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メリット盛りだくさん! 「経営力向上計画」って何?

公開日:

執筆者:大野修平(公認会計士・税理士)

メリット盛りだくさん! 「経営力向上計画」って何?

皆様は「経営力向上計画」という計画をご存知でしょうか?
この経営力向上計画を策定し実施する企業は、税制優遇や金融支援など、さまざまなメリットを受けることができるのです。
つまり、経営力向上計画を作れば、国や金融機関等が法人や個人事業主を後押ししてくれるという制度なのです。
平成28年(2016年)7月から始まった新しい制度ではありますが、既に3万7千件超が認定されて、メリットを受けています(平成29年(2017年)10月31日現在)。
この経営力向上計画について、解説いたします。まだ、経営力向上計画を作成していないという方は、これを機会にぜひ計画策定に取り組んでください!



POINT
  • 経営力向上計画の申請書の様式はたった2枚
  • 策定するために認定経営革新等支援機関の支援を受けることができる
  • 認定を受けると、経営上の支援を受けるさまざまなメリットが得られる

経営力向上計画とは?

さまざまなメリットがある経営力向上計画ですが、その策定が煩雑では取り組みづらいですよね。

しかし、ご安心ください。経営力向上計画の申請書の様式はたった2枚です。

2枚の申請書に、①企業概要、②現状認識、③経営力向上の目標や指標、④経営力向上の内容など、簡単な内容を記入するだけで認定を受けることができます。

申請書の様式はこちら(参照用)です。実際の記載方法は後で説明します。

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※上記書式については、記入・提出用のため備考欄の省略等を行っているものです。

【参考】
中小企業庁:経営力向上計画に係る認定申請書

どうでしょう? これだけシンプルな様式であれば、取り組めそうだと思いませんか?

しかも、その策定には認定経営革新等支援機関という、中小企業の経営をサポートする機関の支援を受けることができますので、こうした専門家を上手に利用することで、限りなく少ない労力で認定を受けることができます。

このような簡単な申請書で受けられる認定ではありますが、そのメリットはとても大きいです。具体的にいくつか上げさせてもらうと、以下のような支援があります。

  • 経営力向上計画に基づき購入した設備にかかる固定資産税が、3年間半額になります
  • 中小企業経営強化税制と組み合わせることで、法人税・所得税について、即時償却または取得価額の10%の税額控除を受けることができます(※資本金3000万円超1億円以下の法人は7%)
  • 日本政策金融公庫からの設備資金の借入について、0.9%金利が引き下げられます
  • 商工中金からも低金利の融資を受けることが可能です

実は、この他にもさまざまな優遇措置があるのですが、いかがでしょう? これだけでも大変お得な制度ということが、おわかり頂けると思います。

さらに、今後は経営力向上計画の認定をとっていることが各種補助金の加点項目になる可能性が高いと考えられます。少なくとも前回のものづくり補助金などでは加点項目となりました。それなので、どの会社も必ず認定をとっておきたい計画です。

経営力向上計画を策定し、制度を利用する場合の大まかな流れ

それでは、実際に経営力向上計画を策定し、認定を受け、各種の優遇措置を受けるための流れを説明します。大きな流れは以下の4Stepとなります。

順に説明していきます。

Step 1. 事前準備

経営力向上計画は中小企業のための制度ですので、資本金や従業員数などの自社の会社規模が、制度が対象とする中小企業者等の範囲に含まれているかどうかを確認します。

経営力向上計画の認定を受けられる中小企業者等の範囲はこちらの【参考記事】のP3をご参照ください。

【参考記事】
中小企業庁:経営力向上計画策定の手引き

また、金融支援は中小企業者と中堅クラス企業で支援の内容がことなります。こちらの【参考記事】のP13をご参照ください。

【参考記事】
中小企業庁:税制措置・金融支援活用の手引き

また、税制優遇を受ける場合には、Step 3.の計画申請時に工業会の証明書や経済産業局の確認書等が必要となりますので、それらを準備します。

証明書や確認書の準備の仕方は「経営者は知らなきゃ損!空前絶後のボーナス税制「経営強化税制」ってなんだ!?」をご確認ください。

一方、金融支援を受けたい場合には、あらかじめ関係金融機関に経営力向上計画の認定を受けた場合の融資可能性について相談しておくと良いと思います。

Step 2. 経営力向上計画の策定

ポイントは、経営力向上計画の実施前と実施後において、労働生産性などの経営力の向上の程度を示す指標が伸びるような計画を策定するということです。

どのようなことに取り組めば経営力が向上するかについて、悩まれるかもしれませんが、その点についても、「事業分野別指針」という事業分野ごとに経営力向上の方法などを示した指針が策定されています。

例えば、外食・中食産業における経営力向上に資する取組内容としては、「商品・サービスを提供するターゲット層の明確化」や「商品・サービスごとの食材のロスの把握と抑制」など、さまざまな指針が示されています。

この事業分野別指針を参考に、自社に合った経営力向上のための計画を策定することになります。

なお、「事業分野別指針」が策定されていない事業分野については、「基本方針」に記載されている「経営力向上の定義及び内容に関する事項」と「経営力向上の実施方法に関する事項」を踏まえて経営力向上計画を策定することになります。

