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税理士に聞く!消費税のしくみと増税対策

公開日:

執筆者:黒木 泰二郎

税理士に聞く!消費税8%対策 第1回「意外と知られていない消費税のしくみを再確認」

いよいよ4月から消費税率が8%に引き上げられます!そこで、スモールビジネス事業者が消費税で損をしないための対策や節税につながるアドバイスを3回にわたって東京・渋谷のアトラス総合事務所 代表パートナー 井上 修氏(公認会計士・税理士・行政書士)に語っていただきました。第1回は、消費税対策を考える上でまず押さえておきたい「消費税のしくみ」について解説いただきます。

消費税の納付はどうすればよいか?確定申告の際も参考に



流通の各段階の事業者は、消費税を全額納税しているわけではない

私たちは、コンビニなどの小売店で商品を買う時に消費税を支払いますが、小売店をはじめとする事業者がどのように消費税を納付しているかはあまり知られていないようです。実は、それぞれの事業者は、消費者が負担する消費税を先に預かって納付しているというのが消費税の基本的な考え方です。そのようにイメージすると消費税が少し理解しやすくなるかもしれません。

具体的な事例を挙げて説明しましょう。

消費税のしくみ.jpgあるメーカーが、1,050円(消費税50円含む)で仕入れた原料を加工して商品を製造し、小売店に2,100円(消費税100円含む)で販売したとします。その場合、メーカーは、商品の売上に上乗せした消費税100円から仕入にかかった消費税50円を差し引いた50円を税務署に納付します。

次に、小売店が1,000円の利益を上乗せして3,150円(消費税150円含む)で消費者に販売した場合、その売上にかかる消費税150円から仕入にかかる消費税100円を差し引いた50円を納付します。ただ、ここで忘れてはならないのは、メーカーに原料を納入した会社も消費税50円を納めていること。つまり、3つの事業者が50円ずつ消費税を納付し、それは最終的に消費者が負担する消費税150円と一致するのです。

消費税率が8%になるとどうなるの?

消費税率が8%10%になっても、このしくみは変わりません。もちろん消費税率が上がれば消費者の財布のヒモが固くなるので、景気が冷え込む可能性はあります。しかし、理論上、それぞれの事業者は売上にかかる消費税から仕入にかかる消費税を差し引いて国に納付し、消費者はその合計額を最終的に負担しているので各事業者の売上や利益が減ることはないのです。

課税売上高1000万円を超えるかどうかで消費税の課税、免税が決まる

ただし、現行の消費税制度では、事業者は売上高によって次のように2つに区分けされます。

● 免税事業者
前々年の課税売上高(*1)が1,000万円以下のスモールビジネス事業者は、原則として消費税の納付を免除されます(例外として、前年上半期6か月間の課税売上高及び給与等支払額が1,000万円を超える場合は課税事業者になります)。また、資本金1,000万円未満のスモールビジネス事業者が起業した場合、初年度は免税事業者となりますが、2年目は前年上半期6か月間の課税売上高または給与等支払額が1,000万円を超えない場合だけ、免税事業者になります。

● 課税事業者
前々年の課税売上高が1,000万円超(1,000万円以下でも、前年の上半期6か月間の課税売上高及び給与等支払額が1,000万円超の場合も課税事業者になります。また、資本金1,000万円以上の中小事業者が起業した場合も課税事業者になります。)のスモールビジネス事業者で、消費税の納付が義務付けられています。

上記の2つの中で、スモールビジネス事業者で該当するケースが多いのが、課税売上高1,000万円以下の免税事業者です。実は、免税事業者の場合、消費税の納付を免除されているため請求額に消費税を上乗せできないと思っていたり、得意先から消費税を請求しないように要請されたりすることにより、事実上、消費税を売上に転嫁できていないケースも多いようです。そうしたなか、この4月から税率が8%になり、来年10月(*2)に税率が10%になると、事業運営上、大打撃を受ける可能性があります。

そこで、次回はどうやって請求額に消費税分を転嫁していくかなど、消費税率8%引き上げ後の免税事業者の対策について述べたいと思います。

税理士に聞く!消費税8%対策
第2回「課税売上高1,000万円以下の免税事業者の対策」
第3回「課税売上高1,000万円超の課税事業者の対策」

(*1)課税売上高とは、消費税がかかる売上高の事です。たとえば、みなさんの売上高から、不課税取引(配当金、保険金、損害賠償金、寄附金、お祝金、香典、税金の還付金、補助金、敷金返却分の受取など)と非課税売上(土地、切手・商品券・プリペイドカード・有価証券の売却、利息の受取、賃貸期間1ヶ月以上の居住用家屋の賃貸料・礼金・更新料収入など)を除いた金額がそれにあたります。詳しくは、国税庁ホームページでご確認ください。(*2)2015年税制改正により、消費税率が10%になる時期が1年半延期され、2017年(平成29年)4月1日からとなっています。(編集部注)

井上 修いのうえ おさむ

井上 修氏

公認会計士、税理士、行政書士。昭和32年東京都生まれ。アーサーヤング公認会計士共同事務所、興亜監査法人、山田公認会計士事務所、岩下敏男税理士事務所を経て平成3年に独立開業し、井上公認会計士事務所を開設。さらに平成17年に公認会計士、税理士、社会保険労務士、司法書士、行政書士登録がひとつになったアトラス総合事務所を東京・渋谷に開設。

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この記事の執筆者

黒木 泰二郎
黒木 泰二郎

広告制作会社から独立し、現在フリーランスライター&コピーライター。得意分野はIT、教育、自動車、保険、住宅など。取材執筆をはじめ、広告のキャッチコピー、ネーミング、販促企画、翻訳リライトなど幅広いニーズに対応。スモビバでは、10年超の確定申告歴を活かして、フリーランサーに向けて申告・納税に関する役立つ情報を提供できたらと思います。Facebook :黒木 泰二郎

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