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電子帳簿保存法とは?電子データ保存とスキャナ保存の違い、申請書の書き方と申請方法を税理士が徹底解説!

公開日:

執筆者:齋藤一生(税理士)

電子帳簿保存法とは?電子データ保存とスキャナ保存の違い、申請方法を税理士が徹底解説!

電子帳簿保存法とは、会計帳簿やその根拠となる証憑(しょうひょう)類を紙媒体ではなく、電子データ(電磁的記録)として保存することを認める法律です。1998年7月に施行され、その後にスキャナ保存、スマートフォンやデジタルカメラによる電子データ保存も認められています。

企業としては、導入時こそ手間がかかりますが、書類の保管場所の確保によるコストの削減、業務効率化といったメリットが期待できます。税務調査においても、書類を山積みにして用意する必要がなくなり、パソコンによるデータ検索により必要書類を提示できるようになります。
そして、2020年分の個人事業主の確定申告からは、青色申告の最高65万円特別控除を受けるためには、e-Tax(電子申告)または、電子帳簿保存が要件です。(平成30年度税制改正による)

セキュリティ面の不安等を感じられている企業・個人事業主の方も多いと思いますが、あらゆる書類が電子データ化され始めている現代、税務書類の電子データによる保存は、今後ますます普及していくものと考えられます。

今回は、国税関係書類の電子データ保存とスキャナ保存、申請方法について解説していきます。



POINT
  • 帳簿、決算書はスキャナ保存は認められていない。
  • 電子データによる保存要件とスキャナ保存の要件は、別ものと捉えることが重要。
  • 帳簿の電子データ保存、国税関連書類のスキャナ保存を行う場合、それぞれ承認申請書を開始する日の3カ月前までに所轄の税務署に提出する。

電子データ(電磁的記録)で保存できる国税関係書類とできない書類、スキャナ保存が認められていない書類

電子データ保存が可能な国税関係書類は、次の帳簿、決算書、証憑類の3つに分けられます。

国税関係書類電子データ(電磁的記録)による保存の可否スキャナ保存の可否
帳簿現金出納帳、仕訳帳、経費帳、売掛帳、買掛帳、総勘定元帳、固定資産台帳×
決算書貸借対照表、損益計算書×
証憑(書類)領収書、レシート、見積書、契約書、納品書、請求書


帳簿、決算書に関しては電子データによる保存は認められているものの、スキャナによる保存は認められていません。

ちなみに、スキャナによる保存とは、一度紙媒体で出力した書類をスキャナで画像取り込みして保存する方法を指します。

また、スキャナ保存が認められていない書類には、以下の書類があります。

主に自社内の会計システム等から作成されたものであること

  1. 仕訳帳、総勘定元帳等の帳簿書類
  2. 棚卸表
  3. 貸借対照表や損益計算書等の決算書類

電子データが認められない帳簿書類としては、以下の書類が挙げられます。

主に、他者が作成した紙媒体の資料が該当

  1. 手書きで作成した仕訳帳、総勘定元帳等の帳簿書類
  2. 手書きで作成した請求書の写し
  3. 取引先から受け取った請求書

電子データで保存する場合の手続き

次に、帳簿を電子データで保存する場合の申請方法について見ていきましょう。

帳簿を電子データで保存する場合の申請方法と保存手続き

帳簿を電子データで保存する場合、「国税関係帳簿の電磁的記録による保存等の承認申請書」を帳簿の備え付けを開始する日の3カ月前までに所轄の税務署に提出します。

法人を例に挙げますと、例えば、4月1日より電子帳簿保存をスタートしたい場合は、3カ月前である前年の12月31日までに承認申請書を提出する必要があります。

なお、平成31年度税制改正により、新たに業務を開始した個人に関しては、業務開始をした日から2カ月以内に上記の承認申請書を提出することが可能となり、個人事業主が開業当初から適用を受けることができるようになりました。

190527_denshityoubohozonhou_02.jpg

※「国税関係帳簿の電磁的記録による保存等の承認申請書」から引用。
※2019年5月時点の書式です。

 

なお、帳簿に関しては、課税期間の開始の日に帳簿が備え付けられて順次記帳が行われていくことを前提とするものですので、課税期間の途中から電子データに切り替えて保存することはできません

また、電子データによる保存要件とスキャナによる保存の要件は、別のものと捉えることが重要です。

まず、国税関連書類の電子データ保存に関しては、以下のような要件があります。

A 関係書類の備え付け

適切な社内規定によってデータ入力及び保存がなされていること。パソコンを利用した書類作成の流れ等を記載した書類等を備え付ける際は、パソコンメーカーのオンラインマニュアル等を出力可能な状態としておく。

B 帳簿間の相互関連性の確保

帳簿間で相互に関係性の確認を取れる状態にしておく。ふたつの帳簿に同一の取引の仕訳情報が記載されるような場合においては、きちんと番号を振る等して、関係性を確認できるようにしておく。

