就業規則を作るときに決めておくべきポイント(交通費・住宅手当編)

2021/03/31更新

この記事の執筆者柳原つつじ

どんな組織にでもルールがありますが、いざ決める立場になると、それが結構大変であることに気づかされます。一度決めてからころころ変えるわけにはいかないだけに、ベンチャーを立ち上げた事業主にとって、社内規則を決めることは、事業主あるいは総務部の大きな仕事です。特に従業員の関心が高い「通勤にかかる交通費」「住宅手当」について、どんなことを決めておくべきなのか説明していきたいと思います。

POINT

  • 通勤交通費は支給要件や限度額を決める
  • さまざまなライフスタイルに合わせた住宅手当を
  • 住宅手当は支給方法によって割増賃金の算定から除外可

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通勤交通費を支給する際に決めておくことは?

社内規程で、必ず決めておきたいことの一つが、交通費です。交通費は当然、会社が支給すべきものだと思われがちですが、支払いが義務づけられているものではありません。実際に、私が知っている編集プロダクションは、通勤にかかる交通費が支給されていません(「会社の近くに住めばいい」とのことです……)。

その是非はともかく、会社の裁量に任せられている以上、通勤手当については規程が必要になってきます。

まずは、通勤手当の支給要件や限度額を定めるかどうかを決めましょう。定めない場合、つまり、「かかった交通費はきちんと支給するよ!」という場合も、必要以上の交通費を支払わなくてよいように、以下のような規定は必要になってきます。

「合理的な交通手段における最短経路の通勤に対して支給を行う」

そして、支給要件や限度額を定める場合や想定できるケースについては、あらかじめ付記しておくほうが無難です。

「家から勤務地までの距離が2km未満なら通勤手当は支給しない」
「通勤手当は、1カ月当たり5万円を支給限度とする」
「なお、特急料金などの特別料金は支給しない」など、

また、通勤手段は電車やバスとは限りません。「原則として公共交通機関を利用するものとし、困難な場合のみマイカー通勤などを認める」などのように、自動車、バイク、自転車による通勤を認めるのかどうか、また、その際の交通費をどうするのかも明記しておくとよいでしょう。

なお、通勤手当は一定額までは非課税になります。以下のサイトを参照してみてください。

住宅手当は不公平感のないように

交通費と同様に、従業員の生活に大きく関わってくるのが、住宅手当です。

法律で定められているわけではないので、支給しなくても何ら問題ありませんが、従業員にとっては生活費の負担を減らすことができる、うれしい福利厚生です。もし、支給する場合は、交通費と同様に、条件を決めておくことが大切です。

まず、「配偶者がいて、相手も働いている場合は支給されるのかどうか」も、あらかじめ取り決めておくことをおすすめします。私の場合は、自分の勤務先は住宅手当がなく、妻の勤務先は「世帯主である社員のみ」住宅手当が支給されました。そのため、妻に世帯主になってもらうことで、住宅手当を受けていました。

また、賃貸住宅で家賃を払っている従業員ばかりではありません。家を買って、ローンを支払い合っている従業員に対しても、住宅手当を支給するのかどうか検討する必要があります。合わせて「相続した持ち家に住んでいる場合」「親族所有のマンションに住んでいる場合」などについても、ルールを決めておくとあとでいろんなケースが出てきたときにスムーズに対応することができます。

従業員間で不公平感のないように、それぞれの住宅事情に則した支給を行うようにしましょう(ちなみに、個別ケースを考慮に入れるのが面倒な場合は、住宅手当ではなく、社宅を建てたり、借り上げる方法もあります。社宅の場合の双方のメリットについては、また別の機会に触れたいと思います)。

住宅手当は支払い方が重要

「世帯主以外の従業員」「持ち家でローンを支払っている従業員」にも支払うのかどうか、など対象者の制限について決まれば、次は住宅手当の額を決めなければなりません。

住宅手当の相場は1万5000円~2万円くらいだと言われています。しかし、一律して定額で支払う際には注意が必要です。と言うのも、住宅手当は支給方法によって、割増賃金の算定から除外することができるからです。

除外できるケースを挙げると、一つは「住宅費用に定率を乗じて支給する場合」です。

つまり、「賃貸住宅の場合は家賃の○○%、持家(住宅ローン)の場合は、月額ローン額の○○%」というような額の決め方です。

もう一つが、「住宅費用を区分わけして支給する場合」です。

こちらは「家賃月額またはローン月額が10万円未満の場合は2万円、10万円以上の場合は3万円」といった決定方法です。

気をつけたいのは、「持ち家住居者は1万円、賃貸居住者は2万円」のように一律して支払う場合です。この場合は、割増賃金の算定から除外できません。時間外・休日・深夜労働などが多くなる職場で、割増賃金が発生しやすいのであれば、定額で住宅手当を支給することは避けたほうがよいでしょう。

社内規程のなかでも従業員の生活に影響を与えやすい交通費と住宅手当について、ルールを決める際のポイントを挙げましたが、いかがでしたか。従業員の立場になって、みなが安心して業務に打ち込めるような、公平なルール作りを目指しましょう。

photo:Thinkstock / Getty Images

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この記事の執筆者柳原つつじ

出版社勤務を経て、フリーエディター、コラムニスト。歴史、伝記・評伝、経営、書評、ITなどを得意ジャンルとして、別名義で著作多数。ここでは、脱サラフリーランスならではの視点で、お役立ち情報をお届けしたいと思います。

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