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税制改正2016:「使える」特例の継続、新設など

公開日:

執筆者:浦田泉

税制改正2016:「使える」特例の継続、新設など

2016(平成28)年に期限切れを迎える中小法人に対する有利な特例措置がいくつかありました。2016(平成28)年度の税制改正では、こうした特例措置を継続する措置が示され、中小法人が「税金の縛りを気にせずお金を使いやすくする仕組み」が続くことになりました。

また個人では、これまでの医療費控除よりも金額的要件が低く使い勝手がよさそうな「スイッチOTC薬控除」が新設され、注目が集まっています。



POINT
  • 交際費等の損金算入の特例、2年延長
  • 少額減価償却資産の特例の継続と「縛り」
  • 使いやすい「スイッチOTC薬控除」新設

中小法人の交際費等の損金算入の特例等、継続へ

接待飲食費に係る損金算入の特例及び中小法人に係る損金算入の特例について、2016(平成28)年3月31日までとされていた適用期限が2年延長されることとなりました。

2014(平成26)年の改正によって、期末の資本金等の額が1億円以下の法人については、原則として年800万円以下の交際費等(または飲食接待費の50%のいずれかの金額)は法人税法上、損金算入することができるとされました。
実はこの特例、地味に期限付き(2016(平成28)年3月31日まで)でしたが、2年の延長となりました。

ちなみに、「交際費等」とは、「交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(いわゆる「接待等」)のために支出する費用」をいいます。
ただし、仕入先等に対する飲食等の費用であっても、一人あたり5,000円以下のものは交際費等から除かれる、とされています(単純に「一人あたり5,000円以下の飲食接待費は交際費等に該当しない」と覚えている方も多いかと思います!)。

年800万円の交際費等、となると、中小規模の法人にとってはかなり大きな金額になります。使った交際費が全額損金算入できた、という法人も多いのではないでしょうか。
一人あたり5,000円以下の飲食接待費は交差費等の金額から除かれる、という点も含めて、非常に使いやすい特例ですので、この延長は歓迎ですね!
なお、個人事業主の場合は、全ての交際費が費用になります。

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個人も使える少額減価償却資産の特例も継続―「縛り」も

中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例についても、その適用期限を2年延長することが決まりました。

この特例とは、ざっくり言うと中小企業者等が取得価額30万円未満の減価償却資産(以下、「少額減価償却資産」といいます)を取得した場合、その合計額が原則として年300万円以内であれば、取得価額全額を損金として処理することができる、というものです。(それまでは、少額減価償却資産は原則として一式で10万円未満のもの、とされていました)
この特例も、地味に期限付き(2016(平成28)年3月31日まで)でしたが、2年延長されることとなりました。

たとえば事務所で使うパソコン等を購入する場合など、「10万円未満で探すのは難しいけれど30万円未満ならば選択肢が広がる」という経験をお持ちの方、多いのではないでしょうか。このように、本特例は中小企業にとって非常に使い勝手がよく、適用期限切れが迫っていたのが残念な法令のひとつでした。継続はうれしいですね。

ただし、今回の改正ではこの特例の適用要件に1つ「縛り」ができました。
これまでは、原則として資本金等の額が1億円以下の青色申告法人(大企業の子会社等を除く)ならばこの特例を受けることができましたが、今回の改正で、資本金等の額の要件を満たしていても「常時使用する従業員の数が1,000人を超える」法人は除外されることとなりました。

そもそも、中小企業者に対する税制上の特別措置は、地域経済の担い手であり、財務状況が脆弱な中小企業者を支援するという趣旨のもとにおかれているものなのです。
しかし以前から、大企業並みに大きな組織を持ち、多額の所得を得て財政基盤も磐石であるにもかかわらず、資本金が少ないというだけで中小企業者として扱われる一部の法人が、こうした特別措置を受けることが公平なのか、という議論もありました。
その議論に答えるように、このような「縛り」ができたのではないか、と思われます。

医療費控除より使える?―スイッチOTC薬控除

病気やケガをして1年間に使った家族全員の医療費について、一定額を超えた金額が所得控除される、という医療費控除。病院や診療所に支払った医療費のほか、医療機関までの交通費、ドラッグストアで購入した薬代などで一定のものも医療費控除の対象になります。
「医療費控除のために初めて確定申告をした」という方も少なくないようで、かなり有名かつよく使われている所得控除です。

2016(平成28)年度の税制改正では、医療費控除の特例として「スイッチOTC薬控除」が創設されました。

この制度は、特定健康診断(いわゆるメタボ健診)や人間ドック、予防接種など健康維持や病気の予防等に関する一定の取り組みを行っている「健康の維持増進及び疾病の予防への取組を行う」個人が、2017(平成29)年1月1日から2021(平成33)年12月31日までの間に、いわゆる「スイッチOTC薬」の購入費用(年間10万円を限度)のうち1.2万円を超える額(つまり最大8.8万円)を所得控除する、というものです。

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また、対象となる「スイッチOTC薬」とは、医療用成分が配合された薬局で購入できる市販薬で、従来は医師の処方せんが必要だった医療用医薬品の中から、副作用が少なく、使用実績があるなどと判断され、薬局で購入できるように一般用医薬品・要指導医薬品に転用されたものをいいます。(胃腸薬の「ガスター10」や鎮痛剤の「ロキソニンS」などが挙げられるようです)

これまでの医療費控除は、原則として年間10万円(総所得金額200万円未満の人は、総所得金額の5%)を超えた部分が対象となるため、金額的なハードルは高めでした。
そのため、本当に大きな病気や大幅な歯の治療、出産など、現実的に医療費控除を受けられるのは限られた場合だったように思います。
スイッチOTC薬控除の場合、1.2万円以上の支出で所得控除ができるため、医療費控除より金額的なハードルは、ぐっと下がったといえるでしょう。

ただし、スイッチOTC薬控除と医療費控除の両方の適用を受けることはできません
一定のスイッチOTC薬は医療費控除にも使えますので、どちらの制度を使ったほうが有利か、よく考えて使ってください!

今回紹介した3つの税制改正は、事業者に役立つ税制改正です。取りこぼさないよう注意してみてください。

photo:Thinkstock / Getty Images

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この記事の執筆者

浦田泉
浦田泉

税理士。会計事務所、コンサルティング会社を経て2003年「いずみ会計事務所」を開業。自身の起業経験から、特に女性経営者の起業、会社経営、成長戦略などのお手伝いが得意分野。また、新人の経理担当者でもすぐに使えるようになる弥生会計は、顧問先への導入、指導の実績が多数ある。

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