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数値で目標を見える化!「売上計画書」の作り方【売上計画書・経営概況書 無料テンプレートつき】

公開日:

執筆者:粕谷智和(中小企業診断士)

数値で目標を見える化!「売上計画書」の作り方【売上計画書・経営概況書 無料テンプレートつき】

「売上計画を作りましょう」という声は、事業を営むうえでどこかしらで必ず一度は聞こえてくる声。売り上げ計画を作った方が良いに決まっている……確かにそうだろうけれども、日々の仕事で忙しい状況のなかで、そもそもそこまでして時間をかけて作るメリットってあるのだろうか……そんな思いは経営者であれば必ず一度は考えたことがあるはずです。今回はこの売上計画の作り方や意義について解説。
実際に使える売上計画書、経営概況報告書の無料のダウンロード用テンプレートもつけておきました。



POINT
  • 自分たちのためだけに売上計画を作るのではなない。むしろ外向けのもの!
  • 売上を知ることは、すなわち己を知ること
  • 売上計画作成のポイントと実益が伴う活用方法

誰のための、売上計画書?

売上計画書を作る理由とは、いったい何なのでしょうか。

経営者として数年先まで見た自社の計画書を作成することで、自社の現在状況を客観的に把握し、経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を今後どこに集中し、どのように成長をしていくかを記す行動指針を示すため......いわゆる売上計画や経営計画書を作る際の至極もっともな理由とは、文章で表すとこんなところではないでしょうか。

でも、本音の話をしましょうよ。

「本当は、それだけでは、実はもの足りなくないですか?」
「実際のところ、売上計画書なんて、わざわざ作るの、面倒くさくないですか?」
「そもそも売上計画書を作ったところで、1円でも儲かるのでしょうか?」

理屈だけでいければ、本当に立派です。私も独立する前に企業内中小企業診断士として活動していた時に、売上計画書を作る機会がありました。しかし、実際に作るのはいいとして、当初はどうもこの疑問が頭から離れなかったです。

「本当にこんなものを作って、意味があるのだろうか?」

いま自分が中小企業診断士として独立して活動していくなかで、あらためて売上計画書を作る意義があるかといえば、最近はこのように断言できるようになりました。

「作る意義はあります。特に対外的な説明のため、アピールするためのプレゼンのツールとして」です。

対外説明ツール? アピールツール? そうです。いろいろな事業者とのお付き合いはもちろんのこと、特に外部機関とのお付き合いをするうえで、売上計画(さらに言えば経営概略書)は外部に対して自社の姿を説明するためのツールになりうるものであり、あるいは資金調達のための説明ツールにもなりうるのです。

社内向けの行動指針や目標喚起をするために売上計画を使うのもいいのですが、ちょっと視野を広げてみて欲しいのです。特に金融機関との資金調達の場面や、さらには補助金・助成金を視野にした第3の資金調達の手段として売上計画を利用することにより、売上計画書は絵に描いた餅以上の「本物の餅」を手に入れるツールになりうるということを、ここでは頭の片隅に置いておいてください。

売上を知ることは、己を知ること。

売上には、どんな要素が含まれているでしょうか?

教科書的なよく出るパターンが売上=単価×数量ですね。単価を詳しく見れば、単価=買い上げ点数×商品製品サービスそのものの価格となります。

数量を詳しく見れば、数量=客数×購買頻度 =(新規顧客-流出顧客)×購買頻度です。だんだん、ややこしくなってきますね......業種によってはさらに分解もできるでしょう。

要は、平均いくらで売ったのか? その商品・サービスそのものを、どのくらいの数を売ったのか? です。

ここでもう少し売上のこの式にこだわりましょう。

「いくらで売ったの?」をさらに追えば、この言葉のなかには、原価いくらで仕入れたの?(原価計画)、買い上げ点数を上げたの?(ついで買い誘導=販促計画、マーチャンダイジング)、高級化路線?(価格計画、差別化戦略)などの、自分たちがどのような計画手段、戦略、販売意図をもって行動に移したかに対する結果が「平均いくらで売ったのか?」に出ていることになります。

「どのくらいの数を売ったのか?」も然りですよね。数量販売実現の理由(物流計画、流通チャネル戦略、製造計画、はたまた設備投資計画や、人員配置計画まで)、すなわち自分たちがいかにして「どのくらいの数を売ったのか」の手段・手法・戦略の結果が含まれているのです。

つまり、売上計画の数字を作るということは、そこにぶら下がるであろう各種の計画・手段・戦略が、本来的に内包された結果として数字が表現されているのです。

さあ、大変です。

これらの個別の計画戦略要素をひとつひとつ積み重ねて検証して、積み上げ式で最終的な売上計画の金額を打ち立てるとしたら......いやですねえ、面倒くさいですねえ。実際はそこまでできればベストでしょうが、それよりも、まずは売上金額(計画数字)ありきで考えるほうが現実的です。

つまり、直近のリアルな数字から、ある程度の実現可能な売上計画(基準の年から○○%アップのような年度売上数字目標)を立ててゆき、それを実現するには、何をどうしたらよいのかな? どんなことしなければならないか?を考えて、実行するための手段を加えていけばいいのです。

売上計画書作成のポイント

それでは売上計画書作成のポイントです。

ここでは、「商品別」の売上計画書を例にして考えます。各企業においての売上は、各売上カテゴリーの総和になっていることが基本です。つまり売上カテゴリーを「商品別」にすれば各商品売上の総和がその企業の売上になります。売上カテゴリーのところを「顧客別」「エリア別」「担当別」などと変化のバリエーションでも作れます。ここをどのようなカテゴリーにするかは、重点的に何を管理していきたいかによります。

