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eスポーツ・プロゲーマーの確定申告 認められる経費は?税理士・手塚誠先生に聞いてみた

公開日:

執筆者:矢郷真裕子

e-sports・プロゲーマー必見!賞金の確定申告、認められる経費は?税理士・手塚誠先生インタビュー

世界を飛び回り、ゲームの大会に出場して、驚くような額の賞金を稼ぐ……そんな「プロゲーマー」という職業に、注目が集まっています。日本でも「eスポーツ」(ゲームを使用して行う競技)という言葉が徐々に浸透し始め、eスポーツの市場規模も、年々大きくなっています。

今回は、eスポーツ関連の税金や、プロゲーマーの確定申告について、税理士の手塚誠先生にお話を伺いました。



プロゲーマーの個人事業主は「事業所得」、副業なら「雑所得」で確定申告を

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ライター

――手塚先生も、おおいに注目している分野だそうですね。まずは、手塚先生ご自身とゲームとの関わりについて教えてください。

手塚

手塚:僕は子どもの頃に『ドラゴンクエスト』シリーズが大ブームになった世代なので、昔からゲームそのものに親しみはあります。

最近は、自分ではスマホゲームをたまに楽しんでいる程度ですが、ゲームセンターの対戦ゲームでたくさんの人たちが盛り上がっている様子は、まさにスポーツのようで、ただ見ているだけでも楽しいですね。

また、ゲームはさまざまな技術の進歩がわかるものでもあります。プレイヤーと作り手、どちらの情熱も込められているという点で、eスポーツは今後ますます発展していく分野だと考えています。

ライター

――確かに近年では、日本でもeスポーツのプロゲーマーが増えてきている印象です。一般のゲーマーと、「プロ」と名乗っていいゲーマーとの線引きというものはあるのでしょうか?

手塚

手塚:ゲーマーにはさまざまな人がいますが、おそらく日本でeスポーツに関わるゲーマーは、大きく分けると以下の3パターンの形態があると思います。

1、企業に所属して"ゲーマー"という職種に就き、給料をもらっている人
2、開業届を出し、ゲーマーを専業としている個人事業主
3、会社員など本業が別にあり、副業として賞金がもらえるゲームの大会に参加している人

現在は、ゲーマーになる際に特別な資格などは必要ありません。そのため、上記の誰でも「プロゲーマーです」と名乗ることは自由です。しかし実際には、ゲームによる収入を継続的に得ている人が、プロゲーマーとみなされるケースが多いでしょう。

もちろん、芸能人の卵のように、「今はまだアルバイトの収入がメインだけど、定期的にゲーマーとして活動し、少額ながら収入を得ている」という人もプロと名乗ってOKです。その場合も、白色申告より青色申告のほうがさまざまなメリットがありますから、開業届を出すことをオススメします。

ライター

――プロゲーマーは、主にどういったところから収入を得ることになりますか?

手塚

手塚:まず、企業に所属してゲーマーという職種に就いている人は、その企業からの給与がメインです。

一方、個人事業主や、副業としてゲームをしている人は、一例として以下の収入が考えられます。

  • eスポーツ大会の賞金
  • スポンサー契約を結んだ企業からのスポンサー料や広告宣伝費
  • ゲームイベントやテレビ番組などにゲストで呼ばれた際の出演料や講演料
  • 自分でゲームイベントを開催した際のイベント費
  • ゲーム関連の専門学校などでの講師料
  • ゲーム雑誌やサイトでの原稿料
  • ゲーム関連グッズのプロデュース料や販売費

プロゲーマーとして開業届を出している個人事業主は、収入額にかかわらず所得税の確定申告が必要です。

ライター

――プロゲーマーとして開業届を出したり、確定申告をしたりする際、業種や職種はどの分類がいいでしょうか?たとえばサービス業なのか、専門職なのか、迷ってしまいそうです......。

手塚

手塚:専門職にしておくのがいいと思いますね。そのほうが、もし税務調査が来ても、ゲーム関連の収入や経費の説明がしやすいと思います。たとえばサービス業などにしてしまうと、ゲームとそれぞれの支出との結びつきがイメージしづらく、税務調査官に経費の必要性をなかなか納得してもらえないかもしれません。

ライター

――なるほど。それでは、プロゲーマーが確定申告をする際、給与と雑所得はどう分ければいいですか?

