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【青色申告】現金主義と発生主義の違いとは? 現金主義で帳簿をつけるときの注意点

公開日:

執筆者:宮原 裕一(税理士)

【青色申告】現金主義と発生主義の違いとは?  現金主義で帳簿をつけるときの注意点

帳簿づけ、とくに簿記の話となると、「発生主義」や「現金主義」などという言葉を耳にすることがあると思います。帳簿づけの基本は発生主義と言われますが、それでは現金主義とはどういうことなのでしょうか。今回は、現金主義と発生主義の違いと現金主義で青色申告をする際の注意点について解説していきます。



POINT
  • 現金主義とは実際のお金の出入りで収入・経費を把握する考え方のこと
  • 現金主義による帳簿づけができるのは、青色申告の小規模事業者に限られる
  • 現金主義だと複式簿記でも、青色申告特別控除は10万円控除どまり

現金主義ってどういうこと?発生主義との違い

「現金主義」の「主義」は、帳簿づけをするときに、売上や仕入・諸経費をいつ計上するかというタイミングの考え方を表す用語です。みなさんは現金主義という言葉を聞いてどのようなイメージを持たれますか? 「いつもニコニコ現金払い」なんていうセリフが思い浮かんだりするでしょうか。このセリフは、現金という目に見える確実なものを手にするのが大事という意味合いだったりしますが、帳簿づけでの現金主義も、このような考えに基づいています。

通常、売上や仕入・諸経費などの帳簿づけは、モノの引き渡しやサービスの提供があった時点で行います。これらの時点で売上代金を受け取る権利や仕入代金を支払う義務が発生し、権利や義務の発生に基づいて帳簿づけを行うということで、この考え方を「発生主義」といいます。

売上を例にとってみると、例えば1月15日に10万円の商品を納めて、2月の末日に後から代金を振り込んでもらう場合、発生主義では次のように記帳しますね。

発生主義の場合の記帳例

日付売掛金売上
1月15日100,000100,000

そして実際に2月28日に10万円が振り込まれたときは次のように記帳します。

日付普通預金売掛金
2月28日100,000100,000

さて、この発生主義によっていると、売上の日から実際にお金が入ってくる日までの期間が空くことになりますね。つまり、売上代金を受け取る権利は発生したものの、もしかしたら回収できなくなる可能性もある状態が続くということです。そうであれば、実際に代金を回収できるまでは売上とせずに、回収してから初めて売上とするのが安全・確実であるという考えに基づくのが現金主義なのです。

現金主義で記帳する場合は、取引の発生した日だけで計上しますので、以下のようになります。

現金主義の場合の記帳例

日付普通預金売上
2月28日100,000100,000

現金主義で帳簿づけができる?

帳簿づけは、青色申告・白色申告に関係なく発生主義によることが原則となっています。「白色申告は簡単な記帳方法だから現金主義でよい」と誤解されている方が多いのですが、白色申告であっても発生主義によらなければなりませんので、期末には未入金の売上や未払いの仕入代金などがないかをチェックして、追加計上する必要があります。

ところで、現金主義による帳簿づけが認められる特例があります。ただし、この特例は青色申告者だけに認められ、つぎのような所得制限があります。

「その年の前々年分の不動産所得と事業所得の金額に、青色事業専従者給与を足し戻した合計額が300万円以下であること」

上記にあてはまり、初めてこの特例を受ける場合は「現金主義による所得計算の特例を受けることの届出書」を、適用を受ける年の3月15日まで(その年の1月16日以後に開業した人は開業の日から2カ月以内)に提出する必要があります。

ここでひと手間かかるのが、資産負債の額の集計です。
資産負債の額の集計は、発生主義で計上したものを現金主義の計上へと補正するために必要です。
そのため、特例の適用を受けようとする前年末(開業の場合は開業時)の売掛金や買掛金などについて一覧表を作成する必要があります。特に年末時点で未入金の売上代金である売掛金、未払の仕入代金である買掛金、そして年末の在庫品である棚卸資産については、儲けの計算の基礎となるものですから注意しましょう。

現金主義で帳簿をつけるときの注意点

青色申告特別控除

現金主義により帳簿づけを行う場合は、複式簿記で帳簿をつけたとしても青色申告特別控除は最大10万円までとなってしまいます。

前受金

内金などを受け取ったときは、そのお金を受け取った時の収入になります。内金の仕事が終わっていなくても収入となりますので注意してください。

貸し倒れ

売上代金が回収できずに貸し倒れになったとしても、帳簿には記載できません。
なぜなら、現金主義によって帳簿づけしている場合は、掛売上時に売上を計上していないため、お金が入っていない分は収入にも上がっていないからです。
ただし、商品などの仕入代金は支払ったときに経費となっているため、原価にあたる金額は損失計上済みと言えます。

棚卸し

現金主義では、入金したときに売上を計上し、支出したときに仕入を計上するため、売上と仕入との対応がとれていません。そのため、棚卸しをしても決算書上で売上原価の計算をする欄はありません。

減価償却

10万円未満で消耗品費などとするものや、30万円未満で少額減価償却資産の特例をうけるものを除き、減価償却資産については現金主義によっている場合であっても、購入などで支出したときの経費とはならず、通常の減価償却費の計算を行うことに注意してください。

まとめ

いかがでしょうか。現金主義による帳簿づけは、お金の出入りをもって収入・経費を把握することから単純で簡単な記帳方法と言えます。しかし、売上代金が回収されていないといったことを帳簿から読み取ることができませんから、経営状況の把握といった観点からは心もとない記帳方法とも言えます。現金主義の特例が認められているのが小規模事業者に限られているのもそのようなところから来ているのでしょう。

自分の事業を見つめるためには、やはり発生主義によることが望ましいですね。

photo:Getty Images

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この記事の執筆者

宮原 裕一(税理士)
宮原 裕一(税理士)

1972年生まれ。税理士。弥生認定インストラクター。「宮原裕一税理士事務所
弥生会計を10年以上使い倒し、経理業務を効率化して経営に役立てるノウハウを確立。弥生会計に精通した税理士として、自身が運営する情報サイト「弥生マイスター」は全国の弥生ユーザーから好評を博している。
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