マイナンバー制度の概要と企業・個人事業主に求められる対策

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執筆者:手塚悟

マイナンバー制度の概要と企業・個人事業主に求められる対策

2015年(平成27年)10月、マイナンバーがいよいよ国民全員に通知され、2016年(平成28年)1月から社会保障、税、災害対策の行政手続きで利用されます。日経BPコンサルティングの「企業・組織におけるマイナンバー対応に関する実態調査」によると、マイナンバー制度対応作業を「実施している」企業は約17%にとどまるとの調査結果が出ているようです。

まず、この新しい制度は企業や個人事業主にとってどのような影響があるのでしょうか。それぞれ解説します。



POINT
  • マイナンバー制度の意義とは何か。
  • マイナンバーと企業の関係はどうなるのか。
  • マイナンバーと個人事業主の関係はどうなるのか。

マイナンバー制度の意義とメリット

2013年(平成25年)5月に「行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(通称:マイナンバー法)が成立しました。マイナンバー制度は、税と社会保障と災害の分野に適応するものでありますが、メリットとしてわかりやすいのは税制面での効率化でしょう。

納税者が講演の謝金等を納税申告書に掲載し提出する場合、現行では氏名と住所を納税申告書に書き税務当局に提出します。一方、謝金を支払った企業は法定調書に納税者の氏名と住所を記載して税務当局に提出します。 その後、税務当局では納税申告書と法定調書を突合して、記載内容の整合性をチェックします。

この突合に際して、同一人のものであるかをチェックするための情報は、氏名と住所です。ところが、そのチェックにおいて、住所が同じ場所であるにもかかわらず、「○丁目△番地」と書いているものもあれば、「○―△」と書いているものもあります。人間から見ると同一であると認識できても、コンピュータ処理では認識できず、整合性チェックが確実にできない状況が発生しておりました。

しかし、納税者のマイナンバーを納税申告書と法定調書のそれぞれに記載すれば、両方を突合することで確実に同一人であることをチェックすることができるようになります。

突合処理の正確性が向上するとともに、これまで行政が割いていた人件費の削減も可能になるでしょう。

法定調書の変更

税務当局に申告書、申請書、調書等を提出する者は、それらの書類にマイナンバーを記載することになります。具体的には、源泉徴収票、給与支払報告書、扶養控除等申告書等の法定調書にマイナンバーを記載する欄が追加されます。

これらは、国税通則法、所得税法、法人税法、相続税法等の規定により定められておりますので、そのための法令改正が順次行われていきます。

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報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書 【平成27年5月15日掲載】(国税庁)より引用

マイナンバーと企業の関係

マイナンバーと企業の関係は具体的には何がポイントかを説明したいと思います。まずは、マイナンバー制度がスタートしていない現在においては、企業は

給与所得の源泉徴収票(給与支払報告書)
給与所得者の扶養控除等の(異動)申告

等の法定調書に、従業員の氏名と住所を書いて税務当局に提出します。マイナンバー制度のスタート後は、新たに付加された記入欄に従業員のマイナンバーを書いて(扶養家族がいる従業員は、扶養家族のマイナンバーも記載する必要があります)税務当局に提出することになります。つまり、企業は従業員のマイナンバーを予め知っている必要があるのです。

このような背景から、企業は従業員とその扶養家族のマイナンバーを、本人確認をした上で取得しなければなりません。その際、マイナンバー法に従って取得をしなければなりませんので、取扱いが重要になってきます。

企業は、従業員のマイナンバーの取扱いについて、マイナンバーのライフサイクルを考え、取得、安全管理措置、保管、利用、提供、開示、訂正、利用停止等、破棄のフローを明確にしておく必要があります。

マイナンバーと個人事業主の関係

事業者が個人事業主である場合には、事業者本人のマイナンバーを所得税の確定申告書等の申告書、申請書、調書等に記載し、税務当局に提出することになります。税務関係の書類は多岐にわたるので、その都度マイナンバー記載欄があるかを確認し、必要に応じて記載します。

その際、提出書類に記載されたマイナンバーの正当性を確認するために、事業者自ら本人確認書類を提出する必要があります。

まとめ

企業にとって、従業員のマイナンバーの取扱いには慎重さが求められます。マイナンバー法や「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」等をしっかりと理解して、来るべきマイナンバー制度のスタートに備えておきたいですね。

photo:Thinkstock / Getty Images

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この記事の執筆者

手塚悟
手塚悟

東京工科大学コンピュータサイエンス学部 教授。

慶應義塾大学工学部数理工学科卒、(株)日立製作所マイクロエレクトロニクス機器開発研究所、システム開発研究所部長を経て現職。
特定個人情報保護委員会委員,サイバーセキュリティ戦略本部重要インフラ専門調査会委員,IT戦略本部電子行政タスクフォース臨時構成員,情報連携基盤技術ワーキンググループ委員,住民基本台帳システム調査委員会委員,電子署名法及び認証業務に関する法律基準等検討ワーキンググループ座長,暗号技術評価委員会(CRYPTREC)委員,暗号技術活用委員会(CRYPTREC)委員等などを歴任。
著書に『日本を強くする企業コード もう一つのマイナンバー「法人番号」とは』(共著・日経BP社)等。

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