【青色申告】備付帳簿の説明と書き方 「固定資産台帳」の書き方・作り方について知ろう

2023/08/01更新

この記事の執筆者宮原 裕一(税理士)

最大65万円の特別控除が受けられる青色申告で、青色申告承認申請書の記載から選択が必要な備付帳簿(そなえつけちょうぼ)には、現金出納帳・売掛帳・買掛帳・経費帳・固定資産台帳・預金出納帳・総勘定元帳・仕訳帳の8つがあります。そのなかでも固定資産台帳とはどんなものなのでしょうか。
「減価償却資産(げんかしょうきゃくしさん)」という用語を聞いただけで、苦手と感じられる個人事業主の方も多いことでしょう。その管理に必要とされる「固定資産台帳」は、日々の取引の記帳ではほとんど使うことのない特殊な位置づけの帳簿です。
今回は、固定資産台帳について解説していきます。

POINT

  • 「固定資産台帳」は、事業用に使用する建物や車両、備品などの減価償却資産を資産ごとに管理するための帳簿
  • 固定資産台帳の書き方・作り方について知ろう
  • 日々の取引の記帳ではあまり使わないが、固定資産台帳を使うことでしっかりと資産の管理ができる

固定資産台帳とは?この帳簿で何がわかる?

「固定資産台帳」は、事業用に使用する建物や車両、備品などの減価償却資産を管理するための帳簿です。
10万円以上の減価償却資産は、原則として一度の経費にはならず、その使用可能期間(耐用年数)に配分して経費化していきます。そのため、その減価償却資産がいつ買ったもので、どの年にいくら償却(経費化)して、あとどのくらい未償却分が残っているかを個別に把握しなければなりません。そこで、資産ごとに管理する固定資産台帳が必要になるのです。

ところで、白色申告の収支内訳書や青色申告の青色申告決算書には、下図のような減価償却費の計算をするページがありますね。こちらは、その年の経費とする減価償却費がいくらになるかを計算する欄で、減価償却資産の一覧にはなっています。しかし、個々の資産の履歴まではわからないので注意が必要です。

固定資産台帳とは?この帳簿で何がわかる?

固定資産台帳の項目はどんなもの?

固定資産台帳の様式は、その資産の取得年月日や償却方法、耐用年数など減価償却の計算に必要となる項目と、その資産をどのように経費化していったかという履歴がわかる項目から構成されています。
それでは、固定資産台帳の様式をみながら、項目の詳細を見ていきましょう。

固定資産台帳の様式

固定資産台帳の様式

この様式例の場合、左上が個々の資産の名称や種類を記載する欄になっています。右上が資産の取得年月日や耐用年数、償却方法やその償却方法による償却率など、減価償却費の計算に必要となる基礎項目を記載する欄になっています。

個々の資産毎にページを作成しますので、基本的にはその資産を購入したところから帳簿づけが始まります。

固定資産台帳の書き方・作り方

それでは先ほど見た様式を例として、具体的な記入の仕方を見てみましょう。

固定資産台帳の書き方・作り方

設例:平成30年7月1日、新品の軽自動車を1,200,000円で購入した。なお、この軽自動車はプライベートでも利用しており、事業専用割合は70%である。

  • 減価償却資産を購入しましたので、新しくページを作成して名称や減価償却費の計算に必要な項目を記載していきます。個人事業主の場合、基本的に減価償却の方法は「定額法」になります。また、新品の軽自動車の耐用年数は4年になります。
  • まずは購入時の記載をします。「取得」欄に購入金額の1,200,000円を記入し、「現在」欄も1,200,000円を記入します。
  • 年末には減価償却費の計算を行います。設例の場合、平成30年分の償却額は以下のように計算されます。
    1,200,000(取得価額)×0.25(定額法の償却率)×6/12(7月からの月割按分)=150,000円
    「償却額」欄に150,000円を記入し、「現在」欄には1,200,000(直前の金額)-150,000(償却額)=1,050,000円を記入します。
  • 事業専用割合は70%ですので、必要経費算入額は150,000(償却額)×70%(事業専用割合)=105,000円を記入します。
    事業所得の計算で経費に入れるのはこの105,000円のほうですので、損益計算書への集計を間違わないように気をつけましょう。

なお、ここでは固定資産台帳の記載だけを説明していますが、日々の取引としての記帳はこれとは別に行います。例えば自動車の頭金を現金で支払ったときの現金出納帳への記帳や、自動車ローンが引き落とされたときの預金出納帳への記帳などが必要です。

まとめ

いかがでしょうか。
これまで見てきたとおり、青色申告承認申請書の備付帳簿名で選択をしますが、固定資産台帳は、売買など資産の動きがない限りは、年末の決算時に減価償却費の計算で利用する程度で記帳の頻度はかなり少ない帳簿です。
とはいえ、資産の数が増えてくると収支内訳書や青色申告決算書の減価償却欄だけでは償却などの履歴を管理しきれなくなってしまいます。償却を終える前に廃棄や売却などをすることも考えられますので、しっかりと資産の管理をできるようにしておきましょう。

Photo:Getty Images

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この記事の執筆者宮原 裕一(税理士)

宮原裕一税理士事務所新規タブで開く」代表税理士。弥生認定インストラクター。
弥生会計を20年使い倒し、経理業務を効率化して経営に役立てるノウハウを確立。経営者のサポートメンバーとして会計事務所を営む一方、自身が運営する情報サイト「弥生マイスター」は全国の弥生ユーザーから好評を博している。

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