フリーランスの働き方改革とは? プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会・平田麻莉さん

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フリーランスの働き方改革とは? プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会・平田麻莉さん

「集え、フリーランス。始まる、フリーランス」——2017年1月26日「プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会」が発足しました(4月20日に社団法人化)。国内初となる、個人・企業が連携したフリーランス支援のためのプラットフォームです。

国をあげ「働き方改革」の実行計画が進められ、企業の側からも副業・兼業という働き方に大いなる関心が注がれています。フリーランスという働き方そのものが見直されようとしているなか、2017年7月に一般会員の募集も始めた同協会。協会が実現しようとしている、フリーランスの働き方改革とは? 同協会の代表理事・平田麻莉さんにお話を伺いました。


働き方が変わっていく――「職種の多様化」「雇用形態のグラデーション化」

――「一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会」という名前のとおり、会員の対象は、いわゆる個人事業主だけにくくられているわけではないのですよね?

そうですね。私たちは広義のフリーランス人材を支援していくことをめざしています。

これまでフリーランスというと、クリエイター系といいますか、ライター、フォトグラファー、アーティスト、エンジニア......といった一部の職種に限定されていたと思います。しかし最近はビジネス系でも広報、経理、人事、営業といった専門分野のスペシャリストとして働いている人もたくさんいますし、バックグラウンドや年齢も多様化しています。それに加え「個人事業主=フリーランス」という図式も崩れてきていて、ひとり法人の方もいれば、会社員がすきま時間に別の仕事をしている副業という働き方も増えています。

――ランサーズ株式会社が発表した「フリーランス実態調査」では、フリーランス人口は国内1,122万人(2017年)。そのなかには個人事業主・法人経営者として1人で事業をしている「自営業系」が含まれますが、会社の仕事のすきま時間を使って別の仕事をする「副業系すきまワーカー」、雇用形態に関係なく2社以上と契約する「複業系パラレルワーカー」、特定の勤務先はなく独立している「自由業系フリーワーカー」など、まさしく働き方が多様化しています。

フリーランス個々人の自覚の有無にかかわらず、国内でも着実にそうした「職種の多様化」「雇用形態のグラデーション化」が進んでおり、当協会もさまざまな方に"開けた"プラットフォームにしていこうと考えています。

フリーランス協会発足を後押しした実体験

――平田さんはフリーランス&パラレルワーカーの1人として協会の経営を行う一方で、ふだんはフリーランスのPRプランナーとして企業の広報活動をお手伝いされています。事業者側から見て課題はありますか?

家事代行マッチングサイト「タスカジ」の運営メンバーの1人でもありますが、タスカジのプラットフォームに登録するハウスキーパーさんも――本人たちにはあまりその自覚はないのかもしれませんが――その働き方はフリーランスです。彼女たちのタスカジに対する満足度はとても高いと自負していますが、たとえば学童保育(日中の間、就労などの理由で家庭にいることができない人向けに小学生の児童を預かる保育事業)を受ける際には雇用証明書が必要になることもあり、お困りの方が多いですね。

――たしかに学童保育を利用する場合には、保護者の就労状況をチェックするために就労証明が求められることがあるようですね。

私たちとしても雇用証明書の代わりに稼働証明書を出すなど試行していますが、それでは受け入れられないケースもあるようで。タスカジの仕事を続けたいけれど泣く泣く派遣社員の仕事へと切り替える方もいらっしゃるんです。ほかにも、確定申告をしようにも会計や法務的な知識がなく困っていることもしばしば......。せっかくシェアリングエコノミーやクラウドソーシングなどでフリーランスの敷居が下がり、プラットフォーム事業者としてそうした部分でのサポートもしていきたいのですが、タスカジ1社でその問題に挑むのは難しい面があります。

私自身がフリーランスとして活動してきたなかで培った課題意識もありましたが、そうした事業者として感じた課題も重なり、ならば同じ悩みを抱えている"みんな"で一緒に大きな仕組みを築いていきたいという気持ちに至ってこの協会を発足させました。

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フリーランスで陥りがちな深刻な困りゴト......

――ご自身の実体験から、会社員にあって、フリーランスにないものって何でしょうか?

大きなところでは、保険の制度ですよね。医療保険なら、フリーランスにも市区町村の国民健康保険、前職の時に加入していた保険組合の任意継続、そして業種・職種別に組織された国民健康保険組合、家族加入の健康保険の被扶養者になる......といった選択肢がありますが、当然、保険料の自己負担額は大きくなりますし、予防医療の観点が薄くなりがちなのかなと。とくに国保だと自治体によるところもあって、なかなか健康診断を受診する機会が得られないケースも生じます。

――会社員なら「年1回の健診」が当たり前ですもんね。

フリーランスには「健康診断に10年以上行っていない」なんて人がざらにいて、なかには「胃がん検査をしたいけれど、人間ドックは高くなるから、お腹が痛いふりをして医者にかかり、保険を適用してもらってがん検診を受ける」なんて、冗談みたいな話が本当にあります。

――たしかに聞いたことがありますね(笑)。

雇用保険にしても、その枠組みのなかには「教育訓練給付制度」というものがあります。これはいわば、失業したときにキャリアアップ、ステップアップするための教育機会。同じく雇用保険の枠組みには「育休・産休」や「介護休業」が含まれており、これもフリーランスにはない制度です。万が一のときの所得補償となる労災保険に関してもそう。フリーランスになる人は仕事獲得の不安定さは覚悟のうえなので失業保険を求める気はありませんが、キャリア開発や子育て、介護に関するセーフティーネットの仕組みが会社員でないと享受できないというのは不思議です。フリーランスという働き方が増えるのであれば、職種や雇用形態を問わず、そうした制度を受けられるようにしていく必要があると思います。

あとは、ほとんどのフリーランスは労働法ではなく下請法の対象なので、「最低賃金」の概念がなく――個人的には最低賃金まで定めるべきだとは思っておらず、値付けや交渉もフリーランスに必要なスキルのひとつだと考えていますが――ある程度の相場感やガイドラインはあってもいいと思います。契約時の口約束が常態化している業種などもありますから、発注者側への啓発を踏まえ、そうした面からしっかりと見直さなければいけません。

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この記事の執筆者

安田博勇
安田博勇

1977年生まれ。大学卒業後に就職した建設系企業で施工管理&建物管理に従事するも5年間勤めてから退職。出版・編集系の専門学校に通った後、2006年に都内の編集プロダクションに転職。以降いくつかのプロダクションに在籍しながら、企業系広報誌、雑誌、書籍等で、編集や執筆を担当する。現在、フリーランスとして活動中。

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