オリエンタルスパ・アユス 西田社長 信念を持てば「好き」を仕事に出来る

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オリエンタルスパ・アユス 西田社長 信念を持てば「好き」を仕事に出来る

世の中には「好きを仕事にする人」と「好きなことだけは仕事にしない人」の2種類がいる。アユスの西田若葉社長は前者の方だ。20年前、アーユルヴェーダとの出会いが彼女の仕事、いや人生そのものを劇的に変えた。オイルを求めて本場インドへ飛び、個人事業主から一企業の経営者へ。さらにスクールを開講し、美容関連専門のコンサルタント業にも着手。すべては、「好きなこと」への情熱と探究心があったからこそ。「数字が苦手」と笑う西田さんは、生き馬の目を抜くエステ業界でいかに自分の居場所を築いてきたのだろうか。


いちばん納得できる存在だったアーユルヴェーダ

大学時代にはエステの専門学校にも通うなど、かねてから美容業界に関心のあった西田さん。大学卒業後は化粧品会社に就職したものの1年後には出産を機に退社。しかし「このままではいけない」という焦りが彼女を再び美容業界の道へと突き動かす。

「ケーキ屋さんもいいなと思ったんだけど、1ホールのケーキは2千円。エステは1人2万円。子供を育てることを考えたら、顧客単価が高いものをと思いました」

個人事業主として信販会社のローンを700万円ほど組み、マンションの1室に小さなエステサロンを立ち上げたのは、バブル景気まっただ中の1989年頃。まめなフォローアップと丁寧な施術で、口コミ中心に客足は徐々に伸びていったが、これといった粧材にめぐりあえずにいた。そんなとき、'95年に出会ったのがインド古来のアーユルヴェーダ。体の調和を何よりも大事に考えられた独自のメソッドは、知れば知るほど納得のいくものだった。

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「たとえば、痩せるオイル調合しようとするときに、従来のエステなら発汗促進やデトックス、引き締め用のオイルといった似たような作用を持つものをそれぞれ調合するんですが、アーユルヴェーダの場合は、デトックスするんだけど肌を育てるといったように、必ず反作用となるものも加えるんですね。つまり決して一方向だけではない、体全体のバランスについて考え抜かれた哲学に惹かれました」という。

本場インドへ飛び直接交渉。しかし届いたオイルは...

まだ日本では普及していないアーユルヴェーダをもっと広めたい。そんな思いから、2001年には有限会社アユスを設立。資本金300万(当時)はコツコツ貯めていた貯金からまかなえた。設備や器具を充実させ、そして専用のオイルを仕入れるべく、化粧品輸入販売業という資格を取り、本場のオイルメーカーと交渉すべくインドへ飛んだ。

「日本と違ってインドではクビを横に振るのがYesという意味なんですよね。どうしてこんなに断られてばっかりなんだろうって最初は思っていました(笑)」

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見知らぬ異国で、初めて経験する外国人相手の交渉。しかも本人いわく「英語も数字も苦手」。法外な値段をふっかけられながらも持ち前のバイタリティーでなんとか商談成立へとこぎ着けたが、輸入して取り寄せたオイルは8割がた漏れており、使いものにならなかった。それでも残ったオイルを試してみたところ、客の反応は上々。

「現地価格からすればかなり高い値で取引したのですが、それでも魅力的だと思えるのが現在使っているカイラリ社のオイルでした」

直感は、揺るぎない確信へと変わっていった。

奥が深いから、どうしても習得までに時間がかかる

会社設立後は、アーユルヴェーダの認知度が徐々にアップしたことも手伝って、リピーター客も急増。さらにアーユルヴェーダ専門のスクールカイラリ学院日本校を開講した。設備投資のための借金も完済し、2012年には増資して株式化を果たした。

現在は横浜のサロンに加え、東京の南青山、成城の3店舗を経営し、近年は美容に関するセミナーや雑誌への執筆、コンサルティングの仕事も精力的にこなしている。

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「いちばん大変なのは何ですか」と尋ねると、「やはり人材育成」という答えが返ってきた。
「同じ美容業界でも、たとえばヘアメイクなどは常に新しいトレンドを取り入れなければなりませんが、エステティシャンはそれまでのキャリアやノウハウの蓄積が問われます。お客様とマンツーマンで対峙する職業ですから、手先の器用さはもちろん、接客の作法やフレキシブルな対応力がすごく大事なんですよね」

 

古来、メソッドが確立されているアーユルヴェーダの場合、完全に習得するまでには最低でも5年。店舗を任せられるようになるには10年は必要というから、もはや立派な職人の域である。
「よくスピリチュアルなものと誤解されがちですが、アーユルヴェーダは本来生きるための知恵という意味。とても奥が深いものなので、どうしても時間がかかってしまうんです」

また、人材の教育だけでなく、自身の研鑚も怠たらない。必ず自分に課しているのは、お客様のために毎シーズン50万円を使うこと。新しい機械や粧材を導入し、顧客を常に飽きさせないよう努めているのだ。

心の底からいいと思うものを勧めないと心に響かない

当たり前だが、エステサロンの経営者となるには、技術面だけではなく、お金に関する知識も必要だ。「数字が苦手」という西田さんの場合は、どうやって施術者と経営者としての自分を両立させていたのだろうか。

「個人事業主だった頃から、顧客管理にはパソコンを使っていました。一目で予約状況とか売上げがチェックできるのがありがたいですね。会計ソフトも比較的早くから導入していましたし、税理士さんにもお願いしていたので、確定申告で困ったことは特にないですね。こう見えても一応経済学部卒なんです(笑)。節税は特に意識していませんが、なるべく設備投資や社宅を借りることでお客様や従業員に還元できればと思っています」

個人事業主時代から数えると、かれこれ四半世紀。「開業しても8割は3年以内に廃業する」という定説もあるほど厳しいエステ業界で生き抜いていくのには何が必要なのだろか。最後に起業希望者に向けたアドバイスを伺ってみた。

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「たとえ儲けが出たとしても、ビジネスは常に右肩上がりじゃないことを意識すべきですね。悪くなったときの備えや、土壇場で守り抜く力が必要です。それと時代に流されない信念を持つことでしょうか。世の中がどんなに変わっても、いいものはいい!というポリシーを持つこと。特にエステ業界に関していえば、客単価が高い業種なので、心の底からいいと思うものをお客様に勧めないと心に響かないんです」

「好きなこと」で仕事を続けられたのは、揺るぎない信念や使命感があってこそということだろう。何より、ビル最上階にあるサロンの眺望がその証のように思えた。

西田若葉にしだわかば

西田若葉

1959年生まれ。株式会社アユスおよびカイラリ学院日本校代表。日本におけるアーユルヴェーダの第一人者として施術・普及を続けるかたわら、国内外で数多くのセミナーやスパコンサルタントも行っている。著書に『アジアの伝統美容法』(フレグランスジャーナル社)など。

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この記事の執筆者

宗像幸彦
宗像幸彦

1970年、熊本県天草市生まれ。東京外国語大学卒業後、出版社勤務を経て、2001年よりフリーランスの編集者・ライターとして活動中。主に扱うジャンルは、音楽、旅、街歩き、農業など。30代には数年間、タレント事務所の雇われ社長としてマネージメント業務を経験。twitter:@muna_yuki

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