KURAND SAKE MARKETに聞く「資金調達だけじゃないクラウドファンディング活用事例」

公開日:

執筆者:阿部桃子

資金調達だけじゃない!?「クラウドファンディング活用」の極意とは?KURAND SAKE MARKET 東寛人さんインタビュー

不特定多数の人からインターネット経由で資金を集める「クラウドファンディング」。
起業志望者への出資から、映画制作、研究開発、絵本の出版といったプロジェクトまで、成功例を耳にした読者も多いかもしれません。

でも、クラウドファンディングを活用しようと思っても、「目標額をクリアできるの?」「サポーターの心をつかめるの?」などの不安やギモンも……。

そこで、「KURAND SAKE MARKET(クランドサケマーケット)」という日本酒を中心としたラインナップの店舗を続々オープンするなど、さまざまな形でクラウドファンディングを活用して実際にプロジェクトを大成功させてきた「リカー・イノベーション株式会社」執行役員の東寛人さんに、クラウドファンディングを成功させるための極意を伺ってきました。



クラウドファンディングは「多くの人に、私たちのストーリーを知ってもらう場所」

クラウドファンディングは「多くの人に、私たちのストーリーを知ってもらう場所」

――会社設立の経緯について教えてください。

私たちの酒屋業界では、居酒屋さんにビール1本を運んで、利益が1円程度というのが当たり前の世界です。
さらに、お酒の市場は年々縮小しています。そんななか、いかに市場を広げて行くか? という目標を持って「リカー・イノベーション株式会社」を設立しました。

具体的には、「自分たちでつくった商品を自分たちで販売」しています。とはいえ、工場を持っているわけではなく、全国の日本酒の蔵元さんと一緒にレシピをつくったり、お米をつくったりしながら、オリジナルのお酒をつくり、そのお酒を自分たちのお店やWebで販売しています。

また、全国の果物農家さんと手を結んで、蔵元さんと一緒にオリジナルの果実酒をつくっています。
果物って少しでも規格から外れていたり、傷があるだけで、ほぼ無料で農協に引き取ってもらっているんです。それをお酒に転換すると、新しい価値を生み出すことができますからね。

――そんななかで、日本酒100種類が飲み放題のお店「KURAND SAKE MARKET(クランドサケマーケット)」をオープンするために、2014年からクラウドファンディングを利用されたのですね。なぜ活用しようと思われましたか?

当時すでにアメリカでは多くのクラウドファンディングの成功事例があり、日本でもこれから盛り上りそうな気運がありました。

また飲食店というのは、オープンするまでに物件を借り、内装工事をしていると、3ヵ月、もしくはそれ以上の時間がかかってしまいます。
その間にも家賃は出てきますし、人件費も発生しますから。収入はないのに、固定費ばかりが出て行ってしまうのです。

クラウドファンディングは「多くの人に、私たちのストーリーを知ってもらう場所」

でもクラウドファンディング活用することで、プレオープン期間にも商品を買ってもらえます。お客さんには、オープンした途端に商品が手に入るという「事前購入型のEC」と考えていただけますし。

あとは、我々のような小規模ベンチャーだとなかなかマーケティングに予算を割くことができませんが、「どういう人が興味を持ってくれたのか」というマーケティングにもなります。

さらに、顧客リストをもとに、こちらから事前にプッシュでメルマガなどの情報を送れるというメリットもありました。

その結果、お店がオープンするまでに多くの固定ファンをつかむことができました。

――いろいろなクラウドファンディングがあるなかで、「Makuake」を選んだのはなぜでしょうか?

「Makuake」はサイバーエージェントさんの子会社にあたりますが、サイバー女子という広報部隊の拡散力が抜群だと聞いていたからです。
実際に「KURAND SAKE MARKET」のことを、とても多くの人に知ってもらうことができました。

――Webページでのメッセージ発信も重要な要素だと思いますが、どんな点に気をつけましたか?

「KURAND SAKE MARKET」のウリは「日本酒100種類が時間無制限で飲み比べし放題」です。
でも、具体的にお店に置いている日本酒の商品紹介を、実はWebページ上にはほとんど書いていないんです。

それよりむしろ、「私たちのストーリーを知ってもらうこと」に主眼を置きました。
今の日本酒の現状がどうなのか? そこをどう変えて行きたいのか?

また私たちとお付き合いのある蔵元さんは、みんなが知っている大企業ではなく、家族経営だったり、ひとりでつくっている人だったりと、かなり小規模です。

そういう人たちが、どういう風に、どんな思いでお酒をつくっているか? 顔を出して、嘘偽りなく、きちんと丁寧に伝えようと思いました。

――支援者へのリターンもユニークです。

お店への招待券はもちろん、いろいろ計算して考えましたね。
「お客様の好きなお酒をお店のメニューに加えられる権利」なんていうのもありましたが、かなり品薄の商品をご希望された方がいて、手に入れるのに大変な思いをしたり(苦笑)。

クラウドファンディングは「多くの人に、私たちのストーリーを知ってもらう場所」

あとは「お店の1日オーナー権」というものもありましたが、それを購入した方がマグロを1頭持ち込んで、解体ショーをやって盛り上がったケースもありました。

――結果は目標金額の488%と大成功だったそうですね。

はい。とてもいい反応でした。
お酒は年によって、ビール、ワインと流行りがあるのですが、たまたまその年はタイミングよく日本酒がブームになっていたことも追い風でした。

――サポーターの年齢層、男女比などはいかがでしたか?

サポーター層については、男性が6割、女性が4割で、20〜30代がメイン。ネットでのクラウドファンディングで応募いただいたサポーターという特質もあるとは思うのですが、若い方が多い傾向となりました。

そのときに応援してくれたサポーターさんとは、今でもずっとお付き合いさせてもらっています。ずっと常連でいてくれたり、イベントに頻繁に顔を出してくれたり。つながりの強いコミュニティが形成されたと思います。

さらには、お店のファンだった人がお店で働くようになり、さらには店舗の店長にまでなったというケースも。

そう考えるとまさに、クラウドファンディングによって広く報じる「広報力」は絶大でした。結果的に、求人広告も兼ねたという(笑)。本当に弊社の魅力を知っている人が入社してくれるなんて、ありがたいことですから。

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この記事の執筆者

阿部桃子
阿部桃子

早稲田大学卒業後、出版社、テレビ局勤務などを経てフリーランスに。専門分野は教育・育児支援、ビジネス、キャリア。『日経トレンディ』『AERA with Kids』『Bizmom』などで執筆。2児の母。活字好きの子どもを増やすべく、地域で読書ボランティア活動にも励んでいる。

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