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老後ってヤバい?若手フリーランスのための「保険」と「年金」の話【お金の専門家・横川楓】

公開日:

執筆者:阿部桃子

老後ってヤバい?若手フリーランスのための「保険」と「年金」の話【お金の専門家・横川楓】

少子高齢化が叫ばれるなか、世代間格差は広がり、若手世代を中心に受け取れる年金額を心配する声が広がっています。特に、これからフリーランスになることを計画している方、若手フリーランス・個人事業主の方などは、「自分たちの老後はどうなってしまうの?」と将来のお金について不安に思うこともあるでしょう。

そこで、「ミレニアル世代(2000年以降に成人になる世代)のお金の専門家」として活躍し、若い人をターゲットにお金の知識の啓蒙活動、カウンセリングを行っている横川楓さんに、若手フリーランス・個人事業主の保険や年金、貯蓄や投資、お金との付き合い方について、連載でお伺いします。

連載第1回目は誰もが気になる「保険」と「年金」をテーマにお届けします。



独立したかったら、万が一に備えて「生活費の6ヵ月分」は貯金しておく

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――まず、横川さんは若い世代の方々が会社を辞めて、お店を始める、独立開業する、フリーランス・個人事業主になる、ということについてどのようにお考えでしょうか?

横川横川楓さん(以下・横川):それはもう絶対、若いうちにチャレンジしてほしいと思います。つらい環境のままでずっといるよりも好きなことを仕事にすると人生が豊かになりますし、若いほうがある程度の無理もききますし。私のまわりにも、大学を卒業してすぐにライターになった方、カフェをオープンしたという方もいます。

よく「会社に就職しないと社会常識が学べない」と言う方もいますが、例えばビジネスメールの書き方ひとつとっても、ネットで学べますし、あえて会社に就職するという選択肢を選ばなくてもいい時代だと思います。

――会社に就職せずに起業する方もいらっしゃるんですね。

横川横川:はい。ただ、卒業後にイチから起業するのではなく、ライターさんなら学生のうちから業務委託で執筆の仕事を請け負っていたり、カフェを開業したい方なら、学生時代からカフェでただのアルバイトではなく経営のことも含めて積極的に修業していたり、ある程度の下準備や経験ができていると安心だと思います。

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――独立開業する場合、万が一に備えて、生活費はどのくらい貯めておいたほうがいいでしょうか? 例えば、1ヵ月の生活費の何ヵ月分が必要なのかなど、だいたいの目安を教えて下さい。

横川横川:目安として、1ヵ月暮らすのに必要な生活費の半年分くらいは貯めておいた方がいいと思います。1ヵ月の生活費が15万円なら、6ヵ月分、つまり90万円ですね。ただ生活費といっても個人差があり、実家暮らしか、自分で家賃を支払っているかで、同じ1ヵ月でも10万円くらいは違ってくると思いますので、自分の1ヵ月の生活費を算出してみればいいと思います。

あとは、独立した直後でもある程度コンスタントに仕事がもらえる取引先が決まっているか、定期的な収入が入る予定があるかどうかもポイントです。自分の生活費がどのくらいかかるのか、取引先がいるのかどうか、状況に応じてスタートを見極めてもらいたいです。

貯金があれば、気分が落ち込んだとき、体調が悪いときは仕事を減らすなどの調整もできますから。お金の余裕は心の余裕にも繋がりますし。

――その他、フリーランス・個人事業主として独立するにあたり、まず準備することはありますか?

横川横川:まずは、以下の準備はマストでしておきましょう。

●事業用の銀行口座を作る......日常生活で使用している銀行口座とは別の、事業用の銀行口座を作りましょう。生活費、事業用の経費が全部一緒だと支出がどのくらいかわからなくなり、お金を使いすぎてしまうことも。事業用の口座を作れば仕訳も楽になり、帳簿管理もしやすくなります。

●国民年金(第1号被保険者)に切り替える......厚生年金はお給料から勝手に引かれるものですが、フリーランスは国民年金を自分で納めなければなりません。退職後となりますが、離職票や退職証明書などの退職したことがわかる書類、年金手帳、身分証、印鑑を持って、お住まいの自治体の国民年金窓口で手続きをしましょう。

●国民健康保険に加入する......国民年金同様、健康保険も自分で納付していくこととなります。こちらも退職後に身分証や印鑑を持ってお住まいの自治体の役所の窓口で手続きをする必要があるので、忘れないようにしてください。

