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どこが違うの? 支払調書と源泉徴収票

公開日:

執筆者:柳原つつじ

どこが違うの? 支払調書と源泉徴収票

会社員の場合、勤務先が年末調整を行い、給与から天引きされている所得税の精算手続きを行うことが多いです。その結果を、多くの会社員は、12月分の給料明細をもらうときに、源泉徴収票を受け取ってから知ることになります。しかし、個人事業主は当然、勤務先から源泉徴収票を受け取る機会はありません。その代わりに、取引先からは支払調書が送られてくることが一般的です。支払調書と源泉徴収票の違いについて、解説したいと思います。



POINT
  • 支払調書も源泉徴収票も、適正に課税するための「法定調書」である
  • 源泉徴収票は勤務先が従業員に発行する義務がある
  • 支払調書は特定の支払をした事業者が、税務署に提出する書類。個人事業主に対して送付する義務はない

税務署に提出する「法定調書」

支払調書と源泉徴収票は、ともに適正に課税するために、税務署が提出を義務づけているものです(源泉徴収票については、一定の条件下で提出義務あり)。

そうした書類を「法定調書」と呼びます。法定調書は60種類以上あり、そのなかに、支払調書や源泉徴収票が含まれています。

法定調書として、似た役割を持つ両者ですが、それぞれ目的と対象が異なってきます。ひとつずつ見ていきましょう。

「源泉徴収票」の目的と対象

「会社員の場合は、勤務先が年末調整を行い、その結果として源泉徴収票を受け取ることが多い」と書きましたが、正確には「給与所得の源泉徴収票」で、ほかのタイプの源泉徴収票もあります。退職金の支払額と源泉徴収した所得税額を証明する「退職所得の源泉徴収票」や、年金などの支払額と源泉徴収した所得税額を証明する「公的年金等の源泉徴収票」です。今回はもっとも一般的な「給与所得の源泉徴収票」についての解説です。

本来支払うべき額より所得税を払い過ぎていれば、年末調整で過不足を調節し、その結果として、「給与所得の源泉徴収票」を受け取ることになります。源泉徴収票とは「給与などの支払いをする者が、支払額と源泉徴収した所得税額を証明する書類」だと理解すればよいでしょう。

源泉徴収票は、雇用主から給与を受け取っている労働者に対して、発行されます。これは、必ず発行しなければなりません。勤務先が行った年末調整の結果ですから、当然、報告してもらわなければ困りますよね。確定申告の際にも、源泉徴収票は添付する必要があります

そして、年末調整を行った場合、以下にあてはまるときに、勤務先は源泉徴収票を税務署にも提出しなければなりません。

  • 法人役員で給与額が150万円を超える場合
  • 弁護士や司法書士、税理士などの給与額が250万円を超える場合(報酬として受け取る場合は「報酬、料金、契約金および賞金の支払調書」を提出)
  • 役員や弁護士、司法書士、税理士以外の者で、給与額が500万円を超える場合

「支払調書」の目的と対象

一方の支払調書は、「特定の支払いをした事業者が、その明細について記載して、税務署に提出する書類」のことです。

支払調書は、支払いを受けた者がきちんと申告を行うかどうかを照らし合わせるための書類です。支払調書にもいくつか種類がありますが、個人事業主が受けとることがもっとも多いものが、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」です。

たまに「副業しても黙っておけば、税務署にバレないのではないか」と考える人がいます。そういう人には「支払者が申告しているから、税務署も把握しているよ」と伝えるようにしています。脱税を防ぐための資料が、支払調書ということになります。

支払調書は、雇用主を持たない個人事業主に対して発行されます。ただし、源泉徴収票のように発行義務があるわけではありません。以下の場合に、支払調書を税務署に提出しなければならないので、その流れで、個人事業主にも商慣習的に発行されているにすぎません。

税務署に支払調書を提出するケース

  1. 外交員、集金人、電力量計の検針員、プロボクサー、バー、キャバレーなどのホステスの報酬で、年間の合計金額が50万円を超える場合
  2. 競馬の賞金で75万円を超えている場合は、その年すべての支払金額を提出
  3. プロ野球選手をはじめプロスポーツ選手の報酬や契約金で、年間の合計が5万円を超える場合
  4. 弁護士や税理士への報酬、作家や画家への原稿料や画料、講演料で、年間の合計が5万円を超える場合
  5. 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬が50万円を超える場合

支払調書は、確定申告書に添付する必要はありません。その点も、源泉徴収票とは異なる点と言えるでしょう。

以上、両者の違いを解説いたしました。なかでも「支払調書は取引先に発行義務があり、それがないと確定申告ができない」という誤解は、多いようです。
【参考記事】
支払調書が来ない、届かない。確定申告できない!?

似て非なる、支払調書と源泉徴収票。混同しないように、目的と対象を覚えておきましょう。

photo:Thinkstock / Getty Images

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この記事の執筆者

柳原つつじ
柳原つつじ

出版社勤務を経て、フリーエディター、コラムニスト。歴史、伝記・評伝、経営、書評、ITなどを得意ジャンルとして、別名義で著作多数。ここでは、脱サラフリーランスならではの視点で、お役立ち情報をお届けしたいと思います。

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