いつになったら税理士をつける? タイミングの見極め方・考え方

2017/10/04

いつになったら税理士をつける? タイミングの見極め方・考え方

事業を始めたら、すべからく税理士はつけるべきなのでしょうか? 「売上が500万円を超したら」「法人化したら」「消費税課税事業者の売上基準1000万円に近づいたら」などなど、諸説あるなか、実際には何が正解なのか。税理士だからこその意見、考え方を提言します。


POINT
  • 個人事業主の場合、売上規模が小さいうちは、自力で会計ソフトやサポートサービスを使いこなせばOK
  • 法人化がひとつの目安となる。ただし、メリット・デメリットをしっかり見定めるべし
  • 費用対効果をシビアに考え、まずは事業のゴールを定めよう

会計ソフトの登場で、帳簿づけの手間は大幅ダウン!

「売上がいくらぐらいになったら、税理士をつけるべきでしょうか」
「どのタイミングで、税理士をお願いすべきでしょうか」

そんな質問を受けることがよくあります。しかし、結論から申し上げると、そこにはコレという正解がないというのが実情です。

ただし、あえて何か目安を、ということであれば、「法人化した場合」が、挙げられるでしょうか。

個人事業主の場合、まだ売上規模が小さく、毎月、必ずかかってくる税理士への顧問料が見合わないケースが多いと思います。

今の時代、便利な会計ソフトが普及し、パソコンが苦手な人や使い方がわからない場合でもWebや電話でのサポートなども充実しています。個人が記帳や申告作業をする際のハードルも以前より低くなっています。

本業の忙しさにもよりますが、費用対効果から考えても、自分で帳簿づけさえできれば、わざわざ税理士に依頼しなくてもいいのでは、というのが私の考えです。

では、いつ個人事業主から法人化するべきか。これも、よく受ける質問のひとつです。しかし、事業の具合がどうなのか。将来のゴールをどう見据えているのか。その方の考え方、性格などによっても判断は異なってきます。

法人化にはメリットもあるが、コスト増のデメリットもある

ご承知の方も多いでしょうが、法人になるとメリットもあれば、厄介なこともあります。

メリットとしては

  • 法人化すれば、社長も会社から給与を受け取る立場となり、給与所得控除を利用することができる
  • 新たに法人を設立した場合、資本金1,000万円未満であれば、最大2年は消費税免税となる
  • 個人よりも信用力がアップし、取引先の開拓や金融機関から融資を受ける際に有利に働くことがある
  • 赤字の繰り越し年数が個人より長い
  • 社宅の活用など、節税の範囲が広がる
  • 決算時期を自由に設定できる
  • 個人事業よりも法人の方が優秀な人材を集めやすい

などが挙げられます。
【参考記事】
FORU STYLE・平井幸奈さんが見据える飲食店ビジネスの新展開
※個人事業から法人化した理由の箇所参照

一方、デメリットとしては、

  • 赤字でも、法人住民税の均等割税額(東京都23区の場合、資本金1,000万円以下の場合で原則7万円)が発生する
  • 法人設立時や事務手続きの負担、コストがかかる
  • 従業員がいなくても、社会保険の加入が義務づけられる。従業員がいれば、会社負担も増える

などです。

このあたりを勘案し、それでも「自分は会社として事業をやっていきたい」「いずれは大きく稼ぎたい」と思うならば、現時点の売上の多寡に限らず、最初から法人化するのもいいと思います。
「いや、そこそこの売上で、ムリなくやりたい」と考えるならば、個人事業主のままでやっていったほうが、法人化にまつわるコストを抑制することができます。

あいまいな表現となりますが、私はいつも相談者に「気概の問題です」と申し上げています。つまり、自分にとってのビジネスのゴールをどこに見据えているのか。
私がクライアントとなる方に、「どれくらい稼ぎたいと考えていますか」とお尋ねするのは、目指すゴールをより具体的な数値で明確にするためです。

また、法人化したからといって、必ず税理士をつけなければならないということもありません。とくに、赤字の場合は、節税対策が不要ですし、税理士も不要な場合もあるということになります。

個人よりも申告作業は複雑になりますが、税務署に行けば、親切に教えてくれます。実際、私のクライアントの中にも、法人化後、2年間、自分自身で申告作業までやっていた方もいらっしゃいます。

費用対効果を見据え、売上・利益を上げることに注力すべし

税理士をつける理由として、
「自分はお金の計算や領収書の整理といった細かい作業が苦手なので、お任せしたい」という声も聞かれます。

「プロに任せれば、その分の時間を本業に費やすことができる」というわけですが、本当に浮いた時間を、自分がお金に換えることが可能なのかも、シビアに考える必要があります。

そもそも、領収書の整理や売上や経費の入力程度ならば、パートタイマーを雇ってお願いするという手もあります。
そこで人件費が発生しても、税理士の顧問料よりは大幅にコストを抑えることができます。

もちろん、個人事業主・法人に限らず、「事業を始めたばかりで、なにか疑問が生じた際に、すぐ質問できるような相手が欲しい」と考えるならば、そうした経営全般の相談に対応してくれるような税理士をつけるのもいいと思います。

ただ、私自身が税理士でありながら、あえて「売上規模が小さいうちは、税理士に依頼しなくてもいいのでは」と提言するのは、理由があります。
それは事業を成功させるためには、シビアに費用対効果を見据え、売上・利益を上げていくことに注力していただきたいと考えているからです。

「売上がいつになったら、税理士つけるべき?」といった、世間の"平均"や"常識"にとらわれることなく、まずは事業のゴールを見据えるべし。

そして、自分自身で「こうしよう!」と決断することを習慣づけることこそが、ビジネスの成功につながるのではないでしょうか。

【参考記事】
法人決算は、自分でできるのか?
会計事務所はこう使え! お願いしたい4つのこと

photo:Getty Images

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この記事の執筆者

五島洋
五島洋

税理士、ファイナンシャルプランナー。150社以上もの顧問経験を武器に、顧客には会計業務以外の経営アドバイスも積極的に行っている。著書として『ゼロから始める会社の数字入門』(KADOKAWAメディアファクトリー)、『身の回りの税金がわかる』(西東社)、『あなたの「年金」がすぐわかる本』(PHP研究所)など。
・<中小企業>社長のための経営相談所
・五島洋税理士事務所

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