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ネットショップ(小売業)の確定申告

公開日:

執筆者:宮原 裕一(税理士)

ネットショップ(小売)の確定申告

ネットショップは、実店舗を持たないことから小売業の形態のなかでも比較的小資本で始められる業態です。また、ネットショップのための決済や物流、広告などの各種サービスも充実し、楽天市場、Yahoo!、Amazonなどネットショップの開店も容易で、起業しやすくなっていますね。
今回は、ネットショップ(小売業)の確定申告の方法について解説していきます。



POINT
  • ネットショップの売上計上は「商品を出荷したとき」が一般的
  • 離れた倉庫にある在庫の計上もれに注意
  • 自宅でも倉庫・作業スペースとして利用する部分は経費になる

売上を計上するのはいつ?

商品の売上を計上する日は、そのモノを引き渡した日とされます。実店舗の場合だと、レジで精算をした時にモノを引き渡しますからわかりやすいですね。しかし、ネットショップの場合、基本的には宅配業者を利用しますから、引き渡したかどうか、つまり相手先にいつ届いたかを把握するのはなかなか難しい話ですよね。

じつは、モノの引き渡しの日の判断についてはいくつかの基準があり、事業者が自分の業態に合ったものを自由に選ぶことができるのです。以下のような基準があります。

出荷基準

商品を出荷した時点で販売したとする考え方。 ネットショップの場合は、出荷したときの記録が一番わかりやすいことから一般的に出荷基準が選択されることが多いでしょう。

引渡基準

商品が相手先に到着した時点で販売したとする考え方。 実店舗で販売する場合などはその場で商品を引き渡しますから、引渡基準が一般的です。

検収基準

相手先が商品の検品を終了した時点で販売したとする考え方。 納めたモノの品質などに問題がないかの検証が必要な場合に選択されることが多いです。

手もとにない商品の棚卸に注意

ネットショップも小売業ですから、年末には商品の棚卸をして1年間の売上に対する「売上原価」を計算する必要があります。売上原価とは、売れた商品にかかる仕入れ代金のことで、次の算式で計算されます。

年初にあった在庫金額+1年間の仕入高-年末にある在庫金額

在庫金額は、商品単価×在庫数量で計算されますが、この単価は売上単価でなく仕入単価であることに注意しましょう。仕入単価にはいくつかの計算方法がありますが、税務署に何も届け出ない場合は年末直近に仕入れた商品の単価を使用する「最終仕入原価法」によることになります。

さて、ここで気をつけたいのが棚卸の対象は目の前にある在庫だけではないということです。ネットショップでも、フルフィルメントサービス(受注から梱包、発送、受け渡し、代金回収まで業務全体を請け負ってくれるサービス)のように在庫を預けてショップ運営するような場合は、手もとの在庫のほかに倉庫にある在庫も計算に入れなければなりません。

もちろん、受注してから注文情報をベンダーに渡すドロップシッピングのように、在庫を持たない場合は棚卸しの必要はありません。

経費にはどんなものがある?

ネットショップの開業費

ネットショップを開業するにあたって、初期投資としてさまざまな支出があるでしょう。例えば、独自ドメインを取得する費用や、サイトの制作費、ショップの登録料などが挙げられます。また、扱う商材によっては古物商許可証や食品衛生法に基づく営業許可などの手続にかかる費用もあるでしょう。 これらの費用は支払いの時に「開業費」としておき、決算の時に任意の金額を償却費として経費化することができます。つまり、開業の年に全額を経費とすることもできますし、翌年以降に分けて経費とすることもできるのです。

(仕訳例)サイト制作費や登録料で30万円支払った
開業費 300,000 / 普通預金 300,000
(仕訳例)決算で開業費のうち10万円を経費化した
繰延資産償却 100,000 / 開業費 100,000

月額出店料などの勘定科目は?


楽天市場などのモールに出店すると、基本的に月額出店料と売上ごとに数パーセントの手数料がかかります。勘定科目を何にしたらよいか迷ってしまうかもしれませんが、基本的には決算書などに用意された科目から選択し、当てはまらない場合は自分で作成してかまいません。これらの手数料は「支払手数料」でよいですし、例えば「システム利用料」などといった項目を別途作成してみてもよいですね。
また、ショップへの集客に欠かせないリスティング広告や、商品撮影にかかった費用などは「広告宣伝費」、商品の梱包材や発送料などは「荷造運賃」などとします。

自宅を作業場としている場合

さて、ネットショップを運営している場合、実店舗を持たずに自宅を事務作業の場としている方が多いと思います。自宅を作業場としている場合は、事業の部分と生活の部分を適切な割合で分けて経費とする金額を決める「家事按分(かじあんぶん)」という作業が必要になります。 例えば、自宅が賃貸の場合、支払う家賃のうち事業に必要な部分がどのくらいかを考えることになります。基本的には全体の床面積のうち、事業で使用している面積の割合を考えることになります。しかし、ワンルームなどで作業場と生活の場があいまいな場合もありますよね。そんなときは、実際に仕事としてどのくらいの時間を割いているかというような、時間での按分を考えてみてもよいでしょう。

例:家賃12万円、自宅40㎡のうち、事務作業や商品の倉庫として使用しているスペース10㎡
10㎡÷40㎡=25%、12万円×25%=3万円が事業の経費

また、持ち家の場合には、建物の減価償却費や固定資産税、保険料、住宅ローンの利息などを上記のような方法で按分することになります。

このほか、電気代や電話・インターネットなども家事按分の対象となりますが、絶対にコレ、という按分方法はありません。他人に説明して納得してもらえるような合理的な基準を考えてみてください。

まとめ

いかがでしょうか。ネットショップも商品というモノを扱う業種です。商品を売るためには広告費などをどう使っていくかがポイントになりますが、その裏側では在庫管理などをしっかりと行っておく必要がありますね。

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photo:Getty Images

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この記事の執筆者

宮原 裕一(税理士)
宮原 裕一(税理士)

1972年生まれ。税理士。弥生認定インストラクター。「宮原裕一税理士事務所
弥生会計を10年以上使い倒し、経理業務を効率化して経営に役立てるノウハウを確立。弥生会計に精通した税理士として、自身が運営する情報サイト「弥生マイスター」は全国の弥生ユーザーから好評を博している。
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