嫌な人と仕事したって楽しくない!「ひとり社長」で食べていく方法【経営コンサルタント・一圓克彦氏インタビュー】

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執筆者:阿部桃子

嫌な人と仕事したって楽しくない!「ひとり社長」で食べていく方法【経営コンサルタント・一圓克彦氏インタビュー】

20代の頃から、飲食店やIT系、製造業や小売業など、大小さまざまな企業経営に携わった経験を経て、最終的に「ひとり社長」となった顧客リピート総合研究所株式会社 代表取締役・一圓克彦(いちえん・かつひこ)さん。組織のしがらみに縛られず、自分の責任で、自分の思いどおりに、自分の会社を経営する「ひとり社長」というスタイルが注目を集めています。

そんな一圓さんに、ひとり社長でいることのメリット、「ひとり」だけどひとりで抱え込まない仕事術から、ひとり社長のスケジュール管理法、そして気になるお金の話まで、大いに語っていただきました。



年収1億円だった時代もありました

――現在2社の株式会社を「ひとり社長」として切り盛りしている一圓さん。これまで大小さまざま企業の経営を行ってきて、最終的にこのスタイルに落ち着いたそうですね。今までの経歴を教えていただけますか?

一圓さん:大学生のときに、たまたまある人から飲食店を譲り受け、居酒屋の経営者になりました。でも、飲食店の経営者とはいえ、ただただ「モテたい」という動機だけで始めましたし(笑)、経営の勉強をしたわけでもありませんでしたから。働けど働けど、儲かるどころか赤字が続いていました。

ただ、その後に社会心理学という学問と出会い、その先生から「人間を動かすためには、人間の感情の仕組みを知らなければだめだ」と言われたことで、心理学を経営に反映するようになりました。そのおかげで会社は黒字に転換し、続けて社会福祉事業、警備業と3社を経営するようになりました。

――大学生で経営者になり、それから3社にまで拡大されたとはすごいですね。

一圓さん:その後の27歳くらいのとき、1回目の結婚をして、当時の妻の父親が経営していた製造卸業の会社の2代目社長になったんです。その時は「会社を大きくすることこそが経営者の仕事」だと考えて、3年目には年商200億円超、従業員も1000人規模にすることができました。

――それはすごい!

一圓さん:でも32歳くらいで、急に仕事が面白くなくなってしまったんです。僕は「対お客さん」のビジネスをしたいのに、従業員が1,000人もいると、社内で派閥ができたり、「あの人の言うこと、聞きたくないです」という人が出てきたり。大きい会社の経営者は、そういう組織をマネージメントするための内向きの活動がメインになりますから。

年収がいくらあっても、仕事が面白くない。そうなると、どうなるか......。

――でも、当時の年収はそれなりだったはずでは?

一圓さん:正直な話、その頃は年収1億円くらいありました。

会社が大きくなって、初めて役員報酬をもらって買ったのがモンブランの万年筆だったことを覚えています。それから、10万円の靴を買うとか、スーツをオーダーメイドするとか、だんだんエスカレートして、数百万円もするような腕時計を身に付けたり、高級外車を買ってみたり......。

そして物欲が尽きると、今度は名誉欲が出てきて、人からチヤホヤされたくなるんです。それこそ、ひと晩で数百万円分もお酒を飲んだことも。

でも、そんな生活は空しいだけでした。その結果、対人恐怖症になり、鬱状態になってしまったんです。

もともと僕は資産家の子どもではなく、そもそもお金のリテラシーがないので、そんな人間が急に大金を持ってもロクなことにならないと痛感しました(笑)。

仕事のストレスもあったのでしょう。本当に組織のマネージメントは向いてないと思いました。

その後、この会社は売却することに。続けてIT系の小さな会社を作り、そのあと「ひとり社長」というスタイルをスタートしました。

「ひとり社長」は、好きな人とだけ仕事をしていればいい

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――さまざまな経験を経て、「ひとり社長」に落ち着いたのですね。大企業とのビジネスモデルの違いはどんなところでしょう?

