「会社イコール株式会社」ではない!選択すべき会社形式とは

2014/07/19

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「個人事業の規模が少しずつ大きくなってきた」、「一緒に事業を行う仲間もできた」……といった理由で「会社化」を考える時には、本当に株式会社で良いのかを検討すべきです。株式会社以外の会社形式や、ベストな形式を考えるために必要な基礎知識について解説します。


スモールビジネス事業者にとって「株式会社」は本当にベスト?

会社と言えば株式会社......と思っている人が多いはず。実際、日本の会社のほとんどは「株式会社」です。ただ、「株式会社」というシステムは、スモールビジネス事業者が「会社」に対して持つイメージを実現するための手段として、必ずしもベストなものではありません。

「事業を共に行う仲間と、お金や技術を持ち寄って、皆で話し合いながら経営を拡大させていく」

自分の事業を「会社」にすることについて、上記のようなイメージを持っているスモールビジネス事業主は、「株式会社」以外の方式を選択する可能性にもついても、現実的に検討すべきでしょう。

株式会社における「所有と経営の分離」とは

「株式会社」は、「事業を行うには多額の資金が必要である」という問題に対する、人類が現時点で到達している「ベスト」な解決手段です。「所有と経営の分離」という言葉を聞いたことがある人も多いはず。これはどういうことかというと、

  • 所有(株主)...お金を提供する人
  • 経営(取締役など)...日常の会社経営を行う人

上記のように、お金を提供する人と実際に経営を行う人を分けることです。

そして所有者は、経営者の選任権(取締役は株主総会で選任されます)、経営に関する重要事項の決定権(例えばいわゆるM&Aを行うには基本的に株主総会が必要です)などを持ちます。「お金を提供する人」に対して、単に「お金を貸して(使い道には口を出さないで)」と頼むより、「株主になって(会社の所有者になって)」と頼む方が、多額のお金を提供して貰いやすい、ということです。

株式会社の創業者は「所有者」からも「経営者」からも追放され得る

「株式会社」の場合、会社の創業者は、株主かつ(代表)取締役となります。
このうち、「取締役」としての地位は、上記通り「危うい」ものです。いつか株主総会の選任決議で「取締役」としての地位を剥奪されてしまうかもしれません。

そして、「株主」としての地位もまた、「危うい」ものです。例えば、いわゆる「少数株主の追い出し」とは、一部の株主を強制的に「株主」から追放するための措置です。創業者も、いつか「少数株主」となってしまったら、「追い出し」を受けるかもしれません。

「株式会社」は、たしかに「多額の資金調達」にとっては「ベスト」な選択肢です。ただ、「株式会社の長所を活かした資金調達」を行おうとすると、創業者の「経営者」「所有者」としての地位は、「危うい」ものになります。この「危うさ」を理解した上で、それでも資金調達を行いたい......というのが、株式会社というシステムなのです。

株式会社以外の会社形式とは

では、株式会社以外には、どのような会社形式があるのでしょうか。
「有限会社」は、法律改正によって現時点では作成不能です。現時点で作成できるのは、「持分会社」と呼ばれる種類の会社であり、「合名会社」「合資会社」「合同会社」の三種類です。三種類もあって分かりにくいのですが、ポイントは、「出資者(社員)は有限責任か無限責任か」という点です。

「有限責任」と「無限責任」とは

例えば、株式会社の場合、会社の経営が破綻すると、株券は「紙切れ」になってしまいます。100円で買った株式の価値がゼロになってしまいます。しかし、仮に債務超過だとしても、株主が会社の借金を払う必要はありません。別の言い方をすれば、「株主は株券購入の際に払った額の限度でのみリスクを負う」ということです。

これが、「有限責任」。
これとは異なり、個人が借金をした場合は、その個人は借金全額を払わないといけません。これが「無限責任」。

自分の事業にピッタリな会社形式を選択しよう

出資者全員が有限責任......つまり出資した額の範囲内でのみ責任を負うのが「合同会社」、その反対に出資者全員が無限責任......つまり会社の債務全額について責任を負わされるのが「合名会社」、中間が「合資会社」という関係です。

3つの会社形式の違い

  法人 法人ではない
有限責任 株式会社 合同会社  
有限責任と
無限責任が混在
  合資会社
無限責任 合名会社 個人事業(複数人なら組合)
  所有と経営の分離あり 所有と経営の分離なし

上の表通り、個人事業(や複数人の場合の組合)と株式会社の間には、「法人格の有無」のみならず、「所有と経営の分離の有無」「有限責任か無限責任か」などの違いがあります。「会社と言えば株式会社」と即断せず、自分は事業を会社化することで何を実現したいのか、そのために「ベスト」といえる形式は何なのか、一度考えてみることが重要です。

弁護士 河瀬 季かわせ とき

河瀬季

コスモポリタン法律事務所(東京・音羽)所属。東京大学法科大学院卒業。起業支援など企業法務を得意としており、中小企業などのスモールビジネス事業主に対する、資金調達や労働問題などを含む各種の法務アドバイスなどを行っている。また、エンジニアやテック系ライター、ITベンチャー執行役員の経験がある元IT関連フリーランス・理系出身者であり、特許法などの知的財産法や、電子商取引・ドメインを巡る紛争など、IT法にも強い。個人サイトは「tokikawase.info」、Twitterは@tokikawase

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