2016年、企業は従業員一人一人のマイナンバーを把握することが必須となりました。しかし、ここで問題となるのがマイナンバーの管理方法です。マイナンバーは厳重な管理が必要とされるので、Excelや紙など、従来の管理方法では不十分。さらなるセキュリティ対策が必要です。今回は取得したマイナンバーの管理をどうしたらいいか、解説します。
2016年から始まったマイナンバー制度。雇用保険の手続きをしたり、支払調書を提出したりする際、従業員のマイナンバーを記載しなくてはいけないため、企業は、利用目的を明確にしたうえで従業員一人一人の番号を把握することが必要となりました。そこで、課題となるのが、収集したマイナンバーをどう管理するかということ。企業は、マイナンバーの漏えい、滅失、毀損を防ぎ、適切な管理のために必要な措置をとらなくてはいけません。
企業がマイナンバーを管理するにあたって、どのような方法を採用するかは非常に重要ですが、これまで一般的な情報管理の方法として利用されていた紙、Excelを使う方法はどうなのかをまず考えてみたいと思います。
紙や書面での情報管理には、パソコンを通しての情報流出や、パソコンの破損による大量データの消失などが避けられるメリットがあります。ただ、一方、書類の置き場所いかんで、多くの人がデータを見ることができてしまう危険も。たとえば、社内で誰かがマイナンバー一覧の用紙を見ているとき、そばを通る人たちが、他人の番号を目にする......といった可能性もあり、情報を記録した用紙を取り出す機会が多いほどに、漏えいのリスクも高くなるでしょう。また、紙の書類だけに、物理的な紛失や盗難などの心配もあります。
では、Excelで管理する方法はどうでしょうか。こちらは難しい技術や手書きの手間などをかけずに、一覧表を作ることができるのがメリットです。ただ、Excelのデータをパソコンに保存して管理するという、通常よくやる方法では、データの流出や損失のリスクが少なからずあるといえます。
マイナンバーは、その情報の重要性から、管理にあたって、個人情報保護委員会のガイドラインに基づいた安全管理措置が求められています。その観点からいっても、通常の書類やExcelといった形での管理は適切とはいいがたく、書類ならば、管理者のみが利用できるセキュリティのしっかりした部屋や金庫に保管することが必要でしょうし、あるいはExcelを使うならば、パスワードを設定し、ウィルスソフトなど必ず最新のものを入れておくなど、さらなる二重三重の対策が必須だといえるでしょう。しっかりとマイナンバー管理が行える給与計算ソフトを利用するのも方法のひとつです。
マイナンバーの管理を、外部に委託するという場合もあります。委託先として考えられるのは以下のようなパターンです。
マイナンバーが必要となるのは、おもに税務関係の書類です。税関係の処理を税理士に委託している場合は、当然、税理士にマイナンバーを伝えることになるので、業務と合わせてマイナンバーの情報を管理してもらうことも考えられるでしょう。
制度のスタートにともない、マイナンバーの管理ができるクラウドサービスが増えてきました。これらはマイナンバーの収集も担ってくれることが多く、企業側の手間と負担がかなり軽減されるのがメリットです。
マイナンバーを社内管理するのは負担が大きい......という場合は、外部に委託するのも一つの手段といえるでしょう。とはいえ、前述したようにマイナンバーの情報管理には、漏えいを防ぐための安全管理措置をとることが求められ、企業が外部業者や税理士さんなどに頼む場合も、委託先で適切な安全措置が行われているかどうかを委託元が監督することが義務付けられています。外部委託をする際は、委託先の管理体制、セキュリティシステムなどを必ず把握し、信頼できるサービスを選ぶこと。なおかつ、管理を委託先任せにせず、適切に番号が守られているかどうか、常に目を光らせていくことが大切ですね。
photo:Thinkstock / Getty Images
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この記事の執筆者
フリーランスライター 雑誌、書籍、Webメディアで、ビジネス、政治からサブカルチャーまで幅広いジャンルで執筆、取材に奮闘中。著書に「選挙はエンターテイメントだ!」(HK INTERNATIONAL VISION)がある。趣味はオーケストラでヴァイオリンを弾くこと。