C 訂正や削除履歴の保存

履歴が残るシステムを利用するなど、データの訂正や削除の履歴を確認できるようにする。

D 見読可能性(けんどくかのうせい)の確保

保存データがディスプレイ及びプリンタ等に整然とした形式及び明瞭な状態で出力可能とされていること。

E 検索機能

税務調査等の際にスムーズに確認が取れるように、取引日付や取引金額から保存データを検索可能な状態とすること。

A、B、Cは、電磁的記録の真実性が確保を目的とする要件と言えます。D、Eは電磁的記録が整然と、かつ、明瞭な状態で出力できることを目的とする要件だと言えます。

国税関連書類のスキャナ保存を行う場合の申請方法と保存要件

国税関連書類のスキャナ保存を行う場合は、国税関係書類の電磁的記録によるスキャナ保存の承認申請書」をスキャナによる保存を開始する日の3カ月前までに所轄の税務署長に提出します。

法人を例に挙げますと、例えば、4月1日より電子帳簿保存をスタートしたい場合は、3カ月前である前年の12月31日までに承認申請書を提出する必要があります。

なお、平成31年度税制改正により、新たに業務を開始した個人事業主は、業務を開始した日から2カ月以内に提出することができることとされています。また、その承認以前に作成、受領した書類に関して、所轄税務署等への届出書の提出等一定の要件の下、スキャナ保存を行うことができます。

190527_denshityoubohozonhou_03.jpg

※「国税関係書類の電磁的記録によるスキャナ保存の承認申請」から引用。
※2019年5月時点の書式です。

 

なお、こちらの国税関連書類に関しては、帳簿と異なり、課税期間の途中からスキャナによる保存に切り替えて保存することができます

スキャナ保存をする場合の要件は以下となります。

F 関係書類の備え付け

関連書類等の備え付けなど、スキャン処理の規定等を行う。

G 帳簿間の相互関連性の確保

スキャナで保存された書類と帳簿間での関連性がわかるようにしておく。

H 真実性の確保

訂正・追加・削除の履歴を確認可能な状態とし、タイムスタンプの導入、書類作成及び受領後の速やかなスキャン及びスキャン機器の性能水準等(解像度等)の要件を守る。

I 見読可能性(けんどくせい)の確保

ディスプレイや印刷に利用する複合機の性能水準など見読性の確保をする。

J 検索機能

取引日付や取引金額から保存データを検索可能な状態とする。

タイムスタンプとは、一般財団法人日本データ通信協会が認定した事業者が発行するものです。タイムスタンプの役割は、データの作成時点を証明することと、改ざんがなされていないことを証明することにあります。

タイムスタンプの付与には費用がかかることもあり、一般的には事務処理規定の備え付けにより対応が取られています。また、タイムスタンプの使用数に応じた従量制の課金方式と定額制の課金方式があり、タイムスタンプは無料ではなく有料となります。

【参考】(スモビバ!編集部注)
弥生のスキャナ保存制度
弥生株式会社なら、コストのかかるタイムスタンプも無償で利用できます。また、作成した電子データはOCR機能で仕訳が自動作成され、弥生会計・やよいの青色申告、やよいの白色申告に取り込むことができます。(ご利用には、弥生のオンライン製品のご利用もしくは、弥生会計シリーズのデスクトップ製品のあんしん保守サポート加入が必要です。)

※ 弥生株式会社は、「認定タイムスタンプを利用する事業者に関する登録制度」に登録しています。
※弥生製品が対応しているのは、領収書・レシートのみです。

電子取引を行った場合の電子取引データの保存要件

電子取引を行った場合、次の要件を満たす必要があります。

A 関係書類の備え付け

適切な社内規定によってデータ入力及び保存がなされていること。パソコンを利用した書類作成の流れ等を記載した書類等を備え付ける際は、パソコンメーカーのオンラインマニュアル等を出力可能な状態としておく。

C 訂正や削除履歴の保存

電子データにタイムスタンプを付与するか、もしくは事務処理規定を備え付ける。

D 見読可能性(けんどくせい)の確保

保存データがディスプレイ及びプリンタ等に整然とした形式及び明瞭な状態で出力可能とされていること。

E 検索機能

税務調査等の際にスムーズに確認が取れるように、取引日付や取引金額から保存データを検索可能な状態とすること。

電子取引の取引情報のデータを保存する際に必要な保存措置としては、「タイムスタンプの付与及びデータ保存担当者の情報の保存」又は「正当な理由がない訂正及び削除の防止に関する事務処理の規定を定めること」のいずれかの措置を取る必要がありますが、これは、記録されたデータの改ざんを防ぎ、真実性を確保するために必要とされています。

