【青色申告】備付帳簿の説明と書き方・「売掛帳・買掛帳」について知ろう

2021/03/31更新

この記事の執筆者宮原 裕一(税理士)

事業を行っていると、まったくの現金商売でない限り「売掛金」・「買掛金」といった掛け取引を避けることはできません。これらを管理するためには「売掛帳」・「買掛帳」の記入が必要ですが、どのように記載したらよいのでしょうか。
今回は、青色申告を行う場合にも必要となる備付帳簿(そなえつけちょうぼ)のうち、売掛帳・買掛帳について解説していきます。
「現金出納帳」については、「備付帳簿の説明と書き方・「現金出納帳」について知ろう」をご覧ください。

POINT

  • 売掛帳・買掛帳とは、売上先や仕入先ごとに掛け取引の発生・代金の回収・支払を記入していく帳簿
  • 売掛帳・買掛帳を使用することで、取引先に対する未回収・未払いの残高を把握することができる
  • 売掛帳・買掛帳を使用することで、売掛金の滞留(たいりゅう)をチェックすることができる

売掛帳・買掛帳とは? この帳簿で何がわかる?

「売掛帳」・「買掛帳」とは、それぞれ「得意先元帳」・「仕入先元帳」とも呼ばれ、売上先や仕入先ごとに口座(ページ)を用意して、掛け取引の発生・代金の回収(支払)を記入していく帳簿です。

取引全体を記入する「総勘定元帳」や、お金の動きを記入する「現金出納帳」などでは、どの得意先に販売したか、どの仕入先に代金を支払ったかなどはわかりますが、金額の集計は勘定科目ごとの総合計なので、未回収の売上代金(売掛金)や未払いの仕入代金(買掛金)がどのくらい残っているのかを個別に把握することはできません。

売掛帳・買掛帳を使用することで、取引先に対する未回収・未払いの残高を把握することができたり、売掛金の滞留(たいりゅう)をチェックすることなどが可能です。

  • 入金が滞っていること

売掛帳・買掛帳の項目

売掛帳・買掛帳の様式には、単純に売上・仕入の発生と、その代金の回収・支払を記入するシンプルなものや、数量・単価まで詳細に記入するものがあります。

売掛帳・買掛帳の項目は「口座(得意先・仕入先のページ)」「日付(いつ)」「金額(いくら)」「摘要(どうしたのか)」「残高(いくら残っているか)」を記入するようになっています。様式によって金額を記入する位置が異なることがありますので、後述する書き方のところで説明します。それでは、2つの様式を紹介します。

様式1

売掛帳

得意先・相手先ごとの口座(ページ)を設けて、取引ごとに売上や返品、現金回収や預金振込の区分を記入し、その結果残高がいくら残っているかを計算するシンプルな様式です。得意先や仕入先に対しての残高がいくらあるかの管理ができればよいということであれば、こちらの様式で十分でしょう。

様式2

売掛帳

様式1に加えて、売上や仕入について品名・数量・単価といった詳細な数字まで記入をする様式です。今回の備付帳簿としては紹介しませんが、「商品有高帳」という商品ごとの在庫管理をするための帳簿と併用する場合には、個別の数量まで記入できるこの様式を使うことになります。

売掛帳・買掛帳の書き方・作り方

それでは先ほど見た様式1の売掛帳を例として、具体的な記入のしかたを見てみましょう。

売掛帳
  • 前月繰越(前年繰越)の残高を「借方」と「残高」に記入してスタート
  • 毎日の取引に基づいて、日付・摘要・金額を記入し、都度売掛金の残高を計算します。ここでは記入にあたってのいくつかの注意点がありますので説明しておきます。
    • 「摘要」欄には売上なのか、入金なのかの別を、売上や値引・返品であれば品名や納品書の番号などを記入します
    • 納品書控などで品名等を確認できる場合は、得意先別にまとめて記入することが出来ます。ただし、請求締日をもとにしてまとめて記入している場合には、年末直近の締日から年末までの売上記入のもれがないように注意しましょう
    • 値引・返品などで売掛金(売上)が減少する取引の場合、金額欄が様式1のように「借方」・「貸方」となっているときは右の「貸方」に記入しますが、様式2のように「売上金額」・「受入金額」となっているときは左の「売上金額」にマイナスで記入します
  • 毎月末などの締日では、借方・貸方それぞれの合計を集計し、(借方合計-貸方合計)が月末の売掛金残高と一致しているかを確認します。様式2のように、記入欄が売上金額・受入金額の場合は(売上金額合計-受入金額合計)となります。
  • 月末残高を「次月繰越」として、翌月初日に繰越額を「前月繰越」として記入してスタート。これの繰り返しになります。

なお、買掛帳も基本は同じように記入しますが、金額欄が「借方」「貸方」となっている場合は、売掛帳とはすべて逆の位置に記入することになります。様式1での記載例を示しておきます。

買掛帳

まとめ

いかがでしょうか。
売掛帳・買掛帳は、事業のために用意したお金で商品などを購入して代金を支払い、その商品などを販売して代金を回収してお金として戻ってくるという、事業の基本となるお金のサイクルに密接にかかわる帳簿です。これらの帳簿を利用して、取引先ごとにしっかりと取引の流れを管理できるようにしましょう。
また、「やよいの青色申告 オンライン」などの申告ソフトを使用することで、売掛帳・買掛帳はじめ備付帳簿も貸借を意識せずに帳簿づけができます。

photo:Getty Images

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この記事の執筆者宮原 裕一(税理士)

宮原裕一税理士事務所新規タブで開く」代表税理士。弥生認定インストラクター。
弥生会計を20年使い倒し、経理業務を効率化して経営に役立てるノウハウを確立。経営者のサポートメンバーとして会計事務所を営む一方、自身が運営する情報サイト「弥生マイスター」は全国の弥生ユーザーから好評を博している。

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