仮想通貨・ビットコインの確定申告

公開日:

執筆者:宮原裕一

仮想通貨・ビットコインの確定申告(移動平均法)

以前に仮想通貨の取り扱いについての解説をしました(ビットコインの確定申告での取り扱い)。それでは、実際の仮想通貨の取引にかかる所得の計算や、その申告はどのように行うのでしょうか。今回は、仮想通貨で買い物をしたらどうなるのか、さらに、仮想通貨の単価の計算、仮想通貨の確定申告について解説していきます。なお、例題に出てくる単価は解説のためのもので、実際の相場とは異なることをご承知おきください。また、金額には支払手数料等を含むものとします。


POINT
  • 仮想通貨で買い物をしたときには商品の値段と仮想通貨の購入金額との間で所得が発生する
  • 仮想通貨の単価計算は購入の都度単価を修正する「移動平均法」が基本
  • 雑所得の赤字は他の種類の所得とは相殺できないので注意が必要

仮想通貨で買い物をしたらどうなるの?

「所得」とはざっくりいうと「儲け」のことを言います。単純に仮想通貨を売買した場合、つまり日本円を仮想通貨にしたあと、また日本円に換金したときは円が増えたか減ったかで考えればよいのでわかりやすいですよね。

(例)
①11月27日 2,000,000円で2BTCを購入した
②11月29日 0.5BTCを600,000円で売却した

1ビットコインあたりの単価を計算して、売却金額から購入金額を差し引いて計算します。

600,000円-(2,000,000円÷2BTC)×0.5BTC = 100,000円
  売却金額   1BTCあたりの単価  売却数量   所得(儲け)

この数字が黒字の時は利益、マイナスの時は損失ということになりますね。
では、仮想通貨で買い物をしたときはどうでしょうか。最近はネット通販のほかにも家電量販店や飲食店など、仮想通貨で決済可能なお店が増えてきました。仮想通貨を使って買い物をしたとき(サービスの提供も含みます)は、購入時に仮想通貨にかかる所得を計算する必要があります。

ところで、「モノを売って儲けが出る」ならわかりますが、「モノを買って儲けが出る」?ちょっとわかりにくいですよね。仮想通貨で買い物をした時の所得というのは、モノの売買そのもののことではありません。モノを買った金額と、もともとの仮想通貨を買った金額との差額で儲けが出ているかどうかということなのです。

(例)
①10月8日 1,000,000円で2BTCを購入した
②11月2日 150,000円のパソコンを0.2BTC(当日のレート1BTC=750,000円)で購入した

この場合も、前述の仮想通貨の売買と同じで、モノの購入金額から仮想通貨の購入金額を差し引いて計算します。

150,000円-(1,000,000÷2BTC)×0.2BTC = 50,000円
  購入金額  1BTCあたりの単価 支払数量  所得(儲け)

仮想通貨の単価の計算はどうやるの?

さて、仮想通貨の売買や使用によって所得が発生するというのはわかりましたが、仮想通貨の購入は複数回にわたるのが通常です。ここで、仮想通貨の購入単価はその時々で違うことになりますが、所得の計算をするときにはどの単価を使ったらよいのでしょうか。

単価計算の方法はいくつかありますが、基本的には「移動平均法」という方法が相当とされ、継続して使うことを要件に「総平均法」という方法も認められています。例題をもとに、それぞれの計算方法を比較してみましょう。

(例)
①10月8日 1,000,000円で2BTCを購入した
②11月2日 800,000円で1BTCを購入した
③11月12日 700,000円で1BTCを売却した
④11月17日 900,000円で1BTCを購入した
⑤11月27日 1,000,000円で1BTCを売却した

移動平均法

購入の都度、その時点で持っていた金額・数量に新しく購入した金額・数量を足して単価を計算し直していく方法です。

180216_bitcoin_02.jpg

①・②移動平均法での単価計算
(1,000,000円+800,000円)÷(2BTC+1BTC)= 600,000円
   ①の金額   ②の金額   ①の数量 ②の数量  1BTCあたりの単価