一圓さん:例えば大企業のビジネスモデルが「平準化された商品を、よりたくさんの人に販売する」だとしましょう。居酒屋で「ビール一杯100円」で売るといった薄利多売ビジネスですね。

それに対して、ひとり社長のビジネスモデルは「よりカスタマイズされた高付加価値の商品を高単価で、少人数の人に販売する」という考え方になるのではないでしょうか。

こういうビジネスは、人と人とで行うので、経済合理性じゃなくて「この人だからお願いしたい」「この人となら一生懸命仕事ができる」といった感情がお互いに働かないと、高付加価値・高単価の仕事は流通できないと考えています。だから「この人は、なにか違う」と思った相手とは取引しなくていい。相手にするお客さんは少人数でいいんです。

それが私たちひとり社長の醍醐味であり、目指すべきビジネスなのではないかと考えています。

――となると、好きな人とだけ仕事をしていればいいと......?

一圓さん:はい。僕は日本中の方々がもっともっと楽しく仕事をして、楽しく生きられたらいいと思っています。嫌な人と仕事をしたって、楽しくないでしょう?

楽しくやりがいを持って仕事に取り組んでいると、ポジティブな空気感はお客さんにも必ず伝わりますから。ビジネスもさらにうまく行くという好循環が生まれます。

「お金をもらいながら営業する」という仕組みをつくる

――なるほど。それでは、個人事業主やフリーランスと、「ひとり社長」の違いはどんなところでしょうか?

一圓さん:まず、僕が思う個人事業主やフリーランスは、自分の能力をお金に換える「1(能力):1(お金)」の関係。

ひとり社長は、自分の能力をお金に換えるのではなくて、自分の能力で仕組みや人を動かして「1(能力):n多数(お金)」の関係を作り出すのだと考えています。自分ひとりだけの能力でお金をつくるのではなくて、仕組みや人を使ってお金をつくるような商品をいかに作るか? ということですね。

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――その「商品」をどのように作り出されていますか? ひとり社長だと、事務、営業、経理などをすべて自分でやるため、いろいろと大変そうなイメージがありますが......。

一圓さん:僕のビジネスの商品は「コンサルティング」ですが、まずは講演会を受注して、受講者さんたちと緩やかなつながりを作って、いずれ自分のセミナーに来ていただいて、それからコンサルティング契約を結ぶという流れになっています。

つまり、講演会で話すことがお客さんを自社のコンサルティングに誘導する営業活動そのものであり、しかも営業しながらお金ももらえるんですね。このように、営業にお金をかけるのではなく、「お金をもらいながら営業する」という仕組みをつくっています。

また講演会を取るために広報活動をしているのですが、プレスリリースの発行などの広報活動は外注スタッフにお願いしています。そして、講演会のオファーがあったときに対応するのは外注のアシスタント。その後、僕と日程調整し、クライアントとの打合せまでお任せしています。僕は当日、現地に行ってしゃべるだけ。そのあと参加された方々と名刺交換をします。

講演会が終わったら、請求書の発行は外注アシスタントがやってくれます。請求書はクラウドのシステムで送っています。

それからホームページの管理も外注化しています。僕は毎日メルマガを書いていますが、メルマガは日記の部分+コンテンツの部分と分かれています。そのコンテンツの部分だけをブログにアップしていくなど、ルールを決めて管理してもらうようにしています。

――なるほど。日常業務の細かな部分はどんどん外注化されているのですね。では逆に、これだけは一圓さんご自身でやろうと考えていることはありますか?

一圓さん:まずメールマガジンを書くこと、YouTubeに動画をアップすること。それから、銀行口座の管理ですね。

講演会に来た人とその後も緩やかな関係を続けるために、重宝しているのがメールマガジン。講演会で配布するレジュメの裏表紙に「メールマガジンやっています」と記したり、名刺交換させていただいた方々にお礼を送り、メールマガジンのご案内をしたりしています。そうやって集まったメルマガの読者さん対象にセミナーを開催し、関係を強化し、コンサル契約へと繋げていますので、メルマガはとても重要です。他人任せにはできないですね。

それから、毎日10~15分くらいつかって今日の売上、経費、入金を全部チェックして入力するようにしています。やはりお金の部分は大切ですから。

あとは、旅行が好きなので、出張先のホテルや交通機関の予約は人に任せたくないんです。この作業だけはいつも楽しんで自分でやっています。

――講演会に関してはいかがでしょうか?

