近年「ブラック企業」という言葉がマスコミなどの間でよく取り上げられていますが、どんなことをしたらブラック企業と呼ばれてしまうのでしょうか。こちらの記事「要注意!ブラック企業にならないために」で代表的な事項を挙げていましたが、今回はそのなかでも特に「採用」について説明します。
求人広告を出す、または自社のホームページで募集をかける、ハローワーク等へ求人の申し込みをするときは、実際に労働契約を結ぶまでの間に労働条件を明示することが必要です。これは労働契約を結ぶときの労働条件の明示とは別のものです。求人広告のスペースが足りないときは「詳細は面談のときにお伝えします」等と記載することも可能です。ただし、初回の面談の時点までに必ず全ての労働条件を明示しなければなりません。最低限明示する労働条件は下記のとおりです。
上記のうち、③⑧⑨については職業安定法の改正により平成30年(2018年)1月1日より追加されました。
また、当初明示した労働条件が変更される場合は、変更内容について明示しなければなりません。これも職業安定法の改正により平成30年(2018年)1月1日より追加された事項です。平成30年(2018年)1月1日より前に募集や面談の受付をしており、同年1月1日以降に面談をする場合も変更内容についての明示が必要です。
公正な採用選考を行うために、職務遂行上必要な適性や能力だけを採用基準とするようにしましょう。以下に挙げるのは採用面接のときに応募者に聞くと就職差別につながる恐れのあるものです。ご注意ください。
【参考】厚生労働省:公正な採用選考の基本
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人を雇うときに気をつけるべきこと
主に新卒採用において、「採用内定」を出すことがあるでしょう。この「採用内定」とは正式な入社前ではあるけれども、採用することが決定していることをいいます。そして採用内定によって労働契約が成立したと認められる場合には、内定取消しは労働契約の解約、つまり解雇と同様の扱いになりますので、社会の常識に照らして納得できる理由がなければできません。内定取消の理由としてOKとされる可能性の高いものを挙げます。
また、内定取消し理由が悪質とみなされた場合は厚生労働省から企業名が公表されます。
【参考】厚生労働省:平成28年度新卒者内定取消し状況を公表します
採用に関するルールは、ブラック企業にならないための基本としてまずおさえておきたいことです。また、こちらの記事もご参照ください。
【参考記事】
・人を雇うときに気をつけるべきこと
・人を雇う時に知っておきたいこと!人材採用の方法とカギ・リスクとは
photo:Getty Images
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この記事の執筆者
宮田享子(みやたきょうこ)
社会保険労務士。産業カウンセラー。
社労士法人・税理士法人等で実務経験を積んだ後平成22年独立開業。労務相談の他、講師業やメンタルヘルス対策に力を入れている。趣味はオーボエ演奏とランニング。
みやた社労士事務所HP