●開業届を提出する......独立すると税金まわりも基本的には自分でやっていくこととなります。税務署に開業届と青色申告承認申請書を提出しましょう。青色申告承認申請書は後から提出することもできますが、新規開業なら開業後の2ヵ月以内、白色からの切り替えの場合は青色申告をしようとしている年の3月15日までに提出しないと青色申告できなくなってしまうので、開業と同時か早い段階で出しておくのをおすすめします。

●その他......のちほどお話していきますが、「小規模企業共済」や「確定拠出年金」などもぜひチェックしてほしい制度です。

また、もし今は会社員で、これから独立するとしたら、退職する前にクレジットカードを作っておいたほうがいいでしょう。自営業だと、審査が通らない、あるいは利用限度額が低くなるなんてこともあるかもしれません。

同じく、住宅ローンや車のローンなど、審査の際に年収や勤務先の記入が必要となる場合は、一般的には会社員のほうが審査に通りやすいと言われていますね。

国民健康保険は比較検討がマスト!医療保険は月々3,000円でもOK

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――会社員と異なり、個人事業主になったら健康保険の保険料も自分で支払わければなりません。どういったあたりに注意すればいいでしょうか。

横川横川:まず最低限入る必要があるのは国民健康保険。申請をするのは各自治体の窓口です。申請の際には会社の健康保険の喪失証明書が必要になりますが、これは言わないともらえないので、退職前に会社に伝え、会社を辞めるタイミングですぐ受け取りましょう。

また、国民健康保険に入らず、勤めていた会社の健康保険に加入し続けるという方法もあります。その場合は、退職前に手続きが必要です。退職後2年間は継続できますが、今まで会社で負担してもらっていた分の保険料も自分で支払うことになるので、受けられる保障と負担金額によってはオススメとは言えないかもしれません。

その他、デザイナーや漫画家、カメラマン、プログラマーといった職種なら、文芸美術国民健康保険、美容師や理容師なら全日本理美容健康保険組合と、職種によって加入できる健康保険もあります。

国民健康保険は自治体によって金額が異なり、収入によっても金額が違ってくるので、まずは自分の住んでいる自治体にどのくらいの保険料になるかを退職する前に問い合わせてみましょう。ネットでも簡単に調べられます。

そのうえで、他の健康保険組合と比較検討してみればいいですね。

――医療保険には入っておいたほうが安心ですか? 生命保険、がん保険、掛け捨て型、貯蓄型などいろいろありますが、最低限入るならどの保険を選べばよいでしょうか?

横川横川:日本は高度療養費制度があるので、医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額を超えた分は払い戻してもらえます。何もしなければ払戻しまで3ヵ月ほどかかるので、いったんは高額な負担となってしまうのですが、「限度額適用認定証」を前もって申請して入手しておけば、窓口の負担も限度額までで済みます。

なので、あえて高額な医療保険に入るくらいならその分を貯金に回したり、そもそも体調不良になった時にきちんと医療費を払えるくらいの資金の余裕を持っておくことが大事。

ただ、体が丈夫ではない方もいますし、保険は自分が安心できるかどうかがポイントだと思いますので、もし不安があるなら加入してもいいと思います。

オススメは保険料が最低限に抑えられた「掛け捨て型」の保険ですね。

――毎月の掛け金の目安はどのくらいですか?

横川横川:収入に余裕がないなら、月々の保険料が3,000円くらいまでで十分です。貯蓄型の保険は保険料も高いので、収入に余裕が出てから考えればいいでしょう。がん保険もある程度の余裕が生まれてきたら、掛け捨て型の保険に後から特約として追加することもできます。

それと、フリーランスとして独立する場合は比較的時間の融通が利きやすいというメリットがあると思います。体調を崩したらすぐに病院に行くなど、日頃からしっかり体調管理をして備えることも大切ですね。

――フリーランスや個人事業主にも失業保険のようなものはありますか?

横川横川:事業主が廃業したり、退職したりした場合に備えて積み立てる「小規模企業共済」があります。月々の掛金は1,000円~7万円まで自由に設定できて、全額が所得控除できるので、節税効果もあります。少額でも、長く継続すれば退職金の代わりにもなります。

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この記事の執筆者

阿部桃子
阿部桃子

早稲田大学卒業後、出版社、テレビ局勤務などを経てフリーランスに。専門分野は教育・育児支援、ビジネス、キャリア。『日経トレンディ』『AERA with Kids』『Bizmom』などで執筆。2児の母。活字好きの子どもを増やすべく、地域で読書ボランティア活動にも励んでいる。

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