一圓さん:僕が受けきれない講演会に講師を派遣するための受け皿として、2社目の「LectLab」というセミナー向けの講師を育成・派遣する会社を作りました。僕のビジネスモデルを体系的に学びたいという講師の方々を集めて、育成して、ある程度のレベルになったら、講演会に派遣したいと考えています。

――YouTubeの動画作成については、どんなこだわりがありますか?

一圓さん:「これからは動画の時代がやってくる」と思い、2019年から『一圓克彦 ニッポンのハエギワ』というYouTubeの動画配信を始めました。

この動画を制作するために、東京・大阪・札幌のオフィスに、一眼レフ、照明、マイクと機材を全部揃え、しゃべって、撮影して、PCに取り込んで、編集して、アップしています。

まだチャンネル登録者数が1,000人に達していないので現時点では広告収入はありませんが、動画を見た方から講演依頼が入ることもあります。

この件に関しては、2年前くらいから構想を温めていて、当時試しに1~2本の動画をアップしてみたのですが、最初は全然再生されなくて。というのも、当時ユーチューバーといえばエンタメ系が中心で、対象ユーザーは若者だったんですね。

でも最近では社会人の方々もYouTubeを見る習慣が広まっていると感じますし、これから5Gの時代がきたらさらに通信速度が速くなり、スマホ各社の通信制限がなくなると思うんです。そのため、今のうちにコンテンツを仕込んでおいて、今後ビジネス動画のブームがどっと来たときに、先行ポジションが取れるようにしたいと思っています。

――外部スタッフとのスケジュール管理はどのようになさっていますか?

一圓さん:外部スタッフとはGoogle Calendarでスケジュールを共有し、チームとして動くときのスケジュール調整をしています。ちなみに自分のスケジュール管理も、毎日前日の夜に翌日の日報を付けて、何時から何時まで何をするというタスクを記入するようにしています。

――自由自在のようですが、しっかり自己管理されているのですね。

基本的に毎日、日報どおりに動いています。でも、なにもしないでいつの間にか夜になっていた日もあります(笑)。

スケジュールをぎっしり入れない理由とは?

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――スケジュール管理で気を付けていることはありますか?

一圓さん:最低限のスケジュールしか入れないようにしています。そのためにも、長期の契約を結ばないようにしていますし、外部スタッフを活用することで上手に時間を作り出しています。

――それはどうしてでしょうか?

一圓さん:例えば、「来月からアメリカで面白い案件があるんだけど行かない?」と誘われたら行きたいですよね。スケジュールに余裕があれば、そういうチャンスを得る確率は飛躍的に伸びるわけです。

ビジネスで重要なのは、「今だ!」と思ったときに飛びつけるかどうか。特にひとり社長だと、それが自分の人生の明暗を分ける選択になることもあるので、いつでもチャンスに飛びつけるようにしておかなければいけないと思います。

僕もそれができなかったがために、「うちがいつかやろうと思っていたのに、先を越された!」みたいな悔しい思いを何度もしてきました。

例えば、今からFacebookやTwitterなどのSNSを自分もやっておけばよかったと後悔しても、トップを行っている人たちには追い付けないですよね。やはり誰よりも先を行かないと。

それもあって、今YouTubeを頑張っているわけです。

――重大な決断をするとき、ひとり社長だと「相談相手がいなくて不安」ということはありませんか?

一圓さん:良くも悪くも全部自分の責任ですからね。もちろん、「5年後の自分はどうなっているだろうか?」と、不安になることもあります。なかなか自分のことを客観的な目で判断するのは難しいので、相談相手として外部コンサルティングをお願いしています。自分もコンサルタントなのですが(笑)。

――どんな方にお願いされていますか?

一圓さん:例えば今、コンサルティングをお願いしているのは、ビジネスで海外に進出している人。それは今、自分が海外に興味があるからです。つまり、顧問になってもらうなどで同じ人にずっと相談するのではなく、そのときそのときで、「こうなりたい」と思った人にお金を払って、教えを乞うています。なので、相談相手は職業コンサルタントの方もいるし、普通の経営者の方もいますね。

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この記事の執筆者

阿部桃子
阿部桃子

早稲田大学卒業後、出版社、テレビ局勤務などを経てフリーランスに。専門分野は教育・育児支援、ビジネス、キャリア。『日経トレンディ』『AERA with Kids』『Bizmom』などで執筆。2児の母。活字好きの子どもを増やすべく、地域で読書ボランティア活動にも励んでいる。

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