税金が割増しになるのはこんなとき【罰則的な税金について】

2017/02/23更新

この記事の執筆者宮原 裕一(税理士)

「帳簿づけを頑張ってはみたのだけど、確定申告の申告期限に間に合わなかった……」なるべくならこんな経験はしたくないところですね。ところで、期限までに申告書を出せなかったときなどは、何らかのペナルティや罰金があるのではないかと心配になってきますね。今回は、どんなときにどのような罰則的な税金がかかるのかを紹介します。

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POINT

  • 無申告のまま、所得税の確定申告の期限(3月15日)を過ぎると、原則として「無申告加算税」がかかる
  • 期限を過ぎてから税金を少なく申告していたことに気づいた場合、修正申告をして正しい税額との差額を追加で納める
  • 源泉所得税を納め忘れた場合、「不納付加算税」がかかる

申告期限までに申告をしなかった場合(無申告加算税)

所得税の確定申告はその年の翌年3月15日までにしなければなりません。この期限を1日でも過ぎてしまうと、期限内に申告が無かったことに対しての罰則として「無申告加算税」の対象となります。

ただし、頑張ったのだけど間に合わなかったという場合のように、提出する意思があって、法定申告期限から1ヵ月以内に自主的に申告・納付するなど一定の要件を満たす場合には無申告加算税はかかりません。しかし安心せずに、できるだけ早く申告するようにしましょう。なお、後述しますが、遅れて納めた税金に対しては、延滞税は発生します。

さて、無申告加算税は、本来納める税額に対して、50万円までは15%、50万円を超える部分には20%の割合でかかります。この場合でも税務調査がある前に自主的に申告した場合は5%に軽減されます。
例えば、本来納める税額が60万円だったときは、図のように50万円×15%+10万円×20%で95,000円の無申告加算税がかかるのです。自主的に申告した場合は60万円×5%=30,000円に軽減されますが、それでも5%はかかるのです。
また、平成28年度の税制改正により、税務調査の事前通知を受けてから申告をしたり、無申告や仮装・隠蔽を繰り返す場合には加算税が割増しとなるなど罰則が重くなっています。

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確定申告に間違いがあり少なく申告していた場合(過少申告加算税)

確定申告をした後、間違えて税金を少なく申告していたことに申告期限を過ぎてから気がついたときは、修正申告をして正しい税額との差額を追加で納めることになります。この少なく申告してしまったことへの罰則として「過少申告加算税」がかかります。
過少申告加算税は、追加で納める本税に対して、期限内に申告した税額と50万円のいずれか多い方の金額までは10%、多い方の金額を超える部分は15%の割合でかかります。
少しわかりづらいですが、例えば本来60万円の納税だったところ40万円で申告してしまい、追加納付が20万円あったというときは、図のように20万円×10%で2万円の過少申告加算税がかかります。

また、平成28年度の税制改正により、税務調査の事前通知を受けてから申告をした場合には加算税が割増しとなるなど罰則が重くなっています。
なお、税務調査がある前に自主的に申告した場合には過少申告加算税はかかりませんので、できるだけ早く申告するようにしましょう。

従業員などから預かった源泉所得税を納め忘れた場合(不納付加算税)

従業員の給与や、外注先の報酬などで源泉徴収が必要なときは、原則として源泉徴収した月の翌月10日までに源泉所得税を納める必要があります。この源泉所得税を納め忘れた場合には、納めなかったことに対して「不納付加算税」がかかります。
不納付加算税は遅れてしまった本税の10%(自主的に納付したときは5%)の割合でかかります。ただし、その計算結果が5千円未満の場合であったり、法定納期限から1ヵ月以内に納付するなど一定の要件を満たす場合には不納付加算税はかかりません。

売上をごまかすなど悪質な行為があった場合(重加算税)

期限内に申告できなかったとか、経理を間違えてしまったという場合ならともかく、「仮装・隠蔽」があったときは悪質なものとして、これまでに紹介した過少申告加算税・無申告加算税・不納付加算税に代えて「重加算税」がかかります。
仮装・隠蔽とは、例えば「売上の請求書などを破棄して売上がなかったことにした」とか、「実在しない相手先に架空の経費を払ったようにした」というような行為をいいます。
この場合、過少申告加算税や不納付加算税の対象だったときはこれに代えて35%、無申告加算税の対象だったときはこれに代えて40%の割合で重加算税がかかります。
平成28年度の税制改正により、悪質な行為を繰り返すとさらに割増しになります。

法定申告期限を過ぎてから納めた税金がある場合(延滞税)

期限後申告や修正申告などで、法定申告期限を過ぎてから納めた税金がある場合は、期限を過ぎてから納めたことに対しての延滞利息として「延滞税」がかかります。遅れて納めた税金に対して、法定申告期限の翌日から税金を納めた日までの期間に応じて2ヵ月以内は年2.7%、2ヵ月を超えた期間は年9.0%(平成29年の場合)の割合などで日割り計算されます。例えば期限後申告で60万円の税金を2ヵ月遅れで支払った場合、60万円×2.7%×61日/365日=2,700円の延滞税がかかります。

収入印紙を貼り忘れた場合(過怠税)

印紙税の対象になる契約書や領収証などで、収入印紙を貼り忘れた場合には、印紙を貼っていなかったことに対して「過怠税」がかかります。
過怠税は、本来貼るべきであった金額の3倍の割合でかかります。ただし、調査を受ける前に自主的に不納付を申し出たときは1.1倍に軽減されます。
なお、相手先が発行する領収書に収入印紙が貼られていなかった場合は、当然ですが相手先が過怠税の対象となります。

まとめ

いかがでしょうか。納税という国民の義務。ルールを守らなかったら、それ相応のペナルティがあるのは当然です。間違えがあった場合は仕方ありませんが、少なくとも期限は守るようにしましょうね。

photo:Getty Images

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この記事の執筆者宮原 裕一(税理士)

宮原裕一税理士事務所新規タブで開く」代表税理士。弥生認定インストラクター。
弥生会計を20年使い倒し、経理業務を効率化して経営に役立てるノウハウを確立。経営者のサポートメンバーとして会計事務所を営む一方、自身が運営する情報サイト「弥生マイスター」は全国の弥生ユーザーから好評を博している。

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