「ノウハウの現物出資」も可能?会社設立時の出資形態をどうすべきか

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「会社法」の施行により、株式会社の資本金は1円でもよくなりました。とはいえ、やはり資本金は会社の信用に関わる重要な指標ですし、会社設立時に何円を出資するかは、株式持ち分比率に関わる重要な問題です。会社設立を検討しているスモールビジネス事業主は、設立に伴う出資形態について理解しておきましょう。


会社設立時の「出資」で資本金や株式持分が決定される

株式会社を設立する場合、みんなでお金を出し合い、出し合ったお金の合計を会社の「資本金」として、出したお金の比率に応じて株式を持ち合うのが原則です。資本金とは、会社の債権者(例えば会社に原材料を販売し代金支払をまだ受けていない売主)を保護するため、一定金額以上を会社財産として保有させる仕組みです。

例えば、会社は株主に対して「配当」として金銭を支払うことがありますが、会社の総資産額のうち資本金額を超えない部分は支払うことができません。つまり、業績の悪化で会社財産が資本金を割り込んでしまうことはあっても、意図的に割り込ませることはできません。債権者から見れば、「資本金」の部分から自分の債権を回収できるという期待を持つことができます。

会社の総資産と資本金の関係

会社の総資産と資本金の関係

このように、資本金の額は会社が保有する財産の目安であり、会社の信用の目安となるものです。そして、設立時の出資とは、この資本金を払い込むことで、会社の信頼の内実を作るもの。したがって、原則として現金で出資することが求められます。

「初期の出資形態」を検討する必要性とは?

しかし、技術を持っているけどお金はない、という人もいるはず。
技術を提供できる人とお金を提供できる人が共に会社を設立する場合、お金を出した人が多くの株式を持ち、会社経営権を掌握する......というのは問題です。お金は出せないけれど、事業の要となる技術を提供するのだから、お金を提供する人と同じくらいの経営権を手に入れたい!と思うのでは?

また、資本金の額は会社を設立する人が自由に定めることができ、1円でもOK。そこで、他の人に経営権を握られるのは嫌だから、低額の出資金で自分一人で会社を作る......という選択肢もありそうなのですが、これは現実的とは言えません。なぜなら、前述のように、資本金の額は会社の信用の目安。1円の資本金の会社に融資してくれる銀行はありません。

したがって、これらの問題を解決するために、技術の出資を金銭の出資と同様に評価する手段として、初期の出資形態について検討する必要があるのです。

金銭の出資と「現物出資」

前述のとおり、出資は金銭によることが原則です。
しかし、例外として金銭以外の財産による出資も認められています。これが「現物出資」と呼ばれるもの。具体的には、不動産や債権のほか、特許権、ノウハウなどの出資が考えられます。

現物出資を行う場合、出資する目的物の価値を評価して、出資者はその評価額に応じた株式を引き受けることができます。そして、その評価額がそのまま資本金になります。つまり、例えば500万円の評価額の土地を出資した場合、土地の出資者は500万円分の株式を取得し、会社の資本金は500万円になります。

現物出資に対する法律の規制とは?

もっとも、目的物の評価額は自分で決めることができる曖昧なもの。特に特許権やノウハウなどの評価は困難です。しかし、目的物を過大に評価して不当に多くの株式が与えられると、金銭出資をしたほかの株主との間で不公平が生じたり、資本金の額が会社財産の実態よりも大きくなってしまい、資本金の額を信頼してお金を貸した会社債権者を害する結果となってしまうなど、問題になります。

そこで法は、現物出資を行う場合は評価額の相当性を判断するために、原則として検査役による調査を義務付けています。

しかし、この検査役調査は時間もお金もかかり、これから事業を始めたいスモールビジネス事業主にとっては大きな負担です。したがって、現物出資を行う場合には、検査役の調査が例外的に免除される、次の3つのいずれかに該当する形で行うとよいでしょう。

  1. 現物出資の目的財産評価額の総額が500万円を超えない場合
    この方法のポイントは、現物出資を行う目的物が複数ある場合には、総額で500万円以内にしなければいけないということ。
  2. 市場価格のある有価証券の場合は、評価額が市場価格を超えない場合
  3. 価額が相当である旨の弁護士・公認会計士・税理士等の証明を受けた場合

もっとも、これらの手段を用いれば検査役の調査が不要となるものの、目的物の実際の価額が評価額よりも著しく不足する場合に、会社に対して不足分を支払う義務を負うことがあるため、注意が必要です。

会社設立時には出資形態を要検討

以上のように、「現物出資」という出資形態を用いることで、技術を提供する人とお金を提供する人の間で株式の持分比率を適正にしたり、現金がなくても技術を出資することで資本金を確保したりすることができます。

会社の設立にあたっては、自らの手元にある財産をどのような形で出資すべきか、出資形態を検討しましょう。

弁護士 河瀬 季かわせ とき

河瀬季

コスモポリタン法律事務所(東京・音羽)所属。東京大学法科大学院卒業。起業支援など企業法務を得意としており、中小企業などのスモールビジネス事業主に対する、資金調達や労働問題などを含む各種の法務アドバイスなどを行っている。また、エンジニアやテック系ライター、ITベンチャー執行役員の経験がある元IT関連フリーランス・理系出身者であり、特許法などの知的財産法や、電子商取引・ドメインを巡る紛争など、IT法にも強い。個人サイトは「tokikawase.info」、Twitterは@tokikawase

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