手塚

手塚:企業に所属しているゲーマーは、給与からすでに源泉徴収をしているため、個人で確定申告をする必要はありません。ただし、年間の収入が2,000万円を超えると、年末調整はされずに、確定申告の義務が生じます。

個人事業主のゲーマーは、「事業所得」となります。一方で、副業としてゲームをしているゲーマーは、「雑所得」での申告になります。

いずれのパターンでも、確定申告が必要になる場合は、忘れないよう注意してください。

経費の基準はゲーマーという事業に関わりがあるかどうか

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ライター

――ここからは、主にプロゲーマーの経費について伺えたらと思います。プロゲーマーの経費として認められるのはどんなものか、詳しく教えていただけますか?

手塚

手塚:確定申告の際に認められる経費としては、たとえば以下のようなものが考えられます。

  • ゲーム機やゲーミングチェア、ヘッドフォン、アイウェアなどの購入費
  • eスポーツ用ユニフォームの製作費、購入費
  • スマホゲームのアイテム購入やガチャなど、ゲーム内課金
  • ゲーム仲間との打ち合わせや練習時の飲食代や、場所のレンタル代
  • ゲームイベントや大会への交通費、滞在費
  • 家賃、光熱費、インターネット料金や携帯電話料金など(ゲーム機やその周辺機器の家事案分)

ライター

――経費に関して、気をつけたほうがいいものや、間違いやすいものはありますか?

手塚

手塚:注意点としては、衣装やユニフォームは私服との違いを明確にしておくこと、飲食代や場所のレンタル代は事業(ゲーム)との関わりをきちんと説明できるようにしておくこと、いずれの経費も必ず領収書をもらって保管しておくことなどが挙げられます。

また、家事按分に関しては、事業用と私用の区別を客観的に説明し、数値として算出するのが難しい......という意見が多いです。悩まないで済むよう、自宅にゲーム専用の部屋を作ったりして、私用の部分と明確に区別できるようにしたほうがいいと思います。

ライター

――どの経費も、私用ではなくゲームという事業に関わりがあると明確に説明できることが重要なんですね。では、開業前にゲーム機などの備品を買った場合でも、開業費に入れられますか?

手塚

手塚:もちろんOKですから、領収証を忘れず保管しておいてくださいね。また、プロゲーマーになるためにゲームの専門学校に入る場合は、その入学金や学費についても経費として認められる場合もあるかと思います。

ライター

――これからプロゲーマーを目指す方や、将来プロゲーマーになりたい学生の方は、知っておくとお得な情報ですね! そのほかに、プロゲーマーが自分でイベントやゲーム大会を主催した場合に認められる経費についても教えてください。

手塚

手塚:考えられるのは、会場や機材のレンタル代、大会に必要なゲーム機などの物品費、運搬費、集客のための広告宣伝費、スタッフへの賃金などですね。

イベントが赤字になってしまった場合も、経費として計上して構いません。損益がわかるよう、イベントごとに収支表を作り、領収証を分けておくといいでしょう。

ライター

――最近は、大会参加やイベント開催以外に、YouTuberとしてゲーム実況や攻略動画で収入を得ている方も多いですよね。そういう方々も、経費の考え方は基本的にプロゲーマーと同じになりますか?

手塚

手塚:ゲームというジャンルを専門的に手がけているなら、プロゲーマーと同じ考え方でいいと思いますよ。それ以外に、動画の制作費や、カメラやマイク、動画編集ソフトなどの購入費も経費になるでしょう。

大会で受け取った賞金は所得税が課される

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ライター

――プロゲーマーといえば、「eスポーツの大会で一攫千金!」というイメージがあり、そこに憧れている方も多いはず。しかし、大会の賞金にも税金がかかりますよね。具体的には、どのような税金がかかりますか?

手塚

手塚:eスポーツの大会で受け取った賞金には、所得税が課されます。企業に属するゲーマーなら「給与所得」、個人事業主なら「事業所得」、趣味や副業で、営利目的でない大会参加時の賞金は「一時所得」の対象となります。

事業所得と一時所得では、所得の金額の計算式が異なるので、注意してくださいね。

ライター

――プロゲーマーがチーム戦で賞金を獲得した場合は、どのような申告方法になるのでしょう?