従業員の目標を管理したいのであれば担当別ですし、地域目標ならば「エリア別」と管理したいモノによって変えていきます。

ここではもっとも基本的な「商品別」で考えいきましょう。

商品別の売上を年度で分けた売上計画表

上記は、商品別の売上を年度で分けた売上計画のパターンです。この年度の部分を月別に分ければ、さらに詳細な月別計画となります。この表は単純に2017年度実績をベースに、各年度別売上に○○%を乗じて計画立案しました。

次に単価と数量を分けて詳細に設定してみましょう。

単価と数量を分けて詳細に設定した売上計画表

AとBは同じ5%成長の売上計画を立てましたが、

  • Aは数量を5%上げて、単価は据え置き
  • Bは単価を5%増やして、数量は据え置き

にしました。すると、同じ成長金額の売上計画になりました。当たり前といえば当たり前なのですが、あらめて見てみるとけっこうインパクトがありませんか? 同じ売上を作るなら、単価を成長させるか、数量を成長させるか、どっちが楽なのか?

  • 単価を上げるとは 単価(購入金額)=単価や買い上げ点数などを上げること
  • 数量を上げるとは 数量=客数を増やすこと

どちらを上げていくことが今後の戦略として自社の理にかなうのか。あるいは、両方をバランスでやるのか。

どちらにしても、自社にとって売上を確実に上げていくには単価と数量どちらの側面により注力すべきか、自社の状態を把握していれば、おぼろげながら見えてくるはずです。当然自社の強みや、差別化できている要素は「単価向き」なのか、「数量向き」なのかを絡めて、今後は単価のUPなのか、数量のUPなのか、複合型なのか、方向性が出てくるのです。どちらが楽か、なんとなく、浮かびませんか?

ここで、売上計画書の月別・年度別フォーマットを添付します。実務上はこちらでしょう。また、カテゴリー別(単価)(数量)フォーマットも参考用に添付します。

ダウンロードはこちら【売上計画書 無料テンプレート】(エクセル版・無料)

「見える化」することによる効果 〜実益の伴う活用方法〜

自分たちの売上計画を作ることは、自分たちの売上構成に対してもう一度目を向けることにつながります。売上の実際の数字と、あらたな計画目標数字を掲げることにより、あらためて、

自分たちの強みは○○だ 特に競合他社と比べた時に○○が圧倒的に強い 
→だから今後3年は単価を上げて、高付加価値路線で売上を作ろう

ホームページのリニューアル完了、プロモーション体制は整った
→周知体制を強化して、新規数量獲得の勝負でいこう

販売数量を今後○○にして、○○売上を達成する。○○物流工程の改善は目前である
→大量供給体制は整った、数量勝負で今後は仕掛けていく

といった、自分たちは売上を作るうえでどこが強くて、今後どこを伸ばしていくのかなどを必然と検証することができるようになります。そうすることで、自分たちの姿を具体的に「見える化」して振り返りを促すことができるのです。

こうして洗い出した自社の強みなどの特徴的な部分を文章にして、数字的な売上計画表の後ろに説明として添えれば、それだけで簡易な経営計画書ができてしまうのです。これだけのものでも金融機関に定期的に提出するだけで心象が変わります。

以前、ある信用保証協会のこの道40年のベテラン職員の方とお話していた際、このような簡易計画書のようなものを定期的に提出している企業の数は、せいぜい100社に1社と圧倒的に少ないと言っていました。円滑な融資関係も、日頃の信頼関係があってこそです。自社の数字を把握するための売上計画表(売上実績と、さらに当期利益の表を沿えるとさらにベター)に、自社の強みと今後の注力する文章を添えたA4の書類1枚の構成で構いません。ここまでいくと、売上計画を社内向きのものだけでなく、社外向き用に作るという意義が見えてきます。

簡単な経営概況書のフォーマットも添付しますので、売上計画と合わせご活用ください。

ダウンロードはこちら【経営概況書 無料テンプレート】(Word版・無料)

まとめ

このような簡易経営計画書に文章と写真とボリュームを付ければ、補助金や助成金の申請書にもつながります。詳しい書き方等は地域の産業振興センターや商工会、商工会議所等の窓口で一度相談していただければと思いますが、その際にもこのような会社の数字を把握できる売上計画書と、今後の指針や強みを文章化したもの(経営概況書)があれば、何もないゼロの状態よりも、非常にスピーディーに、格段に親密な対応をしていただけると思います。

売上計画は、自分たちの行動目標だけに活用するだけではもったいない。ぜひ社外向きに活用することもイメージして作っていただければと思います。

photo:Getty Images

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この記事の執筆者

粕谷智和(中小企業診断士)
粕谷智和(中小企業診断士)

中小企業診断士、宅地建物取引士。2001年大手衣料量販グループ入社、入社1年で店長に。店舗オペレーションに通じ、マニュアル改善においては全社表彰を3度受賞。2009年より北海道音楽企業に入社。エリア統括として、エリア内支店経常利益昨年対比800%増を実現。2014年独立。創業、補助金・助成金申請、各種経営計画策定、特に各地セミナーにおける販売促進指導や、個々の事業者様の強み・セールスポイントを引き出し、外部発信していくことを得意としている。一般事業者様向けのセミナーはもちろんのこと、地域経営支援団体・経営相談員様向けの指導セミナーも開催している。

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