③売却での所得の計算
700,000円 - 600,000円   × 1BTC = 100,000円
  売却金額  1BTCあたりの単価  売却数量   所得
※この時点で手持ちのBTCは600,000円×2BTC=1,200,000円

④移動平均法での単価計算
(1,200,000円+900,000円)÷(2BTC+1BTC)= 700,000円
   ③の金額   ④の金額   ③の数量 ④の数量 1BTCあたりの単価

⑤売却での所得の計算
1,000,000円-(700,000円   × 1BTC)= 300,000円
   売却金額   1BTCあたりの単価 売却数量   所得
※この時点で手持ちのBTCは700,000円×2BTC=1,400,000円
1年間トータルの所得は100,000円+300,000円=400,000円となります。

総平均法

1年間の総購入金額を総購入数量で割って単価を計算する方法です。当然ですが、1年間が終わるまで利益が確定しません。

180216_bitcoin_03.jpg

◎総平均法による単価計算
(1,000,000円+800,000円+900,000円)÷(2BTC+ 1BTC+ 1BTC)=675,000円
   ①の金額   ②の金額  ④の金額   ①の数量 ②の数量 ④の数量 1BTCあたりの単価

◎売却での所得の計算
700,000円 +1,000,000円 -675,000     ×(1BTC+1BTC)= 350,000円
  ③の売却金額 ⑤の売却金額 1BTCあたりの単価  ③・⑤の売却数量  所得

このケースでは移動平均法の方で所得が大きくなりましたが、単価がどうなるかは相場の動きや売買のタイミングなどによります。

申告はどうやるの?

仮想通貨の売買による所得が計算された後、実際の確定申告ではどのように税金を計算するのでしょうか。利益が出た場合と損失が出た場合とで取り扱いが異なってきますので注意が必要です。

利益が出た場合

仮想通貨の取引は、原則として「雑所得」にあたるとされています。雑所得の場合、「総合課税」といって給与所得や事業所得などの他の種類の所得と合算して税金を計算します。各種類の所得を合算したのち、基礎控除や社会保険料控除など、各種所得控除を差し引いて税金の対象になる課税所得を計算し、税率をかけて税額を計算します。その税率も税金の対象になる所得金額により、所得税・住民税あわせて15%~55%と、所得金額が高くなるほど税額もより多くなります。

損失が出た場合

仮想通貨の取引で損失が出た場合、他の種類の仮想通貨や年金収入など、雑所得に分類されるもの同士で赤字と黒字を相殺することが可能です。しかし、給与所得や事業所得など他の種類の所得とは相殺できませんから注意しましょう。

申告しなくてよい場合

サラリーマンなど年末調整で税金の精算が終わり、仮想通貨の売買での所得が20万円以下である場合は、確定申告は不要です。しかし、医療費控除で還付申告する場合などは、20万円以下であっても申告に含める必要がありますから注意しましょう。詳しくは以下の参考記事をご覧ください。

【参考】
国税庁:確定申告が必要な方
国税庁:仮想通貨に関する所得の計算方法等について

まとめ

いかがでしょうか。仮想通貨の売買については国税庁でも取り扱いが公表され、その申告状況に目が向けられることかと思います。無申告のままで重いペナルティが課されることのないよう、しっかりと記録をつけて所得計算をしておくようにしましょう。

photo:Getty Images

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この記事の執筆者

宮原裕一
宮原裕一

1972年生まれ。税理士。弥生認定インストラクター。「宮原裕一税理士事務所
弥生会計を10年以上使い倒し、経理業務を効率化して経営に役立てるノウハウを確立。弥生会計に精通した税理士として、自身が運営する情報サイト「弥生マイスター」は全国の弥生ユーザーから好評を博している。

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