【体験談】採択された後も大変!? 創業補助金をもらうまでの道のり

公開日:

執筆者:カトウ・マユ

【体験談】採択された後も大変!? 創業補助金の採択後、どんな手続きが必要だったか

出版社に勤務していた私は、子供の出産を契機に会社を退職。自分で事業をやってみたくなり、創業希望者対象の補助金があることを知って、さっそく応募してみることにしました。ここまでの経緯は、前々回の記事「【体験談】私、実際に起業して創業補助金を受け取りました 〜探し方編〜」や前回の記事「【体験談】補助金を実際に申請する際に大事なこと、気をつけること」でもご紹介してきました。
今回は、実際に創業補助金が無事に採択された後、大変だった事業完了報告書や手続きについてまとめました。


POINT
  • 補助金対象経費は、すべて証拠書類が必要
  • 事業完了報告書提出で数年ぶりに完徹......事務局面接で書類確認
  • 補助金を得ても事業が軌道に乗るとは限らない

相見積・仕様書必須! 補助金対象経費はすべて証拠書類が必要

私が採択された補助事業期間は、交付決定通知書が発行された3月27日から9月30日までの約半年でした。この期間に申請した事業を実施し、その成果をまとめます。補助金を交付する経費として認められるのは、この実施期間内に支払った補助対象経費の2/3です(消費税抜の金額)。

創業補助金が交付される目的のひとつが雇用の促進です。採択された事業を実施するにあたり、仕事をお願いした人のうち3名にアルバイト雇用という形で人件費を支払い、ホームページなどの制作業務では外部業務委託契約の形でデザイナーさんやディレクターさんに委託費を支払いました。

人件費、委託費ともにその事案が確認できる証拠書類が必要でした。人件費には全員分の出勤簿(タイムカード)、給与明細、雇用契約書、委託費については全員分の仕様書、見積書、委託契約書、納品書、請求書を用意します。

委託先を選定するには、2社以上の相見積(ない場合は選定理由書)を用意しなくてはならないので、仕事を依頼しないかもしれない方に見積書を作成してもらうのは心苦しいことでもありました。

事業完了報告書提出で数年ぶりに完徹......対面で確定検査も

事業そのものを実施する以上に大変だったのは事業完了報告書の作成でした。確定申告書類以上に区分が細かく、所定の報告書類のほかに大量の証拠書類が必要になります。

事業完了報告書は、期間完了から30日以内に事務局へ提出しなくてはなりません。もし、補助事業が予定の期間内に完了できないと見込まれる場合は、事業完了予定日の1ヶ月前までに事業遅延報告書を事務局に提出し、その指示を受ける必要があります。

採択事業を進めながら証拠書類をもれなく整理するのは想像していたより時間がかかり、事業完了後に不足している書類がたくさんあることに気づきました。

そのひとつが旅費(交通費)の証拠書類です。通常の確定申告では領収書がない電車代は出金伝票を作成すればよいのですが、創業補助金の場合は、使用した旅費の根拠となる書類が必要です。

所定の出張旅費明細書に全区間の交通費の根拠となる乗換案内「駅すぱあと」の検索結果を印刷した紙と、Suica残額利用明細を添付して、日付と区間、金額が一致しているか確認し、業務内容によって旅費の経費区分を創業事業費か販路開拓費に分類しなくてはなりませんでした。

電車代の領収書

電車代の領収書として事業完了報告書に添付したSuica残額利用明細。補助事業のために利用した区間をマーカーで印をつけた

 

さらに、事業実施期間の月次試算表も提出しなくてはならず、私だけではとても用意することができません。そこで税理士の方に経理事務を担当してもらい、補助対象経費総括表と採択事業用の口座の明細、各経費区分の金額の不一致を正すために何度もやりとりをしました。

なんとか完成した事業完了報告書一式は約400ページ。書類作成のために、数年ぶりに徹夜をしてしまいました。コピーサービスの「キンコーズ」で控え2部のコピーとファイリングをしてもらい、提出期限ギリギリに事務局に提出できました。採択されてから提出日まで、子どもが風邪を引かず元気に保育園に通っていてくれたのが救いでした。

事業完了報告書の控え

自宅に保管している事業完了報告書の控え

 

数週間後、事務局で確定検査の面接があります。事務局の方2名、そして私と税理士の計4名で30分ほどかけて事業完了報告書の最終チェックをします。提出前に細かくチェックしたいたこともあり、ここは問題なくクリアです。

事務局によると、書類不足や記載不足で差し戻しが続くと補助金の交付が遅れるそうです。証拠書類不備の経費は補助対象経費から除外されてしまい、その後の資金不足につながるケースにもなるということでした。

確定検査の後、12月18日付で補助金確定通知書が届き、後日無事口座に入金されていました。創業補助金に応募した前年12月から約1年、ようやく交付までたどり着くことができました。

補助金を得ても事業が軌道に乗るとは限らない

創業補助金に採択されてから4年が経過しました。熱い思いで始めたにも関わらず、実は採択事業は順調に進んでいるとは言えません。高齢出産した女性の課題解決につながる事業で採択されたものの、現在、私の収入の大部分は補助金を受けたものとは異なる編集やライティングの仕事によるものとなっています。

補助事業完了後は5年間、当該事業についての事業化状況を事務局に報告し、収益の一部を納付しなくてはならないのですが、その額も微々たるものです。事業計画を実現させるために強い覚悟を持って、ビジネスとして軌道に乗せないことには、交付された補助金を無駄遣いすることになってしまいます。

私と同時期に創業補助金に採択された人の中には飲食店をオープンさせた人もいました。そのお店に行き、オーナーに「お互いがんばりましょう」と声をかけたことがあったのですが、そのお店は1年半ほどで閉店していました。たとえ補助金は得られても、市場を把握してビジネスを継続させることはとても難しいことなのだと感じました。

創業補助金に応募し、大きなミスもなく交付を受けられたことに達成感を得たのは事実です。国や公的な機関が起業や創業を支援するためにさまざまな制度を用意していることも知り、励みにもなりました。

今回この体験談を書く機会を得たことで、私は何をして社会に役に立ちたいのかを振り返るきっかけとなりました。これからも自分ならではの事業や仕事を続けられるよう、頑張っていきたいと思っています。

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photo:Getty Images

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この記事の執筆者

カトウ・マユ
カトウ・マユ

1974年生まれ。大学卒業後、出版社等に勤務。出産後は個人事業主として、主にwebメディアの編集業務を行う。会社員時代に子会社の経理・決算業務に携わる機会があり、簿記3級を取得。

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