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年末調整の素朴な疑問、税理士さんに聞いてみた【経理担当者必読】

最終更新日: 公開日:2016/11/04

執筆者:宮原 裕一(税理士)

年末調整の素朴な疑問、税理士さんに聞いてみた【経理担当者必読】

10月を過ぎるとみなさんの手元には生命保険料の控除証明書など、年末調整のための書類が届き始めます。年末調整の時期は、担当者に従業員からの質問が相次いだり、担当者でさえ、1年ぶりで忘れてしまっているような質問も多い時期。今回は、担当者からよく寄せられる「素朴な疑問」について、税理士の視点からお答えいたします。



POINT
  • 控除証明書をなくした人には早く再発行の手続きをするよう伝える
  • 「マイナンバーがわからない」という従業員にはマイナンバーを印字した住民票の写しを発行してもらうことも可能
  • 給与ソフトなどを使用すると個人別の進捗管理も行える

いまさら聞けない素朴な疑問!? 年末調整Q&A

Q.

従業員から「自分で確定申告をするので年末調整はやりません」と言われました。こういう場合、そもそも年末調整をやらなくても大丈夫なのでしょうか?

A.

年収2千万円を超える人や扶養控除等(異動)申告書を出していない人など一定の場合を除いて、給与の支払者は年末調整をする義務があります。何の控除もない状態で年末調整をしておき、ご本人が確定申告で各種控除を受けられるとよいでしょう。
なお、扶養控除等(異動)申告書を出さない場合、年末調整はできませんが、このときは毎月の給与の源泉徴収は「乙欄」という高い金額での源泉徴収となります。年末調整をしたくないからと出さないでいると、源泉の金額が違うということで追徴になってしまうこともありますので気をつけましょう。

Q.

住宅ローン控除の用紙や、住宅ローンの残高証明書、その他生命保険料控除など、毎年のように「控除証明書を無くしてしまった」という従業員が現れます。控除証明書がなくても年末調整はできるのでしょうか。

A.

控除証明書がないと金額だけでなく、控除額の計算のもとになる情報までわからないので正確な計算が行えません。例えば生命保険であれば新・旧契約の違い、一般・個人年金・介護医療など保険の種類の違いなどです。
また、翌年1月末日までに証明書を提出することを条件に、年末調整をすることは可能ですが、提出がなかったときは控除がなかったものとして追加徴収になる可能性もありますので、早急に再発行の手続きをするよう依頼してください。

Q.

従業員から「バタバタと忙しくて前職の職場の源泉徴収票がまだ貰えていない」と言われました。いまから取り寄せても時期的にもう間に合わなそうですが、どうすればいいでしょうか。

A.

前職分の給与は今回の年末調整の集計に含めなければなりませんので、それまで年末調整はできません。どうしても間に合わなかった場合は、ご本人に所得税の確定申告をしてもらうことになります。

Q.

「マイナンバーカードを持っていない」「マイナンバーがわからない」という従業員がいます。年末調整はできますか?

A.

マイナンバーの「通知カード」などを紛失したりしてマイナンバーがわからない場合、マイナンバーを印字した住民票の写しを発行してもらうことが可能です。
また、マイナンバーの提供そのものを従業員が拒否した場合は、マイナンバーが必要なことを説明し、そのうえで拒否されたという記録を残しておき、年末調整等の業務をおこなうことになります。
なお、マイナンバーは記載してもらうだけでなく、マイナンバーカードなどで番号が正しいことの「番号確認」と、マイナンバーカードや運転免許証などでの「身元確認」とをセットにして本人確認を行う必要があります。ただし、自社の従業員のような、もともと身元確認を行っている場合は、省略して番号確認だけでOKです。

Q.

マイナンバーは扶養控除等(異動)申告書に毎年記載してもらわないといけないのでしょうか?

A.

平成29年分から、改正によってマイナンバーなどを記載した帳簿を備え付けている場合には、扶養控除等(異動)申告書への記載を省略することができるようになりました。
具体的には、以下の事項を記載したものです。

  1. 本人や扶養親族などの氏名、住所、マイナンバー
  2. 上記の作成にあたり提出を受けた申告書の名称(基本的には扶養控除等(異動)申告書)

※平成29年の税制改正で、平成30年分以降の年末調整における配偶者控除及び配偶者特別控除の取扱いが大きく見直されました。
それに伴い、扶養控除等(異動)申告書の記載事項が変更されています。
記事「平成30年の年末調整での変更点【人事給与担当者は必見!】」をあわせてご覧ください。(2018年10月31日 『スモビバ!』編集部追記)

最新2019年分の年末調整の記事はこちらです。
令和元年(2019年)の年末調整の変更点について【人事給与担当者は必見!】

Q.

従業員から「ふるさと納税」の証明書(寄附金受領証明書)を提出されましたが、どうしたらよいですか?

A.

ふるさと納税は寄附金控除の一種であり、年末調整で控除を受けることができませんので、寄附金受領証明書を返却し、所得税の確定申告をすることで控除を受けられるようにするか、ワンストップ特例制度により確定申告が不要になるよう申請する、という方法があることを従業員に伝えてください。
医療費控除がある場合や、はじめて住宅ローン控除を受けられる方も同様です。

Q.

従業員から預かった源泉所得税はちゃんと税務署に納めているのに、年末調整の還付金を会社から従業員に払うのはおかしくないですか?

A.

預かった源泉所得税は税務署へ納めたのに、年末調整でさらに従業員にも払うとなると、会社が二重払いで損をしたように思えてしまいますね。 しかし、実際のところでは年末調整の後で源泉所得税を納めるときに、従業員に払った分を相殺して計算することになりますので二重払いにはなっていません。
また、1回で相殺しきれなかった時は繰り越して次回からも相殺することになります。この場合、納付がゼロになるときは銀行等では受け付けられませんので、納付書(所得税徴収高計算書)を直接税務署に提出するか、e-Taxで送信することになります。

まとめ

いかがでしょうか。年末調整は年に一度の業務なので、何度経験していても細かいところは忘れがち。また毎年改正があるので、間違わないように処理するのも大変です。
年末調整機能のある給与ソフトの導入を検討することも方法のひとつです。特に「弥生給与」は、通常業務だけでなく、年末調整業務もナビゲーションで流れがわかりやすく、個人別の進捗管理も行えるようになっていますので、試してみてはいかがでしょうか。

photo:Thinkstock / Getty Images

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この記事の執筆者

宮原 裕一(税理士)
宮原 裕一(税理士)

1972年生まれ。税理士。弥生認定インストラクター。「宮原裕一税理士事務所
弥生会計を10年以上使い倒し、経理業務を効率化して経営に役立てるノウハウを確立。弥生会計に精通した税理士として、自身が運営する情報サイト「弥生マイスター」は全国の弥生ユーザーから好評を博している。
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