手塚

手塚:チーム戦の賞金とはいえ、ほとんどの場合は、個人の取り分を主催者側に申請し、その金額がそれぞれに支払われる形式だと思います。

ですから、個人の取り分ごとに、事業所得か一時所得で申告することになるかと思います。これも企業に属していれば、個人の取り分が、給与か賞与として還元されるされるはずです。

もしかしたら、「誰かひとりにまとめて支払うので、チーム内で分けてください」という稀なケースもあるかもしれませんが、その場合も、個人の取り分を明確にして申告すれば問題ありません。

ライター

――海外の大会で獲得した賞金は、どこで納税すべきですか? まさか日本と外国で、二重で所得税が課されてしまうなんてことも......?

手塚

手塚:日本の法律では、日本の居住者は、所得が生じた場所が国内か国外かを問わず、すべての所得が日本で課税されます。

しかし、外国の法令や、その国との租税条約の内容によっては、賞金を獲得した国でも所得税が課されてしまうことはあり得ます。

その場合、「外国税額控除」という制度を活用すれば、一定の金額を限度として、外国所得税の額を当該年の所得税額から差し引くことができます。現地での納税関係の資料をしっかり保管して、税理士や税務署などに相談してみるといいでしょう。

最新ゲームは「研究開発費」で計上。プロゲーマーならではの確定申告の注意点

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ライター

――続いては、プロゲーマーならではの経費に計上できるものなどがあれば教えてください!

手塚

手塚:ゲームは常に、新しい機器やソフトが生み出されていくものです。つまり、プロゲーマーは日々、最新の技術や情報を勉強する必要がある職業といえます。そういった、「プロとしての勝率や成績を上げるため」であるとか、「仕事に役立てるゲームの知識を得るため」にかかった費用等は、プロゲーマーとしての売上を増加させるために必要な経費と考えられます。

税理士さんと相談してどのような内容の費用が売上に貢献するのか、整理しておくといいかもしれません。

ライター

――まとめとして、プロゲーマーが確定申告をする際に気をつけたほうがいい点について、アドバイスをお願いします。

手塚

手塚:当たり前のことですが、売上などの収入はすべて漏らさず申告することが重要です。特に、取っ払い(当日現金払い)でもらったギャランティなどは、うっかり計上を忘れがちですから。気をつけてください。

また、判断に悩む経費に関しては、税理士に素直に実態を話したうえで、相談するのがいいでしょう。

最終的に利益が出そうであれば、中小企業基盤整備機構が運営するいわゆる倒産防止共済に加入することで、その掛金を費用に計上することができますし、ふるさと納税も儲かった所得に対して寄付金の限度額が大きくなりますので、こういった制度を利用してもいいかと思います。

さらに、海外でのeスポーツの大会などでは、一日で莫大な賞金を稼ぐことも夢ではありません。しかし、稼いだ分、高額になった住民税の支払いは翌年に来るため、何も知らずにお金を使ってしまい、住民税が払えなくなる......というケースもよく聞きますよね。

今は、事業の売上と経費を入力するだけで、概算の所得税や住民税をシミュレーションしてくれるサイトやソフトなどもあります。そういう便利なものを利用して、マネープランを立て、貯金しておくことをオススメします。

万が一、住民税の支払いが遅れてしまうと、延滞金がかかってしまいます。支払いが難しいことが予想される場合は、早めに自治体の窓口へ相談に行きましょう。

これらはすべて、自分の子どもがプロゲーマーで、賞金などを手にした場合の確定申告の注意点とも同様です。特に、まだ学生のプロゲーマーにとって、確定申告はあまりなじみがないものでしょう。税金について、家族がサポートしてあげられると心強いと思います。

今後、eスポーツはさらに発展していくことが予想されます。それに伴い、税制も変わっていくかもしれません。今後も注目していきましょう!

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Photo:塙薫子

手塚誠(てづか まこと)

手塚誠(てづか まこと)

東京税理士会浅草支部所属。神奈川県川崎市出身。明治大学商学部卒。会社の設立から事業運営、事業承継・相続に至るまでサポート。
てづか税理士事務所/株式会社てづか会計事務所

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この記事の執筆者

矢郷真裕子
矢郷真裕子

編集者・ライター。出版社勤務を経てフリーランスに。手がけてきた分野はエンターテインメント(お笑い・音楽)、グルメ、衣料(ファッション)、児童、占い、街ブラ、ライトノベルなど。

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