こんなものも「開業費」に計上できます

2024/01/16更新

この記事の執筆者柳原つつじ

「よし、開業しよう!」と思い立った瞬間は、誰でも夢が膨らむもの。「あんなふうにしよう」「こんなふうにしよう」と想像を巡らせているうちは楽しいですが、本格的に動き出すと、意外と費用がかさむことに気づいたりして……。しかし、開業時は「開業費」として、さまざまなものが経費に計上できます。どんなものがあるか、見ていきましょう。

POINT

  • 個人事業の開業費は「特別に支出した費用」に限定されず、経常的なものも認められる
  • 開業する目的に使われた費用ならば、交通費も交際費も開業費に該当する
  • 手土産代や書籍代も開業にまつわるものならばOK

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個人と法人での違い

開業費は、法人か個人かで、計上できる範囲が異なります。

法人の場合、開業費は「法人の設立後、営業を開始するまでの間に開業準備のために特別に支出する費用」とされています。会社を設立してから開業日までの間に支払った、開業のための費用ということになります。

一方、個人事業の場合は、法人の場合のように、「特別に支出する費用」に限定されず、経常的なものであっても、開業費にすることができます。また、開業費とみなされる範囲についても、開業の前年以前に発生した開業準備のための費用であれば、すべて開業費として処理できます。

個人事業の場合は、広い範囲で開業費が認められると覚えておきましょう。

市場調査費やセミナー代も「開業費」に

具体的には、どのような費用が、開業費とみなされるのでしょうか。

まずは「印鑑や名刺の作成費用、チラシなどの広告宣伝費」。立ち上げ時は、とにかく自分のビジネスを周囲に知ってもらわなければ土俵にも上がれませんが、その広告に用いる費用を開業費とすることができます。

「会社案内・業務案内・パンフレット等の作成料」も、同じく開業費に含まれます。ひろく事業を知ってもらうための費用ですからね。もちろん、ホームページの作成についても同様です。店のオフィシャルホームページを作成するためにかかった費用は「開業費」に該当します。

また、開業するにあたっては、消費者の動向を調べることも必要不可欠。そんなマーケティング調査のために使った費用も「市場調査費」として、開業費に計上することができます。商品の販売戦略や集客のためにも、開業の前にすべきマーケティング調査はないか、一度、考えてみてください。

そのほか、研修費やセミナー受講料も開業費にすることができます。開業のためにやっておきたい勉強はこの機会にしておくと、節税にもなり、あとの財産になるかもしれません。

打合せの「飲食費」や「交通費」も

開業にあたって、デザイナーなどの業者や取引先になってくれそうな相手と食事をすることもあるでしょう。その際の「接待・交際費」も開業費に該当します。面倒くさがらずに、領収書をしっかりともらっておきましょう。

忘れがちなのが、「交通費」です。さきに挙げたような、開業のための打ち合わせや、セミナーに行くときの交通費も、その目的が開業のためのものならば、開業費となります。オフィスを借りるために、あちこちの不動産を見て回ったならば、その交通費も該当します。少額も積み重ねれば、大きな節税となるので、見落とさないようにしましょう。

開業にあたって、相手のところにお邪魔して、打ち合わせを行う時もあるでしょう。その際はぜひ、あいさつのための手土産を持っていきましょう。その費用も開業費にすることができます。そのほか、書籍などの資料代や文房具やソフトウェアの購入費も、開業費に該当します。

挙げるとキリがありませんが、判断のポイントは「開業のために支出した費用かどうか」。もちろんそれを裏づける証拠は必要になりますが、意外と幅広く認められるのが、開業費です。

開業のために何かできることはないか――。上記を踏まえて、開業される際には今一度、考えてみてはいかがでしょうか。

photo:Thinkstock / Getty Images

この記事の執筆者柳原つつじ

出版社勤務を経て、フリーエディター、コラムニスト。歴史、伝記・評伝、経営、書評、ITなどを得意ジャンルとして、別名義で著作多数。ここでは、脱サラフリーランスならではの視点で、お役立ち情報をお届けしたいと思います。

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