みずからが取引先に対して発行した書類の電子データによる保存要件

こちらは、発行した書類を取引先に送付した場合において、その印刷元のデータをそのまま電子データとして保存するケースです。

申請書に関しては、国税関係帳簿の電磁的記録による保存等の承認申請書」を3カ月前の日までに所轄の税務署長に提出しなければなりません。この場合においては、次の要件を満たせばよいことになります。

A 関係書類の備え付け

適切な社内規定によってデータ入力及び保存がなされていること。パソコンを利用した書類作成の流れ等を記載した書類等を備え付ける際は、パソコンメーカーのオンラインマニュアル等を出力可能な状態としておく。

D 見読可能性の確保

保存データがディスプレイ及びプリンタ等に整然とした形式及び明瞭な状態で出力可能とされていること。

E 検索機能

税務調査等の際にスムーズに確認が取れるように、取引日付や取引金額から保存データを検索可能な状態とすること。

タイムスタンプの付与を行ったり、事務処理規定の備え付けを行ったりする必要はありません。

取引先から紙媒体で受け取った書類の電子データによる保存要件

こちらは、取引先から紙媒体で送られてきた書類をスキャンして保存するケースです。

申請書に関しては、上記で説明しましたように、「国税関係書類の電磁的記録によるスキャナ保存の承認申請書」を3カ月前までに所轄の税務署長に提出しなければなりません。

スキャナによる保存となりますので、「スキャナによる保存をする場合の保存要件」を満たす必要があります。

F 関係書類の備え付け

関連書類等の備え付けなど、スキャン処理の規定等を行う。

G 帳簿間の相互関連性の確保

スキャナで保存された書類と帳簿間での関連性がわかるようにしておく。

H 真実性の確保

訂正・追加・削除の履歴を確認可能な状態とし、タイムスタンプの導入、書類作成及び受領後の速やかなスキャン及びスキャン機器の性能水準等(解像度等)の要件を守る。

I 見読可能性の確保

ディスプレイや印刷に利用する複合機の性能水準など見読性の確保をする。

J 検索機能

取引日付や取引金額から保存データを検索可能な状態とする。

スキャン保存の場合のみ、要件が大きく変わってくるところが、電子データによる保存を理解するにあたって、最もややこしいところということができるかもしれません。

電子データ保存とスキャナ保存の違い、申請方法をまとめると次のようになります。

190527_denshityoubohozonhou_05.png

※画像はクリックすると別ウインドウで拡大表示されます。

 

また、2016年に、スマートフォンやデジタルカメラがスキャナ機器として認められています。今後、徐々に普及していくのはではないかと考えられています。

解像度、つまりは画素数等に関する要件もありますが、こちらは読み取った書類のサイズによって判断が異なります。より大きなサイズを読み取るには、より多くの画素数が必要となります。ちなみに、一般的によく利用されているA4サイズを読み取るには、388万画素が必要になります。

電子データを保存するサーバーの設置場所

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電子データの保存を行うサーバーに関しては、納税地(自社内)に設置しなくてはならないという要件はありません。

クラウドサービス等を利用する場合には、サーバーが国外に設置されていることもありますが、特に問題はありません。重要なことは、保存されたデータをすぐに引き出すことができ、それをディスプレイにすぐに反映することができる状態としておくことです。

電子データとセキュリティ

電子データにより帳簿や国税関連書類を保存する場合において、最も脅威となるのはデータの消失です。ミスによる消失もありますが、コンピュータウィルスが自社内のネットワークに侵入して保存データを破壊してしまうようなケースも考えられます。

帳簿書類等が失われてしまうと、課税上も不利になることが想定されるため、細心の注意が必要となります。

このようなセキュリティ上の理由から、電子データ化を敬遠する企業は多く存在するのではないでしょうか。

しかし、現代においては、個人情報の保護等がしきりに叫ばれており、企業が保有する情報は、国税関連書類と同様に重要なものです。個人情報等が電子化されて管理されていることが一般的であることを考えますと、国税関係書類に関しても、同様に厳重なセキュリティ体制のもとに電子データ化されて管理されることが求められています。

また、国税関連書類の電子データ化を導入するにあたって社内のセキュリティ対策を強化することは、その他の個人情報等の流出対策にもつながると考えられます。国税関連書類の電子データ化をひとつの良い機会として、社内のセキュリティ対策の更なる強化に取り組まれてもよいのではないでしょうか。

photo:Getty Images

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この記事の執筆者

齋藤一生(税理士)
齋藤一生(税理士)

東京税理士会渋谷支部所属。1981年、神奈川県厚木市生まれ。明治大学商学部卒。
決算書作成、確定申告から、起業(独立開業・会社設立)、創業融資(制度融資など)、税務調査までサポート。特に副業関連の税務相談を得意とする。
・税理士事務所センチュリーパートナーズ

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