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飲食店を開業したい人のための「オープンする前に知っておきたいこと」

公開日:

執筆者:安田博勇

飲食店を開業したい人のための「オープンする前に知っておきたいこと」

おしゃれなカフェやレストランなどを開業する飲食店経営者を志す人が増えています。しかし参入希望者も多く、開店間もなく廃業してしまう店舗が多いこともまた事実。飲食店を開業する際には、どんな“心得”を持っておくべきなのか、まとめてみました。



POINT
  • 家賃+材料費+人件費は売上の7割以内に納めよう
  • 開業資金は1,000万円あれば安心
  • 節約開業の方法も検討してみよう

家賃はどのように決めるのか?

日本政策金融公庫の「新規開業実体調査(2015年度)」によると、調査対象(同公庫国民生活事業が融資した開業1年以内の企業)の"6分の1"にあたる「15.9%」が「飲食店・宿泊業」だそうです。これは「サービス業」「医療、福祉」に次ぐ3番目の多さで、小売業(11.9%)よりも高い数値です。若い人の"脱サラ開業"も多く、飲食店経営への参入希望者は増加しています。

しかし飲食店の開業は、他の開業業種と比較しても「多額の初期投資が必要」というリスクがつきまといます。「開店間もなく客足が遠のいたことですぐに廃業し、初期投資にかかった借金だけが残った」なんていう悲しいケースもよく耳にしますので、十分な計画性をもって開店準備にあたらなければいけません。

では開店準備の最重要課題であろう「物件選び」の際に、家賃はどのくらいに抑えるべきなのでしょうか。

一般的な飲食店の家賃相場として「月の売上げの10%」あるいは「1日の売上げの3日分」に抑えたほうがよい、といわれています。例えば家賃30万円の店舗なら、月の売上げは300万円(1日の売上で10万円×30日)を確保しなければいけない、ということです。

物件選びの際には、ロケーションや競合店の有無はもちろんのこと、店舗面積、席数、客単価なども考慮しながら売上予測を定め、家賃を考えていきましょう。

FL比率は55〜60%が適性水準

家賃の次に考えたいのが、材料費と人件費です。

飲食店経営の基本的な指標として「FL比率」があります。売上高に対する「材料費(Food)と人件費(Labor)の合計」を示したもので、(業種によって多少の違いはありますが)適正水準は「55〜60%」、個人経営の小規模な飲食店ならば「65%」といわれています。

以上の指標すべてを勘案すると、家賃、材料費、人件費の総額は、売上高に対して「7割」というのが適正基準。なお、このほか店舗にかかる経費として「水道光熱費」「通信料」「固定電話使用料」「広告宣伝費」などが挙げられ、それらの経費も差し引いたものが営業利益となります。

月の売上げ内の経費基準

では、開業にかかる初期投資額はどのくらいになるものなのでしょうか。

店舗の賃貸契約を結ぶ際には、多額の保証金(敷金)がかかります。保証金の相場はだいたい賃料の10ヵ月分前後。礼金、仲介手数料、前家賃なども求められることがあります。

ほかに多額の初期投資として捻出しなくてはいけないのが「店舗の内装工事費」と、厨房機器や什器等の「機械設備・備品購入費」。また「商品仕入れ」や、開業したことを知らせる「広告宣伝費」、お店の"顔"となる「看板などの制作費」、さらには開業間もなくの生活費用などが必要です。そのため、一般的に開業資金は「1,000万円くらいあると安心」といわれています。

初期投資を抑えるには?

ただし最近は、開業費用を抑えた"節約開業"も増えています。先の「新規開業実体調査(2015年度)」よれば、「500万円未満」で開業した人の割合は「32.8%」。20年前の調査では「20.3%」で、10%以上の伸び率を示しています。

初期投資の節約方法として最も手軽なのが、前のテナントの残した内装や設備・什器類を再利用する「居抜き物件」を探すことです。内装工事の費用を抑えられるだけでなく、開業までの工事期間も短くて済みます。

ただし「居抜き」の場合、前のテナントに対して設備や什器を買い取る「造作譲渡料」がかかることもあり、また、不足している設備や備品などを買い足さなければいけないことがあるので注意が必要です。

ちなみに、内装や設備をすべて取っ払った状態の物件が「スケルトン物件」です。こちらは自分のイメージに合わせ、好きなようにお店をデザインしていくことが可能ですが、「初期費用がかかりがち」「内装工事に時間を要する」などのデメリットがあります。

また最近は什器・備品を低価格で購入できるオンラインショップ、家具量販店、中古販売店なども充実しています。店舗経営に不可欠なPOSレジの導入についても、最近では無料ですぐに始められるタブレット端末を使ったクラウド型POSレジ「スマレジ」などの便利なサービスがあります。

営業許可の申請もお忘れなく

最後に、飲食店経営に絶対的に不可欠な許可申請について。

当たり前のことですが、飲食店の開業では出店エリアを管轄する保健所から「食品衛生法に基づく営業許可を受ける」という大前提があります。

出店する店舗を決めたら、"工事を着工する前"に店舗の設計図面を保健所に持参し、調理場などが条例の基準を満たしているか、保健所の職員から簡単なチェックをしてもらうことが望ましいとされています。また居抜きの物件などで前のお店が営業許可をもらっていた場合であっても、その後リフォームなどが施されている場合もあります。やはり開店前に管轄の保健所に相談しておきましょう。
完成後にも施設検査を受け、許可証が交付されます。また食品衛生管理者を置くことも定められているので、そのための講習も受けておかなければいけません。原則としては食品衛生管理者の養成講習を受けてから飲食店営業許可を申請するという順番になりますが、養成講習の予約が取れなかった場合などは保健所に「近日中に必ず講習を受けます」という誓約書を出すことで営業することを認めてくれます。

いかがでしたでしょうか。飲食店の開業を志す方は非常に多いですが、オープンに至るまではいくつものハードルがあります。スムーズに開店するためにも、事前の情報収集は欠かさないことが大事です。

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photo:Thinkstock / Getty Images

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この記事の執筆者

安田博勇
安田博勇

1977年生まれ。大学卒業後に就職した建設系企業で施工管理&建物管理に従事するも5年間勤めてから退職。出版・編集系の専門学校に通った後、2006年に都内の編集プロダクションに転職。以降いくつかのプロダクションに在籍しながら、企業系広報誌、雑誌、書籍等で、編集や執筆を担当する。現在、フリーランスとして活動中。

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