【参考】中小企業庁:事業別分野指針

Step 3. 経営力向上計画の申請・認定

経営力向上計画の提出先は、例えば、農業であれば農政局長、製造業であれば経済産業局長など、各事業分野によって異なりますので、以下のURLから、「事業分野と提出先」をご確認ください。提出先が不明な場合は、「中小企業庁 事業環境部 企画課」にお問い合わせください

【参考】中小企業庁:経営サポート「経営強化法による支援」

Step 4. 経営力向上計画の開始、取り組みの実行

税制措置や金融支援を受け、経営力向上のための取り組みを実行します。

なお、認定を受けた経営力向上計画を変更しようとする場合には、資金調達額の若干の変更や法人の代表者の交代などの軽微なものを除き、変更申請を行わなければなりません。

経営力向上計画の策定方法

それでは実際に申請書に記入する場合の注意点を各項目ごとに見ていきたいと思います。

お手もとに経営力向上計画の申請書をご用意頂くとわかりやすいかと思います。

経営力向上計画の申請書

経営力向上計画の申請書

1.名称等

名称等は問題なく記入できると思いますが、個人事業主の場合は、資本金や法人番号については記載不要です。

2.事業分野と分野別指針名

「事業分野」については、総務省の日本標準産業分類をもとに、中分類(2桁)と細分類(4桁)コードと項目名を記載してください。

複数の事業を営んでいて、経営力向上計画も複数の事業にまたがる場合には、それらを列記します。

「事業分野別指針名」については、上記の事業の属する事業分野別指針を記載します。
上記の事業の事業分野別指針がない場合には空欄で構いません。

3.実施時期

計画開始の月から起算して、36ヵ月、48ヵ月、60ヵ月のいずれかの期間を記載しましょう。

4.現状認識

次に「① 自社の事業概要」「② 自社の商品・サービスが対象とする顧客・市場の動向、競合の動向」「③ 自社の経営状況」の各欄を埋めます。

それほど詳細な分析は不要ですので、できる範囲で現状認識を行いましょう。

①欄については、事業別分野指針に規模別に取組内容などの指定がある場合には、自社がどの規模に該当するのかを明記します。

5.経営力向上の目標及び経営力向上による経営の向上の程度を示す指標

事業分野別指針をもとに、指標の種類を選び、経営力向上計画の実施期間に応じた伸び率を記載します。

上述のとおり、該当する事業分野別指針がない場合には、基本方針にしたがって策定しますが、その場合には「労働生産性」を指標とします。

なお、経営力向上計画に基づいて取り組みを行った結果、この目標が未達だったとしても、認定が取り消されることはありませんのでご安心ください。

6.経営力向上の内容

「実施事項」の欄には、経営力向上のために取り組むことを具体的に記載します。

「事業分野別指針の該当箇所」には、「実施事項」が事業分野別指針のどの部分に該当するのかを記載します。

「新事業活動への該非」の欄は、「実施事項」が新事業活動に該当する場合に◯をつけます。なお、新事業活動に該当する理由については「実施事項」の欄に記載します。

7.経営力向上を実施するために必要な資金の額及びその調達方法

「6.経営力向上の内容」を実施するのに必要な金額と、そのお金をどのように用意するかを記載します。

「実施事項」欄には「6 経営力向上の内容」における記号(ア、イ、ウなど)を記入します。

「使途・用途」には資金の使い道を具体的に記載します。

「資金調達方法」には自己資金、融資、補助金など、どのようにお金を用意するのかを記載します。複数方法により資金調達を行う場合には、同一の使途・用途であっても資金調達方法毎に項目を分ける必要がありますので注意してください。

8.経営力向上設備等の種類

固定資産税や法人税、所得税の税制優遇を受けようとする場合に記載します。

「利用を想定している支援措置」欄にいずれの税制優遇を受けようとしているのかを記載します。さらに「所在地」には設備の設置予定地を、「取得年月」には設備の取得予定年月を記載します。

「証明書等の文書番号等」には、工業会等の証明書の整理番号や、経済産業局の確認書の文書番号を記載します。

まとめ

いかがだったでしょうか?
経営力向上計画のメリットや計画策定の方法についてご紹介しました。

より詳細な内容については、中小企業庁の「経営力向上計画策定の手引き」をご参照ください。また、計画書の記入例も公開されていますので、こちらも参考にすると良いと思います。

【参考】中小企業庁:申請書様式類・記載例

後日、さらに踏み込んで経営力向上計画の税制優遇を確実に享受するために知っておくべきことについて解説したいと思いますので、ご期待ください!

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photo:Getty Images

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この記事の執筆者

大野修平(公認会計士・税理士)
大野修平(公認会計士・税理士)

OneWorld税理士法人 公認会計士・税理士。
大学卒業後、有限責任監査法人トーマツへ入所。
金融インダストリーグループにて、主に銀行、証券、保険会社の監査に従事。
トーマツ退所後は、OneWorld税理士法人にて開業支援、融資支援、税務顧問などの業務を行う。
また、毎週、補助金と融資の勉強会 を開催し、中小企業の資金繰り支援にも力を入れている。
知っておきたい基礎知識 の記事はこちら

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