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法人税申告書の書き方を理解するために必要な仕組み

公開日:

執筆者:宮原 裕一(税理士)

法人税申告書の書き方を理解するために必要な仕組み

初めて法人税の申告をする人が、必ずと言っていいほどびっくりすること。それは、記入する書類の多さと申告書の種類です。
個人の場合、所得税の申告書を税務署に提出することで関係する税金は役所で計算して税額を通知してきます。これに対して、法人は、利益に対してかかる税目すべてを自社で計算します。もちろん法人税だけでなく、地方税も計算して申告しなければなりません。
今回は、法人税申告書を作成するにあたって理解しておきたいところ、計算の仕組みを中心にご紹介します。



POINT
  • 決算書の利益と税金のかかる利益は違う
  • 最低限の申告書は3種類の別表
  • 法人税以外に作成する申告書は全部で5つ

決算書の利益と税金のかかる利益は違う

さて、法人税申告書の作成にあたって最初に理解しておく必要があるのは、法人税の対象になる利益は決算書の利益ではないということです。

決算作業を行って最後に出てくる「当期利益」。これは、会計のルールにもとづいて計算されたものですから、当然に会社の儲けをあらわしていますよね。でも、税金の計算には会計のルールに税金のルールが加わってきます。

例えば、3年契約で借りている店舗の更新料を50万円支払って、全額をその年度の経費にした場合。このとき、会計ではそのまま経費として決算書の利益に反映されますが、税金のルールでは「繰延資産(くりのべしさん)」として更新から3年に渡って経費にしていくので、その年度で全額経費にはなりません。

そこで、法人税の申告書では、申告書の中で決算書の利益から税金のルールにあわない金額を足し算引き算し、法人税のかかる利益(所得金額)を計算するのです。

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最低限の申告書は3種類の別表

法人税の申告書は計算項目ごとに決められた「別表」、さらにその内訳・明細を記入する「付表」などをつなぎ合わせて作成していきます。法人税を計算するためには最低限「別表一(一)」、「別表四」「別表五(一)」という3種類の別表が必要になります。

別表一(一)は最終的な税額を計算するもの、別表四は税金のかかる利益を計算するもの、別表五(一)は税金のルールにあわない金額を翌期以降で調整するためにメモしておくもの、という位置づけになります。

それでは先ほどの更新料を例にとって見てみましょう。会計のルールで計算された決算書の利益が100万円、そして更新料のうち税金のルールでその年度に経費にならない金額が40万円だったとします。

まず別表四に決算書の利益100万円を書き入れて税金の計算がスタートします。更新料50万円のうち40万円は翌期以降の経費ということで、当期の経費にならない40万円を別表四に書いて決算書の利益100万円に加算します。つまり、税金のかかる利益は140万円ということですね。この加算した40万円は、翌期以降で経費として調整しますので、別表五(一)に書き写して調整を忘れないようにしておきます。税金のかかる利益140万円は別表(一)に書き写し、ここで税率をかけて法人税の税額を計算します。今回は説明を簡単にするために3種類に限定しましたが、小規模な会社でも申告書の作成には10種類前後の別表を使うことになるでしょう。

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ご参考まで、法人税の別表にはつぎのようなものがありますよ。

平成27年4月1日以後に終了する事業年度(連結事業年度)分法人税申告書一覧表(平成26年10月1日以後に開始した事業年度(連結事業年度)用)

法人税以外に作成する申告書

法人税の申告書を作成するにあたっては、その申告書で計算した所得金額と法人税額をもとにして計算する他の税目の申告書も作成しなくてはなりません。どのような税目があり、何をもとにして計算するのかを紹介しておきます。

  • 地方法人税
    法人税額をもとに計算します。法人税申告書別表一(一)の様式に組み込まれているので、法人税と一緒に税務署へ申告することになります。
  • 法人事業税
    法人の規模や業種により計算方法が異なりますが、小規模な法人はほとんどが所得金額をもとに計算します。申告書の様式は地方法人特別税・法人住民税(都道府県と東京23区)はひとつの様式になっていますので、一緒に都道府県税事務所へ申告することになります。
  • 地方法人特別税
    法人事業税の税額をもとに計算します。
  • 法人住民税
    法人税額をもとにして計算する法人税割と、資本金等や従業員数などの規模によって決まる均等割で計算します。

おわりに

いかがでしたでしょうか。法人税の申告は、記入する様式が多岐にわたりますが、計算の流れを押さえておけば書き上げることは可能です。税務署で相談しながら申告書を作成することもできますし、年に一度の作業で本業への時間を削られてしまうことを考えると、専門家のサポートを受けるのもひとつの手ですね。

photo:Thinkstock / Getty Images

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この記事の執筆者

宮原 裕一(税理士)
宮原 裕一(税理士)

1972年生まれ。税理士。弥生認定インストラクター。「宮原裕一税理士事務所
弥生会計を10年以上使い倒し、経理業務を効率化して経営に役立てるノウハウを確立。弥生会計に精通した税理士として、自身が運営する情報サイト「弥生マイスター」は全国の弥生ユーザーから好評を博している。
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