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仮想通貨・ビットコインの確定申告

最終更新日: 公開日:2018/02/16

執筆者:宮原 裕一(税理士)

仮想通貨・ビットコインの確定申告(移動平均法)

以前に仮想通貨の取り扱いについての解説をしました(ビットコインの確定申告での取り扱い)。それでは、実際の仮想通貨の取引にかかる所得の計算や、その申告はどのように行うのでしょうか。今回は、仮想通貨で買い物をしたらどうなるのか、さらに、仮想通貨の単価の計算、仮想通貨の確定申告について解説していきます。なお、例題に出てくる単価は解説のためのもので、実際の相場とは異なることをご承知おきください。また、金額には支払手数料等を含むものとします。

令和元年度改正により、仮想通貨の評価方法は、「総平均法」によるものとされました。また、仮想通貨を新たに取得した日または従来取得している仮想通貨と種類が異なる仮想通貨を取得した日の属する年分の確定申告期限までに提出が必要です。

それに伴い、執筆者:宮原先生により追記修正いただきました。
(2019年12月25日 スモビバ!編集部)



POINT
  • 仮想通貨で買い物をしたときには商品の値段と仮想通貨の購入金額との間で所得が発生する
  • 仮想通貨の単価計算は1年間の総購入額を総購入量で割り算する「総平均法」が基本
  • 雑所得の赤字は他の種類の所得とは相殺できないので注意が必要

仮想通貨で買い物をしたらどうなるの?

「所得」とはざっくりいうと「儲け」のことを言います。単純に仮想通貨を売買した場合、つまり日本円を仮想通貨にしたあと、また日本円に換金したときは円が増えたか減ったかで考えればよいのでわかりやすいですよね。

(例)
①11月27日 2,000,000円で2BTCを購入した
②11月29日 0.5BTCを600,000円で売却した

1ビットコインあたりの単価を計算して、売却金額から購入金額を差し引いて計算します。

600,000円-(2,000,000円÷2BTC)×0.5BTC = 100,000円
  売却金額   1BTCあたりの単価  売却数量   所得(儲け)

この数字が黒字の時は利益、マイナスの時は損失ということになりますね。
では、仮想通貨で買い物をしたときはどうでしょうか。最近はネット通販のほかにも家電量販店や飲食店など、仮想通貨で決済可能なお店が増えてきました。仮想通貨を使って買い物をしたとき(サービスの提供も含みます)は、購入時に仮想通貨にかかる所得を計算する必要があります。

ところで、「モノを売って儲けが出る」ならわかりますが、「モノを買って儲けが出る」?ちょっとわかりにくいですよね。仮想通貨で買い物をした時の所得というのは、モノの売買そのもののことではありません。モノを買った金額と、もともとの仮想通貨を買った金額との差額で儲けが出ているかどうかということなのです。

(例)
①10月8日 1,000,000円で2BTCを購入した
②11月2日 150,000円のパソコンを0.2BTC(当日のレート1BTC=750,000円)で購入した

この場合も、前述の仮想通貨の売買と同じで、モノの購入金額から仮想通貨の購入金額を差し引いて計算します。

150,000円-(1,000,000÷2BTC)×0.2BTC = 50,000円
  購入金額  1BTCあたりの単価 支払数量  所得(儲け)

仮想通貨の単価の計算はどうやるの?

さて、仮想通貨の売買や使用によって所得が発生するというのはわかりましたが、仮想通貨の購入は複数回にわたるのが通常です。ここで、仮想通貨の購入単価はその時々で違うことになりますが、所得の計算をするときにはどの単価を使ったらよいのでしょうか。

単価計算の方法はいくつかありますが、「総平均法」を原則として、選択して届け出ることにより「移動平均法」という方法も認められています。例題をもとに、それぞれの計算方法を比較してみましょう。

(例)
①1月1日 年初に1,000,000円で2BTCを保有していた
②3月31日 800,000円で1BTCを購入した
③6月30日 700,000円で1BTCを売却した
④9月30日 900,000円で1BTCを購入した
⑤12月31日 1,000,000円で1BTCを売却した

総平均法

同じ種類の仮想通貨ごとに、1年間の総購入金額を総購入数量で割って単価を計算する方法です。当然ですが、1年間が終わるまで単価が確定しませんから、利益も確定しません。

180216_bitcoin_03.jpg

◎総平均法による単価計算
(1,000,000円+800,000円+900,000円)÷(2BTC+ 1BTC+ 1BTC)=675,000円
   ①の金額   ②の金額  ④の金額   ①の数量 ②の数量 ④の数量 1BTCあたりの単価

◎売却での所得の計算
700,000円 +1,000,000円 -675,000     ×(1BTC+1BTC)= 350,000円
  ③の売却金額 ⑤の売却金額 1BTCあたりの単価  ③・⑤の売却数量  所得

移動平均法

同じ種類の仮想通貨ごとに、購入の都度、その時点で持っていた金額・数量に新しく購入した金額・数量を足して単価を計算し直していく方法です。

180216_bitcoin_02.jpg

①・②移動平均法での単価計算
(1,000,000円+800,000円)÷(2BTC+1BTC)= 600,000円
   ①の金額   ②の金額   ①の数量 ②の数量  1BTCあたりの単価

③売却での所得の計算
700,000円 - 600,000円   × 1BTC = 100,000円
  売却金額  1BTCあたりの単価  売却数量   所得
※この時点で手持ちのBTCは600,000円×2BTC=1,200,000円

④移動平均法での単価計算
(1,200,000円+900,000円)÷(2BTC+1BTC)= 700,000円
   ③の金額   ④の金額   ③の数量 ④の数量 1BTCあたりの単価

⑤売却での所得の計算
1,000,000円-(700,000円   × 1BTC)= 300,000円
   売却金額   1BTCあたりの単価 売却数量   所得
※この時点で手持ちのBTCは700,000円×2BTC=1,400,000円
1年間トータルの所得は100,000円+300,000円=400,000円となります。

このケースでは移動平均法の方で所得が大きくなりましたが、単価がどうなるかは相場の動きや売買のタイミングなどによります。

計算方法の選択はどのように届け出たらよい?

