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軽減税率、インボイス―大きな転換点を迎える消費税制

最終更新日: 公開日:2016/04/07

執筆者:浦田泉

軽減税率、インボイス―大きな転換点を迎える消費税制

消費税率が10%に上がることに伴い、飲食料品など一定の品目について軽減税率が適用されます。これまでも報道等で、どのようなものが軽減税率となるのか?などに注目が集まりました。また、2021年4月からは「インボイス方式」が採用され、税務署の登録を受けた課税事業者のみが仕入税額控除の要件となる「適格請求書」を発行できるしくみになるなど、消費税の制度は大きな転換点を迎えています(※)。

(※)消費税率10%への引き上げを2017年4月から2019年10月に再延期する税制改正関連法が、2016年11月18日可決成立しました。
2019年10月1日以降は、税率が8%から10%に変わります。再延期に伴い、
消費税10%引き上げとともに導入される軽減税率制度は、2019年10月1日開始、インボイス制度は、2023年10月開始にそれぞれ延長されています。
2018年1月31日を期限とされていた軽減税率対策補助金の申請も再延長され、2019年9月30日までに事業完了とすることが2017年11月22日に発表されました。(2017年11月30日 スモビバ!編集部 追記)

なお、「軽減税率対策補助金」の申請期限や対象システムの手続き変更に伴う公募要領の改定が、2019年8月30日に公表されています。詳細は以下を参照ください。
【参考】中小企業庁:軽減税率対策補助金の手続要件の変更について(2019年9月10日 スモビバ!編集部 追記)

【関連記事】インボイス制度(適格請求書等保存方式)ってなに?区分記載請求書との違いは?税理士・渋田貴正先生インタビュー」



POINT
  • 「軽減税率」はほぼすべての事業者に関係あり
  • 免税事業者は要注意!インボイス方式
  • 高額特定資産を使った消費税還付に「待った」

ほぼすべての事業者に関係する「軽減税率」

消費税率引上げに伴う低所得者対策として、2017年4月に軽減税率制度を導入することが決まりました。標準税率10%(国税7.8%、地方税2.2%)に対して、軽減税率は8%(国税6.24%、地方税1.76%)となります。

軽減税率の対象品目は以下のとおりです。

(1)飲食料品
※飲食料品は、食品表示法に規定する食品(酒税法に規定する酒類を除くものとする)
※飲食店営業等を営む事業者が、一定の飲食設備のある場所等において行う食事の提供(いわゆる外食)を除く

(2)週2回以上発行される新聞の購読料

特に区分が難しいとされているのが、何が「外食(標準税率)」で何が「外食に該当しない(軽減税率)」なのか、という区分かと思います。

この場合の「外食」とは、次の通りです。

  1. (1)事業者が顧客に飲食させようと考えている飲食設備のある場所において(場所要件)、(2)顧客に飲食させるサービス(サービス要件)

  2. 顧客が指定した場所で、顧客に飲食させるサービス(ケータリング、出張料理等)

具体例を示すと、以下のようになります。

zeisei_01.jpeg
(出典:中小企業庁 「消費税軽減税率(案)への対応について」 一部改編)

標準税率と軽減税率が混在することで、消費税の計算やそのための会計管理が複雑になります。小売業や飲食業など、軽減税率となる品物を扱う企業のみならず、一般の企業でも、文具などの雑貨は標準税率、お茶菓子などは軽減税率で消費税を計算することになりますので、標準税率と軽減税率の混在には無関係という企業はほとんどないでしょう。

適格請求書等保存方式(インボイス方式)の導入と経過措置

(1)適格請求書等保存方式(インボイス方式)の導入

2021年4月から、適格請求書等保存方式(インボイス方式)が導入されます。
インボイス方式は、原則として登録を受けた課税事業者が交付する「適格請求書」及び帳簿の保存を、仕入税額控除の要件とすることが特徴です。

1)「適格請求書」と「適格請求書」を発行できる者

「適格請求書」は、下記の項目が記載されているものをいいます。

  • 発行者の氏名又は名称及び登録番号
  • 取引年月日、取引の内容(軽減税率対象である旨の記載を含む)
  • 税率ごとに合計した対価の額及び適用税率
  • 消費税額等
  • 交付を受ける事業者の氏名又は名称

また、「適格請求書」を発行できるのは税務署の登録を受けた課税事業者のみです。免税事業者は適格請求書を発行することはできません。免税事業者が適格請求書を発行しようとするなど、偽りの交付行為に対しては罰則も設けられています。
「適格請求書」を発行したい事業者は、納税地の所轄税務署長に申請書を出して登録を受けることが必要になります。

2)適格請求書等保存方式(インボイス方式)での税額計算

税額計算の方法は、適格請求書の税額の積上げ計算と、取引総額からの割戻し計算のいずれかを選択できます。

160406_zeisei_02.jpg
(出典:「参考資料②-1(軽減税率制度の導入)」より)
※画像をクリックすると拡大表示できます

ここまで見ると「免税事業者は請求書も発行できないのか?」という疑問が出てくるかもしれません。インボイス方式が採用されても、免税事業者はこれまでどおりの請求書を発行できます。ただし、仕入税額控除の要件となる「適格請求書」を発行できない免税事業者は、消費税を上乗せ請求しづらくなる点が異なる、といえるでしょう。
(なお、インボイス方式の導入後6年間は、経過措置として免税事業者からの仕入れについて、一定割合の仕入税額控除が認められています。)

(2)インボイス方式導入までの経過措置

インボイス方式導入までの間は、現行の請求書等保存方式を維持しつつ区分経理に対応するための措置「区分記載請求書等保存方式」が採用されます。
具体的には、請求書等の記載事項に、(A)軽減税率の対象品目である旨と、(B)税率ごとに合計した対価の額、を加えることが求められます。(区分記載請求書)。なお、上記(A)・(B)については、区分記載請求書の交付を受けた事業者が、事実に基づき追記することも認められています。

税額計算の方法は、現行どおり、適用税率ごとの取引総額からの割戻し計算が原則となりますが、売上げ又は仕入れを税率ごとに区分することが困難な事業者に対し、売上税額又は仕入税額の計算の特例も設けられています。

160406_zeisei_03.jpg
(出典:「参考資料②-1(軽減税率制度の導入)」より)
※画像をクリックすると拡大表示できます

法令は成立したものの、まだ本当に2017年4月1日からスタートするか不明な税制です。とはいえ、いつかは必ず実施される税制でしょうから、いまのうちに勉強しておくのもいいのではないでしょうか。実施された時に備え、できる事を少しずつ準備していきましょう。

photo:Thinkstock / Getty Images

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この記事の執筆者

浦田泉
浦田泉

税理士。会計事務所、コンサルティング会社を経て2003年「いずみ会計事務所」を開業。自身の起業経験から、特に女性経営者の起業、会社経営、成長戦略などのお手伝いが得意分野。また、新人の経理担当者でもすぐに使えるようになる弥生会計は、顧問先への導入、指導の実績が多数ある。

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