なっていたら前倒しにする会社が多いと思いますが、その場合なおさら厳しいですね。
ですから勤怠の集計はなるべく早く行いましょう。

さて、給与から控除した税金や社会保険料の話になりますが、所得税は3月10日までに税務署へ納めます。また、住民税は同じく3月10日までに市区町村へ納めます。
そして健康保険料と厚生年金保険料は3月末日迄に納めます。

雇用保険料も給与から控除していますが、納付は毎月ではなく年度更新の時になります。
なお、労災保険料は全額事業主負担なので従業員の給与から控除はしません。

1年のスケジュール

次に、年間のスケジュールを確認してみましょう。

従業員へ税務署へ市区町村へ年金事務所
又は健康保険組合へ
労働基準監督署等へ
1月・給与所得の源泉徴収票など法定調書の提出(31日まで)
・源泉所得税特例納付(7~12月給与から控除分:20日まで)
・給与支払い報告書提出(31日まで)・労働保険料の納付(分割納付の第3期分:31日まで)
3月または4月・健康保険料率、介護保険料率変更
6月・住民税変更(1)・住民税特例納付(12~5月分:10日まで)
7月・賞与支給
・住民税変更(2)
・源泉所得税特例納付(1~6月給与から控除分:10日まで)・算定基礎届【算定】(10日まで)
・賞与支払届(支給日から5日以内)
・労働保険申告書の提出と納付【年度更新】(一括納付分または分割納付の第1期分:10日まで)
10月・算定基礎届による社会保険料変更・労働保険料納付(分割納付の第2期分:31日まで)
12月・賞与支給
・年末調整
・住民税特例納付(6~11月分:10日まで)・賞与支払届(支給日から5日以内)

1月は年末調整の事後処理

12月に年末調整が終わってやれやれという気持ちで年末年始を過ごしたところかもしれませんが、1月にはまだ年末調整の事後処理が残っています。源泉徴収票を税務署へ、給与支払報告書を市区町村へ提出します。そして書類を提出したら、速やかに源泉所得税を納付します。

源泉所得税の納期の特例

源泉所得税は、毎月10日迄に納付するのが原則ですが、従業員が10人未満で「納期の特例」の承認を受けた場合は、1月20日と7月10日の年2回にすることができます。
「源泉所得税の納期の特例に関する申請書」の書き方は以下の記事を参考にしてください。

【参考記事】
従業員を雇用するときの書類の書き方

春は社会保険料の料率に注意

健康保険料と介護保険料、雇用保険料の料率は、毎年春に見直しが行われます。3月または4月分から料率が変更になる場合がありますので、その時期の情報に注意しましょう。

健康保険料の料率は同じ協会けんぽでも都道府県の支部によって異なりますが、介護保険料率は全国一律です。また、健康保険組合の場合は組合ごとの規約によって異なります。

6月からスタートする住民税

市区町村へ提出した給与支払報告書をもとに計算された住民税の額は5月下旬頃に市区町村から会社へ通知されます。そして住民税を給与から控除するのは6月から翌年5月までが1クールです。

尚、源泉所得税と同様に従業員10人未満で「納期の特例」の承認を受けた場合は、毎月の納付を年2回にすることができます。ただし納期は6月10日と12月10日で、源泉所得税の納期とは1ヵ月ずつずれていますので注意しましょう。

社会保険料の決定は原則1年に1度

従業員の給与から控除する健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料の額は標準報酬月額という給与の等級分けで決まりますが、これは基本的に1年に1度「算定基礎届」を年金事務所または健康保険組合に届け出ることで決定します。4月から6月に支払われた給与額をもとに1カ月あたりの平均額を算定し、それを等級分けしたうえで、あらためて9月分以降の保険料を決定します。9月分の社会保険料は10月に支給する給与から控除します。標準報酬月額が上がったり下がったりした、あるいは以前と同じだったとしても従業員へのお知らせはきちんとしておきましょう。

労働保険料は年に1回または分割納付

会社が雇用保険料と労災保険料を納付するのは、一年に一度の「年度更新」の時です。一年度分の労働保険料を一括納付または3回に分割します。3回に分割して納付できる要件は以下①または②に該当した場合です。

  • ① 概算保険料額が40万円(労災保険か雇用保険のどちらか一方の保険関係のみ成立している場合は20万円)以上の場合
  • ② 労働保険事務組合に労働保険事務を委託している場合

なお、労働保険料申告書の提出時期は6月1日から7月10日まで、社会保険料の算定基礎届の提出は、時期は毎年7月1日から7月10日までです。どちらも期限が7月10日です。7月といえばこの事例の会社は賞与支給もあります。支給後は賞与支払届も出しますから担当者はこの時期に大変忙しくなります。

【参考記事】
労働保険とは?制度と年度更新について解説

まとめ

給与業務に加え社会保険手続き業務もあるので、担当者としては「あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ」と頭がいっぱいになってしまうかもしれません。でもちょっと落ち着いてください。スケジュールと全体像を把握して、どのような段取りで進めていくかをあらかじめ決めておくことで冷静に業務を進めることができるでしょう。

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この記事の執筆者

宮田 享子(社会保険労務士)
宮田 享子(社会保険労務士)

社会保険労務士。産業カウンセラー。

社労士法人・税理士法人等で実務経験を積んだ後平成22年独立開業。労務相談の他、講師業やメンタルヘルス対策に力を入れている。趣味はオーボエ演奏とランニング。

みやた社労士事務所HP

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