営業上手な社長、営業ベタな社長。その違いとは?

2017/08/09

営業上手な社長、営業ベタな社長。その違いとは?

新規の顧客を獲得するのが上手な経営者と、そうじゃない経営者は何が違うのか。さらに言えば、なぜ取引先の新規開拓を継続していく必要性があるのか。私自身の経験、クライアントのケーススタディもまじえながら、経営者こそが営業の前線に立つ意義について、考えてみたいと思います。


POINT
  • 「現状維持でいい」は通用しない。新規開拓をしなければ、顧客は必ず減る
  • 最前線で新たな見込客に対峙し続けてこそ、自分の"真価"がわかる
  • 営業ベタ=「頑固、トライ&エラーが苦手」≠「口下手、人間関係が苦手」

売上・利益とともに、「新規顧客が増えているか」がポイント

「1社に売上が集中しているから、今期は新規取引先を増やさないと......」
「常連だけじゃなくて、新規の来店客数を増やす施策を考えなければ......」

年度や期が変わり、そう誓ったはずが、気付いたら目の前の業務に追われ、新たな手を打つこともなく、月日は過ぎていく。
内心、「このままではマズい」とわかっているはずなのに、「売上、利益も下がっていないから、まあいいか」と、リスクから目を背けて、ダマシダマシやっている――。

「コレ、自分のことかも」と、ドキッとした方もいらっしゃるのではないでしょうか。

一方で、「大手の取引先がついてるし、売上、利益も順調だから大丈夫でしょ」「ヘタに取引先が増えても、人員が足りないし......」という方もいるかもしれません。

しかし、今がよくても、5年後、10年後を見据えるならば、新規開拓は必須。逆を言えば、売上・利益が上がっていて、新規顧客が増えてさえすれば、「とりあえずはOK」というのが、会社の数字を見るうえでのポイントでもあります。

まっさらの状態で、新たな見込み客に対峙する意義とは?

では、なぜ新規開拓が必要なのか、あらためて考えてみましょう。

1つめのポイントは、「既存顧客との仕事に安住していたら、必ず売上がダウンする」からです。

私が接しているクライアントのなかにも、1~2社の大口顧客に売上の大半を依存しているケースは決して珍しくはありません。
それがために、お互い蜜月関係の時はよくても、顧客の経営方針の転換や、業績不振などの影響で、「あえなく取引を切られた」「苦境に陥った」といった事態にも遭遇してきました。

そう。ビジネスでは、残念ながら「現状維持でいい」は通用しません。
常に右肩上がりを目指さなければ、平坦な道のように見えて、気付けば「下り坂を転げ落ちていた」というハメにも陥りかねないのです。

2つめは、「前線で、新たな見込客に対峙してこそ、今の自分の真価、市場価値が見えてくる」からです。

私自身、税理士として独立し、2017年で16年目。長いお付き合いのクライアントを大事にするのはもちろん、常に新規のクライアントを増やすことに注力しています。

どの業種、業界も同じですが、顧客が何を求め、考えているかは、千差万別です。
時代によっても変遷していくニーズを探り、対応していくには、お互いに手の内がわかっている既存顧客だけではなく、まっさらの状態で、見込客に対峙し、話に耳を傾ける。
あるいは声なき声にも応えていく。

"あうんの呼吸"では成立しないリアルなコミュニケーションに、前線で挑んでこそ、
今の自分がどの程度通用するのか、あるいは、何を変えねばならないのかがわかる。
自身に磨きをかけることにもつながると考えています。

人の意見に耳を貸さない"頑固な経営者"が上手くいかない理由

「でも、私は口下手だし、営業は苦手なんだよなあ......」
「人間関係が得意じゃないから、組織を辞めて独立したんだけど......」
そういう方もいるかもしれませんが、はっきり申し上げましょう。

話が上手とか、人間関係が得意といったことは、営業の能力にはほぼ関係ありません。
むしろ"立て板に水"のごとく、ペラペラと話をする営業マンよりも、話しぶりは朴訥でも"聞き上手"なタイプのほうが信頼感を得て、支持されることも多いのです。

では、裏を返し、営業ベタな社長の特徴とは何か。私は、大きく2つのポイントが挙げられると考えています。

1つが「頑固な人」。
「頑固であるという自覚がない、頑固な人」と表現したほうが、正確でしょうか。
人の話や社員からの提言についても、聞き入れているようで、「そんなことをやっても、どうせお客なんか増えっこない」とばかりに却下し、過去の経験や成功法則に固執してしまう経営者は少なくありません。

しかし、既存の顧客、やり方に安住していると、どうしても腰が重くなってしまいます。フットワークを軽くして、新しい顧客を開拓しようというアクションへのハードルも高くなりがちです。

フットワークが軽く、方向転換がしやすいのもスモールビジネスのメリット

2つめに挙げられるのが「トライ&エラーが苦手な人」。

先に挙げた「どうせ何をやっても、お客なんか増えないし......」という考えの裏にあるのが、「失敗したくない」という意識です。

私自身、新規開拓に注力していると申し上げましたが、「じゃあ、どうやったらお客さんを増やせるんですか?」と尋ねられたら、残念ながら「それはわかりません」と答えるしかありません。

正解は、相手によっても、状況によっても、異なります。トライ&エラーで模索するしかないのです。「駅前でチラシを配ったって、新しい客なんか来やしない」と、やる前から決めつけるのではなく、やれることは何でもやってみる。
やってみて、効果がないとわかったところで、新たな施策にトライすればいいのです。

小回りが利くスモールビジネスだからこそ、方向転換もしやすい。こうして"勝つ"までトライし続ければ、小さなエラーなんぞ大した問題ではありません。

ここであらためて考えていただきたいのが、「そもそも、なぜ今の事業をスタートしたのか」、あるいは「どうしたら今の事業で成功したといえるのか」です。

さまざまな理由、要素が挙がってくると思いますが、突き詰めれば、「人の役に立つ」「人の生活を良くする」ことが、すべてのビジネスが成立する基点なのではないでしょうか。

つまり広く社会のニーズに応えてこそ、その対価が得られる。
そこに立ち返れば、「失敗したくない」などといった小さな自意識に執着しているヒマはないはずです。
私も、数えきれないほどのトライ&エラーを経て、今があります。腹を決め、前線に立つ覚悟さえ持てば、見える"風景"も変わってくる。
それこそが現状を打破する一歩につながるのではないでしょうか。

photo:Getty Images

  • 青色申告オンライン
  • 白色申告オンライン
  • 【PR】 1分でキレイな請求書を作成 「Misoca」 -今すぐ無料でお試し-
  • マイナンバーも年末調整も弥生給与
  • 会計オンライン

閉じる

【PR】 1分でキレイな請求書を作成 「Misoca」 -今すぐ無料でお試し- 白色申告オンライン 青色申告オンライン 会計オンライン 弥生給与

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事の執筆者

五島洋
五島洋

税理士、ファイナンシャルプランナー。150社以上もの顧問経験を武器に、顧客には会計業務以外の経営アドバイスも積極的に行っている。著書として『ゼロから始める会社の数字入門』(KADOKAWAメディアファクトリー)、『身の回りの税金がわかる』(西東社)、『あなたの「年金」がすぐわかる本』(PHP研究所)など。
・<中小企業>社長のための経営相談所
・五島洋税理士事務所

この執筆者の他の記事を見る