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確定申告が必要な人、した方がオトクな人、不要な人の違いは?【チェックリストですぐわかる!】

公開日:

執筆者:渋田貴正(税理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士)

確定申告が必要な人、した方がオトクな人、不要な人の違いは?【チェックリストですぐわかる!】

誰もが一度は耳にしたことがある「確定申告」という言葉。しかし、事業でもやっていない限りは、なんだかよくわからない手続きというイメージをお持ちの人も多いと思います。

そこで、今回は、そもそもどのような人が義務として所得税の確定申告を必ずしなければいけないのかということや、任意で確定申告したほうがよい人(おトクな人)、確定申告が不要な人について整理して解説します。これを読めば、いままで確定申告について知らずに所得税で損をしていた人も、税金を取り戻せるかもしれません。

まず最初にチェックリストに自分が該当するかどうか、確認してみましょう。



POINT
  • 確定申告をする義務がある人は、「計算の結果、所得税の納税が発生する人」
  • 所得税の納税が発生しなくても、所得税の還付を受けるために確定申告をしたほうがおトクな人もいる
  • 会社員などでも副業の所得が20万円を超えると確定申告の義務が発生する

「確定申告が必要な人」チェックリスト

以下にチェックリストにひとつでも該当する人は、確定申告をする必要があります(※所得などの条件によって確定申告が不要な場合もあります)。

まず、一般的に確定申告が必要な人について知ろう

所得税の確定申告は、1年間の所得を集計して、自らの所得税額を計算して、税務署に対して申告する制度です。納めるべき所得税が発生する人もいれば、なかには医療費などの各種控除によって、逆に所得税の還付を受けることができる人もいます。

納税額を計算するため、還付額を計算するため......といったように、確定申告をする理由は人によってさまざまですが、それではズバリ、確定申告が義務になる人はどんな人でしょうか?

ざっくり言って、それは「計算の結果、納めるべき所得税が発生する人」です。文字にすると当たり前のことを言っているだけですが、納めるべき税金があるなら確定申告しなければいけないということです。

ここで注意すべき点としては、フリーライターやデザイナーなどお仕事の収入から所得税がすでに天引きされているケースです。この場合は、天引きされた所得税を、引く前の所得税額が発生しているかどうかで判断します。

裏を返せば、所得税の納付が発生しないケース、例えば医療費控除やふるさと納税、住宅ローン控除の適用によって所得税の還付を受ける場合などについて、確定申告するかどうかは任意ということになります。

しかし、いくつかの例外も設けられています。例外となるケースを含め、以下でケースごとに解説していきます。

個人事業主、自営業、フリーランスの人

個人事業主、自営業、フリーランスの人は、確定申告の義務があるかどうかの判断はとてもシンプルです。事業で黒字が出ていて、黒字が各種所得控除を上回っていれば所得税が発生します(住宅ローン控除があるケースを除きます)。収めるべき所得税が発生するわけですから、確定申告する必要があります。

毎月帳簿の記帳をしっかりしておけば、自ら確定申告すべきかどうかも簡単に判断できますね。

ただし、赤字でも確定申告したほうがオトクになるケースもあります。この点については、後ほど解説します。

一定額の公的年金を受け取っている人

公的年金等(老齢国民年金、老齢厚生年金、確定給付企業年金など)を受給している人については、原則として確定申告は不要です。年金が収入の中心である高齢者にとって、確定申告を義務付けるのは大きな負担になるためです。しかし、以下のいずれかに該当する場合のみ、確定申告が必要となります。

1) 公的年金等の収入額が400万円超
2) 公的年金等以外の所得(給与や不動産収入など)が年間20万円超

不動産など、その他の所得がある人

その他の所得で収入を得た場合にも確定申告が必要です。確定申告が必要となる収入は多岐にわたるので、そのすべてを列挙することはできませんが、主なものとして

  • 家賃収入(赤字の場合は除く)
  • 自宅を売却した場合などに発生する不動産の売却収入
  • 自ら保険料を負担していた生命保険契約による生命保険金
  • 競馬、競艇などの払戻金
  • FXや仮想通貨取引、先物取引などで得た差益

などがあります。

これらについても個人事業主と同様で、各種控除を適用してもなお納税額が発生する場合には、確定申告の義務が発生します。ちなみに、相続や贈与で取得した金銭などの財産については、相続税や贈与税の課税対象となるので、所得税の確定申告は不要です。

株取引で利益を得た人

株取引については、多くの人が「源泉徴収ありの特定口座」を証券会社に開設しています。この場合は、利益が出ていたとしても確定申告は不要です。証券会社にて所得税を計算して、源泉徴収したうえで、入金してくれるからです。