仮想通貨の単価計算は、原則として「総平均法」で計算します。

1:初めて仮想通貨を取得した場合や、新たに別の種類の仮想通貨を取得した場合

2019年(平成31年)4月1日後、初めて仮想通貨を取得した場合やもともと取得しているものとは別の仮想通貨を取得した場合、取得した年分の確定申告期限までに「所得税の(有価証券・仮想通貨)の評価方法の届出書」を提出します。

180216_bitcoin_02.jpg

「移動平均法」によりたいときは、その年分の確定申告期限(翌年3月15日)までに、選択した方法を「所得税の(有価証券・仮想通貨)の評価方法の届出書」に記載して所轄税務署へ届け出る必要があります。

なお、この規定は2019年(平成31年)4月1日から適用されているため、同日前から既に仮想通貨を所有していた場合には、2019年(平成31年)4月1日に取得したものとみなして取り扱います。注意したいのは、それまで移動平均法で計算していた場合でも、2019年(平成31年)4月1日をもって総平均法になってしまうため、引き続き移動平均法で計算したい場合は、あらためて移動平均法を選択する旨、届け出る必要があることです。

2:現在の計算方法を変更する場合

例えば、現在は総平均法で計算しているものの、翌年からは移動平均法で計算したいという場合には、「所得税の(有価証券・仮想通貨)の評価方法の変更承認申請書」を、変更したい年の3月15日までに所轄税務署へ提出する必要があります。なお、計算方法は原則として3年間は継続することが求められています。

(※)【スモビバ!編集部追記】
2020年2月27日、国税庁より確定申告期限の1か月延長が発表されました。

新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から
2019年分申告所得税(及び復興特別所得税)、個人事業者の消費税(及び地方消費税)の申告期限・納付期限が、2020年(令和2年)4月16日(木)まで延長となります。

併せて、所得税の有価証券・仮想通貨の評価方法の届出、所得税の有価証券・仮想通貨の評価方法の変更承認申請、所得税の青色申告承認申請書や個人事業の開廃業等届出など、2020年(令和2年)2月27日から2020年(令和2年)4月15日までの間に提出期限・納付をすべき、個人が行うものについても2020年(令和2年)4月16日(木)まで延長されました。

所得税の申告期限・納付期限
 2020年2月17日(月)~2020年4月16日(木)
消費税の申告期限・納付期限
 2020年1月6日(月)~2020年4月16日(木)

【参考】国税庁:申告所得税、贈与税及び個人事業者の消費税の申告・納付期限が2020年(令和2年)4月16日(木)まで延長されました。

(※)2020年4月6日、国税庁より新型コロナウイルスの影響により申告することが困難な方については4月17日(金)以降であっても申告書を受け付けることが発表されました。期限が延長される申告・納付、申請等の手続、延長されないものの詳細につきましては、国税庁ホームページでご確認ください。(スモビバ!編集部 追記)

申告はどうやるの?

仮想通貨の売買による所得が計算された後、実際の確定申告ではどのように税金を計算するのでしょうか。利益が出た場合と損失が出た場合とで取り扱いが異なってきますので注意が必要です。

利益が出た場合

仮想通貨の取引は、原則として「雑所得」にあたるとされています。雑所得の場合、「総合課税」といって給与所得や事業所得などの他の種類の所得と合算して税金を計算します。各種類の所得を合算したのち、基礎控除や社会保険料控除など、各種所得控除を差し引いて税金の対象になる課税所得を計算し、税率をかけて税額を計算します。その税率も税金の対象になる所得金額により、所得税・住民税あわせて15%~55%と、所得金額が高くなるほど税額もより多くなります。

損失が出た場合

仮想通貨の取引で損失が出た場合、他の種類の仮想通貨や年金収入など、雑所得に分類されるもの同士で赤字と黒字を相殺することが可能です。しかし、給与所得や事業所得など他の種類の所得とは相殺できませんから注意しましょう。

申告しなくてよい場合

サラリーマンなど年末調整で税金の精算が終わり、仮想通貨の売買での所得が20万円以下である場合は、確定申告は不要です。しかし、医療費控除で還付申告する場合などは、20万円以下であっても申告に含める必要がありますから注意しましょう。詳しくは以下の参考記事をご覧ください。

【参考】
国税庁:確定申告が必要な方
国税庁:仮想通貨に関する所得の計算方法等について

まとめ

いかがでしょうか。仮想通貨の売買については国税庁でも取り扱いが公表され、その申告状況に目が向けられることかと思います。無申告のままで重いペナルティが課されることのないよう、しっかりと記録をつけて所得計算をしておくようにしましょう。

photo:Getty Images

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この記事の執筆者

宮原 裕一(税理士)
宮原 裕一(税理士)

1972年生まれ。税理士。弥生認定インストラクター。「宮原裕一税理士事務所
弥生会計を10年以上使い倒し、経理業務を効率化して経営に役立てるノウハウを確立。弥生会計に精通した税理士として、自身が運営する情報サイト「弥生マイスター」は全国の弥生ユーザーから好評を博している。
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