どうする?返品や割引をしたときの帳簿の処理

2021/03/31更新

この記事の執筆者小田宏一

製造業や小売業、卸売業など商品を取引する業種では、品質不良や相手方の都合によって「返品」が生じることがあります。また、業種に関わらず金銭の授受があると、「割引」を行うこともあるでしょう。これらの場合、帳簿上に記載した買掛金や売上の金額を単に修正するのではなく、発生毎に記帳することになります。

それでは、返品と割引それぞれの具体的な仕訳内容について見ていくことにしましょう。

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POINT

  • 返品の会計処理には2つの方法がある
  • 価格をディスカウントする際は、早期に支払う「割引」のみ性質が異なる
  • キャッシュバックは、受け取る側なら雑収入、渡す側なら広告宣伝費などで処理を

返品:逆仕訳でも問題ないが、別の勘定科目を用いる方法も

商品の品質や外観に異常があったり、商品として見たときに不備があったりする場合は、一度取引が成立した後でも商品を返し、お金を払い戻してもらう「返品」を行うことがあります。会計上では、自社で仕入れた商品を返品する場合は「仕入戻し高(仕入返品)」、自社で販売した商品が返品されてしまう場合は「売上戻り高(売上返品)」と使い分けるのが一般的です。

さて、税込1万円の商品を返品する際の仕訳については、

仕入返品
借方 貸方
現金 10,000円 仕入 10,000円
売上返品
借方 貸方
売上 10,000円 現金 10,000円

というように、通常の仕入・販売の際に入力する勘定科目の借方と貸方を入れ替えた逆仕訳を行うことも可能です。ただ、あとで返品の発生状態を振り返る場合には、逆仕訳ではなく仕入(売上)返品という別の勘定科目を用いた方が分かりやすいです。

仕入返品
借方 貸方
現金 10,000円 仕入戻し高(仕入返品) 10,000円
売上返品
借方 貸方
売上戻り高(売上返品) 10,000円 現金 10,000円

こうして勘定科目を分けておくと、返品の発生状況が一目でわかって便利だと思います。

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割引:早期支払いのディスカウントは「利息」扱いに

商品価格をディスカウントする際、会計上では次のように3つの言葉を使い分けています。

  • 1.
    値引=品質不良やシーズンオフなどの理由で価格を下げること
  • 2.
    割戻=商品を一度に大量仕入(購入)したことで価格を下げること
  • 3.
    商品の代金を支払い期日より前に支払うことで価格を下げること

これら3つの言葉は、少しずつ意味が違うので要注意です。取引ごとにどれがあてはまるのかを考えて仕訳を行いましょう。

上記の1,2については、先ほどの返品と同じく逆仕訳をするか、仕入(売上)値引というように別の勘定科目を用いる形で処理します。

3,については、早期に支払うこと=利息のような性質を持つと捉えられることから、営業外収益(費用)にあたり、それに相当する科目として処理します。下記の例では仕入割引・売上割引としています。

例1:仕入について、翌月末に代金10万円を支払う予定だったが、今月末支払いに変更したところ取引先が5,000円だけ割引してくれた。

借方 貸方
買掛金 100,000円 現金 95,000円
  仕入割引 5,000円

例2:代金10万円分の商品を購入してくれた取引先が、即時支払いをしてくれたので5,000円割り引くことにした。

借方 貸方
現金 95,000円 売掛金 100,000円
売上割引 5,000円  

よくある現金キャッシュバックも、きちんと発生毎に記帳を

最後に、2点補足をさせていただきます。

一つは、期をまたいで返品があった場合の処理について。
例えば3月決算の会社で、取引確定が3月中だったにも関わらず、決算を済ませた4月以降に返品となるケースです。この場合、前期に利益を得ていますから「修正申告しなければならないのではないか?」とお悩み方もいるかも知れませんが、それはご安心を。先のとおり、前期中に取引が確定していますから、決算に間違いはありません。

そしてもう一つ、最近よく見かける現金でのキャッシュバックです。
従来は割引の形が多かったと思いますが、消費者にとっては「お金が返ってくる」ということがお得感につながるため、最近増えている手法です。実はこれもすべての相手に全期間対象で、その場でキャッシュバックするという形なので、実質的には「割引」と変わりません。

キャッシュバックを受け取る側は雑収入で処理し、キャッシュバックを渡す側は、広告宣伝費や販売促進費など、目的に応じた勘定科目で処理するのが一般的です。。

photo:Thinkstock / Getty Images

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この記事の執筆者小田宏一

大阪を拠点に活動する書籍ライター・編集者。現在は企業取材および記事執筆、ビジネス書や社史の執筆代行・編集を手がける。電子出版による社会貢献事業「著者発掘コンテスト」を主宰。著書に「経営者・フリーランスのための Amazon Kindle執筆術」(金風舎刊)新規タブで開く

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