株取引で利益を得た場合で、確定申告が必要なのは、以下の2つのパターンの場合です。

1) 一般口座の場合
2) 特定口座で源泉徴収なしの場合

特定口座とは、証券会社が年間の取引を集計して「年間取引報告書」という形でまとめてくれる便利な口座です。特定口座でない口座を一般口座といいます。

特定口座、一般口座というのは、証券会社の口座です。この口座で取引できるのは上場している銘柄のみです。非上場株を取引きした場合は、一般口座と同様に、自分で損益を計算して、利益が出ていれば確定申告する必要があります。

会社員だが副業していて、確定申告が必要な人とは

会社員の場合、会社が年末調整によって年間の所得税を計算・精算してくれるので、多くの人にとって確定申告の義務はありません。しかし、会社員であっても確定申告の義務が発生するケースがあります。

会社員で副業して確定申告が必要な人は、副業の稼ぎが20万円を超える人で、かつ会社の給与と合算して計算した結果、所得税の納税が発生する人です。

副業の稼ぎは以下のように判定します。

1) 副業収入が給与の場合......副業の年間給与額面の合計が20万円を超える
2) 副業収入が給与以外(業務委託など)の場合......年間の利益(売上-経費)が20万円を超える

ただし、1)の場合で、本業と副業の給与を合算した額面が(150万円+雑損控除、医療費控除、寄附金控除、基礎控除以外の所得控除額)以下の場合は、副業の年間給与額面の合計が20万円を超えても、確定申告は不要です。

会社の給与については、年末調整で所得税の計算が終わっていますので、それ以外で収入があれば確定申告の義務が発生します。ただし、例外的に、その他の所得が20万円以下であれば、納税が発生するとしても特別に確定申告の義務が免除されています。

会社員で給与所得だけだが、確定申告が必要な人とは

会社員で給与所得だけで確定申告が必要な人は、2パターンです。

一つは、副業で給与所得がある人です。副業で給与所得がある場合は上記で解説した通りです。

そしてもう一つが、給与の年収が2,000万円を超える人です。この場合は、1社のみの勤務であっても確定申告義務があります。年収2,000万円超の人は年末調整を受けることができないため、確定申告する必要があるのです。

この給与収入2,000万円超のパターンは、計算の結果、所得税の還付が発生する場合でも確定申告は義務です。年末調整を受けていない以上、納めるべき所得税が確定していないからです。

確定申告を必ずしもしなくてもいいけど、した方がオトクになる人とは

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これまでに説明してきたとおり、確定申告の義務がある人以外は、確定申告をしなくても何ら問題はありません。しかし、なかには確定申告をしたほうが所得税の還付を受けられるなどのメリットがあることもあります。では、どのような人が任意で確定申告したほうが良いのでしょうか?

ちなみに、所得税の確定申告は過去5年間分可能です(例えば2020年中であれば2015年~2019年分の確定申告が可能)。

以下を読んで、さかのぼって所得税の還付を受けられそうな人は、過去の年分の確定申告もやってみてもよいでしょう。税金を返してもらうのですから、過去の年分を提出したからといってもちろんペナルティなどはありません。

年間所得38万円以下の事業主だが、赤字が出た人

個人事業主で赤字の場合、納税が発生しない以上、確定申告の義務はありません。しかし、例えば、仕事の種類によっては、所得税の源泉徴収をされていることがあります。例えば講師業やデザイナー、ライター業などです。この場合は、所得税の確定申告をすることで、源泉徴収された所得税の還付を受けられるので、確定申告したほうがよいでしょう。

所得税には誰でも受けることができる「基礎控除」というものがあります。これは所得控除の一つで、すべての人が38万円の控除を無条件に受けられるというものです。そのため、年間所得38万円がひとつの区切りとなるのです。

また、事業以外に所得があれば、事業の赤字とその他所得を相殺することもできます(損益通算といいます)。

この基礎控除、2020年分の確定申告からは、「38万円」は「48万円」にアップします。多くの人にとってはお得になる改正です。ただし、48万円の基礎控除を受けるためには、年間所得合計が2,400万円以下という条件付きとなります。

メインの勤務先以外にアルバイトなどで源泉徴収されている人

副業でアルバイトをしている場合で、副業の給与収入の合計が20万円以下であれば、確定申告の義務はありません。この場合でも、副業で給与から源泉徴収された所得税の還付が受けられる可能性があるので、確定申告をすることをおすすめします。

その年に退職した人(退職して開業した人も含む)

会社を年の途中で退職して、そのまま再就職しなかったり、個人事業主として開業したりした場合は、年末調整を受けられません。この場合は、確定申告をすることで所得税の還付を受けられる場合があります。

また、個人事業主として開業した場合には、赤字が発生すれば、その赤字は損益通算によって給与と相殺することができます。なお、開業して黒字となり、納税額が発生すれば、もちろん確定申告は義務となります。

退職所得があり「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない人

退職金を受け取っている場合は、「退職所得の受給に関する申告書」という書類を提出することで、会社側で退職金にかかる所得税の精算を行ってくれます。もしこの書類を提出しなければ、退職所得からは一律20.42%の税率で所得税の源泉徴収が行われます。

