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副業&新事業を始める前に! 法人化するメリット&デメリットを徹底検証

公開日:

執筆者:五島洋

副業&新事業を始める前に! 法人化するメリット&デメリットを徹底検証

「会社員の傍ら、副業でネットショップを始めたいが、法人化したほうがおトク?」
「本業以外に、別の事業をスタートするなら、もうひとつ会社を作るべき?」
そんな質問を受けることがありますが、その答えはケースバイケース。一概に「コレが正解」と申し上げられない前提で、法人化したほうがいいケース、しないほうがいいケースについて、ざっくりとQ&A方式で考えていきましょう。



POINT
  • 法人化するよりも個人事業主のままの方がベターな利益の分岐点がある
  • 法人化して役員報酬を受け取ることで、給与所得控除を受ける選択肢も
  • 当初は個人事業主でスタートし、新たに法人にすれば最長4年間の消費税の免除期間も

勇み足で法人化に踏み切る前に注意したいこと

個人事業主の場合、事業が軌道に乗り、売上が上がってくると、所得(売上-経費)に対し、所得税や住民税が課せられます。このうち所得税は、累進課税といって、所得が増えるにつれ、税率が上昇するもの。最終的な所得税と住民税の合計最高税率は55%、つまり場合によっては儲けの半分以上を税金として支払わなければならないケースも出てきます。

これに対し、法人の利益に対してかかる法人税率は、利益の額によって上昇はするものの、その差は所得税と比べて小さく、ほぼ一定といっていいでしょう。

副業や新事業など、"二足のワラジ"をはくことで、一定の利益が出る、あるいは所得が加算されることが予想されるならば、「副業用に法人を作る」あるいは「もうひとつ会社を作る」ことで、節税メリットが期待できる......というわけですが、ことはそう単純ではありません。勇み足で法人化に踏み切ると、後々、「しまった......」という事態にもなりかねません。以下、具体的な例を挙げていきますので考えてみましょう。

Q. 法人化したほうがいい利益(所得)の損益分岐点の目安は?

A. 目安は500万円程度。利益があまり望めなければ、個人事業主のまま、経費計上で対処したほうがベターだと思います。

ズバリ、どの程度、利益が上がれば、法人化したほうがいいのか。
先の税率の差に加え、法人化した場合、以下のような負担がかかってきます。

・赤字であっても年間7万円の法人住民税負担が生じる
個人事業主の場合、赤字であれば所得税も住民税も発生しませんが、法人化すると、利益の額に関わらず、法人住民税の均等割が年間7万円かかります。

・決算や申告に関わる税理士報酬
法人化した場合、決算や税務申告作業が複雑化するため、税理士に依頼するケースが多いでしょう。そうすると、いくらコストを抑えても、税理士報酬として10~20万円はかかります。

・社会保険への加入
個人事業主の場合、従業員が5名以下であれば社会保険への加入は任意ですが、法人化すると社長一人でも役員報酬を支給する際に社会保険への加入が義務付けられています。

上記以外に、会社設立時にも手続き費用に約20万~25万円程度かかります。こうした法人化に伴うコスト負担を鑑みると、目安となる利益額はだいたい500万円程度。「とてもそんな利益額には満たない」という場合は、個人事業主のままにして、自宅で仕事をしているなら家賃を按分するなど、経費をこまめに入れたほうが一般的にはベターと考えられます。
【参考記事】
会社設立・登記申請にかかる費用は? 資本金によって差が出る?
【社長さん必見!】社会保険への加入、本当にメリットがあるの?【スモールビジネス】

Q. 経費があまりかからない業種の場合、どう考えるべき?

A. 法人化し、社長として役員報酬を受け取り、給与所得控除を活用するのも手。ただし、役員報酬は原則的に途中で変更が難しいため、設定額に注意すること。

事業やビジネスによって、仕入れもなければ、経費もほとんどかからないという場合、個人事業主で経費を計上するといってもなかなか難しいケースもあります。

その場合、法人化し、社長として役員報酬を受け取ることで、給与所得控除の恩恵を受けることが可能となります。

ただし、一度決めた役員報酬は毎月同額で支払うことが原則ルールとなります。
売上に上下動があるような業種、ビジネスの場合、例えばガクンと売上が下がると、「会社は赤字なのに、個人の所得には高い税金がかかる」という事態に陥るリスクもあるため、注意が必要です。
【参考記事】
会社にとって無理のない給与の決め方:「役員報酬は毎月決まった額で計上しよう」以下の項参照

Q. 2年間の消費税免除の恩恵は、どう活用するべき?

A. 当初、個人事業主で事業をスタートし、新たに法人にすれば最長4年間の消費税免除期間の恩恵あり。ただし、分社化(分割)の場合、親会社+子会社の合計売上高で判断されるので注意が必要です。

消費税の課税事業者には、
・原則として、2年(期)前の売上1000万円超の個人事業主・法人
という条件があります。

よって、本業で会社を持っていて、それ以外の業務として「飲食店を開きたい」といった場合、最初は個人事業主として2年間営業し、新たに法人を作れば、最長4年間の免除期間を受けられます。
(※法人を作る際に、資本金1,000万円以上にすると、売上に関係なく初年度から納税義務が発生するなど、例外あり)。

ただし、当初、一つの法人内で事業を展開していて、「儲かってきたので、事業を切り分けて、分社化したい」といった場合、親会社と子会社の売上高の合計額が1,000万円を超える場合は、納税義務が免除されず、1年目から支払義務が発生します。

まとめ

このようにケースや考え方によっても、選ぶべき道はそれぞれ。
その他のケースを考えても、本業が儲かっていて、新事業でしばらくは赤字が想定される場合は、1つの会社でやったほうが、損益通算できるメリットがあります。
一方、新事業で、すぐに黒字化の見通しが立つようなら、最初から2つの会社に分けたほうが、交際費の枠も広がり、法人税負担を下げることも可能となります。

また、人によっては、法人化したほうが、「自分のモチベーションが上がる」「対外的な信頼性が増す」と考えるケースもあるでしょう。

いずれにせよ、単なる目先の節税だけでなく、長期的スタンスで、専門家の意見も聞きながら、判断していくことが肝要と心得ましょう。

photo: Getty Images

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この記事の執筆者

五島洋
五島洋

税理士、ファイナンシャルプランナー。150社以上もの顧問経験を武器に、顧客には会計業務以外の経営アドバイスも積極的に行っている。著書として『ゼロから始める会社の数字入門』(KADOKAWAメディアファクトリー)、『身の回りの税金がわかる』(西東社)、『あなたの「年金」がすぐわかる本』(PHP研究所)など。
・<中小企業>社長のための経営相談所
・五島洋税理士事務所

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