この源泉徴収税額は、仮の金額なので、実際の退職金にかかる所得税額が源泉徴収された金額よりも少なければ、差額の還付を受けるために確定申告をすることができます。ただし、源泉徴収された所得税のほうが、実際の所得税額より少なければ、確定申告は義務となります。この場合は、差額を納税しなければなりません。

とはいえ、退職する人が「退職所得の受給に関する申告書」という書類を知っている可能性は低いので、通常は会社が案内し、そのまま実際に納めるべき所得税の計算と源泉徴収までやってくれます。そのため、退職所得について確定申告して税金の還付を受けるケースはまれでしょう。

給与所得者だが確定申告をした方がオトクになる人

給与所得者で年末調整をしていて、副業もやっていない会社員でも、所得税の確定申告をして所得税の還付を受けられることがあります。それは、医療費控除やふるさと納税で寄附金控除を受ける場合です。

むしろ会社員にとっては、この理由で確定申告をする人が大多数かもしれません。

医療費控除とは、年間医療費が10万円(給与所得が200万円以下の場合は、給与所得の5%)を超える医療費を支出した場合に、その超えた金額について受けられる所得控除です。

自分の医療費以外にも、生計を一にする家族のための医療費も合算できます。この原則的な医療費控除のほかに、市販薬を年間で12,000円超購入した場合にも医療費控除を受けられます(これをセルフメディケーション税制といいます。この適用にはインフルエンザ予防接種を受けているなど一定の要件が必要です)。

医療費控除と並んで、もう一つの大きな還付の理由がふるさと納税です。年々増加しているふるさと納税ですが、5つの自治体への寄付までであれば「ワンストップ納税制度」を利用して、確定申告をしなくてもよい制度があります。

ただし、このワンストップ納税制度は、理由を問わず確定申告をするなら利用不可となります。ワンストップ納税制度の利用手続きをしていたとしても、医療費控除を受ける場合などで、確定申告書を提出する場合は、あらためて確定申告書にふるさと納税をした旨を記載しなければいけません。

青色申告の人

個人事業主が青色申告で確定申告している場合は、赤字が発生して確定申告の義務がない場合でも確定申告するべきです。赤字を3年間繰り越して、各年の黒字と相殺できる制度(純損失の繰越控除)を利用できるからです。

確定申告が不要な人

ここでは、あらためて確定申告の義務がない人についてまとめておきましょう。

会社など、勤務先で年末調整を受けている人

会社で年末調整を受けている場合は、会社が支払った給与をもとに所得税を計算してくれるので、基本的に確定申告の義務は発生しません。ただし、上記の確定申告義務があるケースに該当すれば、年末調整を受けている人であっても所得税の確定申告の必要が出てきますので、注意しておきましょう。

年間所得が38万円以下の事業主

前述で説明したとおり、所得税には誰でも受けることができる「基礎控除」というものがあります。これは所得控除の一つで、誰でも38万円の控除を受けられるというものです。

所得合計よりも所得控除が大きければ、そもそも納税も発生しないので、確定申告義務も生じません。もちろん社会保険料を納めていたり、生命保険料を支払っていたりすれば所得控除の合計額もその分上がりますし、所得控除の合計額は人それぞれです。38万円はひとつの目安程度にとらえておきましょう。
(前述のとおり、2020年からは基礎控除の金額が48万円に変更となります。また適用要件として、年間所得合計が2,400万円以下という条件付きとなります)

副業をやっていても副業収入が年収20万円以下の人

副業で、年間所得20万円(副業が給与の場合は年間額面合計が20万円)以下であれば、確定申告義務がありません。本業の年末調整で所得税の精算が済んでいるため、副業での少額の所得で追加の所得税が発生したとしても、確定申告義務を免除してもらえるということです。

400万円以下の公的年金受給者で源泉徴収されている人

老齢基礎年金や老齢厚生年金の受給者については、公的年金等の収入額が400万円以下で、かつ公的年金等以外の所得(給与や不動産収入など)が年間20万円以下であれば、確定申告は不要です。高齢者の確定申告の負担を減らすために認められています。

photo:Getty Images

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この記事の執筆者

渋田貴正(税理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士)
渋田貴正(税理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士)

税理士、司法書士、社会保険労務士、行政書士、起業コンサルタント(R)。
1984年富山県生まれ。東京大学経済学部卒。
大学卒業後、大手食品メーカーや外資系専門商社にて財務・経理担当として勤務。
在職中に税理士、司法書士、社会保険労務士の資格を取得。2012年独立し、司法書士事務所開設。
2013年にV-Spiritsグループに合流し税理士登録。現在は、税理士・司法書士・社会保険労務士として、税務・人事労務全般の業務を行う。

・V-Spirits

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