税務署に行かずに確定申告する方法【e-Tax】【郵送】【税理士に委任】

2023/08/01更新

この記事の執筆者柳原つつじ

年に一度の所得税の確定申告。税務署や申告会場に行かないで済ませられるのであれば、大きな時間の短縮になります。

そこで今回は「税務署に行かずに確定申告する方法」として「e-Tax」「郵送」「税理士に委任」の3つを紹介したいと思います。郵送で提出する方法とe-Taxで確定申告する場合の流れや、e-Taxの2つの方式「マイナンバーカード方式」と「ID・パスワード方式」についても解説します。

POINT

  • 確定申告書は、郵送による提出も認められている
  • 今後はe-Taxによる電子申告が主流となっていく見通し
  • e-Taxは、「マイナンバーカード方式」と暫定方式の「ID・パスワード方式」の2種類

税務署に行かずに確定申告する方法は3つ

税務署に行かずに確定申告を行う方法は、3つあります。それでは一つずつ、紹介していきましょう。

1.e-Taxで確定申告する

まずは、国税電子申告・納税システム(e-Tax)を活用する方法です。

国税庁によると、2021年分の所得税の確定申告においては、e-Tax利用率は59.2%と、すでに6割近くに上ります「2022年8月 国税庁発表資料より新規タブで開く」。書類を記入して税務署に提出するというスタンダードな方法から、e-Taxへと主流が移りつつあるといってよいでしょう。

e-Taxで実際に確定申告する手順と方法は、後半で解説しています。
お急ぎの方は、「e-Taxで実際に確定申告する流れとやり方新規タブで開く」をクリックすると該当箇所にジャンプします。

しかも、2019年1月からは、e-Taxを利用すれば、マイナンバーカードやパソコンがなくても、スマホだけで確定申告書の作成や提出ができるようになりました。今後、e-Taxはますます利便性が高いものになり、さらに普及が進むと考えられます。

そして、2022年1月からは、国税庁のサイトでスマホでも収支内訳書や青色申告決算書が作成できるようになりました。
つまり個人事業主の所得税の確定申告がスマホでもできるようになったのです。
 
ただし、帳簿はスマホでは作成できないので、申告ソフトなどで帳簿付けから申告までできるほうが楽かもしれません。

2.郵送で確定申告書類を送る

確定申告書は、管轄する税務署に郵送することもできます。ただし、少し注意しなければならないのが、郵送の方法です。

というのも、税務上の申告書や申請書・届出書は「信書」に該当します。「郵便物」(第一種郵便物)または、「信書便物」として送付するようにしましょう。

なお、2021年(令和3年)7月以降、内部事務のセンター化の対象となっている税務署(対象署)に、申告書、申請書等を提出する場合は、郵送でセンターへ送付協力が求められています。

申告書類を書面で提出する場合は、郵送による提出先となる事務センターの所在地は、下記を確認ください。e-Tax(データ)により提出する場合は、従来どおり所轄税務署へ送信します。

参考

国税庁:税務署の内部事務のセンター化について新規タブで開く

また、郵送や信書便で税務署や事務センターに送付した場合、通信日付印の日付が提出日となります。これは「ギリギリ提出派」としては、大きな利点です。ただし、もし、宅配便を使うなど郵送や信書便以外の方法で送付してしまうと、到着日が提出日となってしまいます。郵便または信書便での郵送を心がけましょう。

ちなみに郵送による提出も私は経験していますが、やはり漏れが心配になってしまいます。記載事項や添付書類に漏れがないかどうか。送付前に、よくよく確認するようにしましょう。

あと怖いのは、送り忘れですね。実際に私が体験した失敗で、以前、記事にもしましたが……。郵送の際には、くれぐれも気をつけましょう。

3.顧問税理士がいれば提出を頼む

「税務代理の権限証書」を税務署に提出すれば、顧問税理士による代理提出も可能です。作業としては負担がかなり減ることは、言うまでもないでしょう。

ただし、税理士に依頼すると当然、費用がかかります。そして、確定申告は毎年必ず発生することです。「昨年は儲かったら、税理士に頼んだけど、今年は売り上げがイマイチだから、自分でやって、また来年からお願いしようかな」というわけには、なかなかいきませんので、顧問料とともに、慎重に検討したほうがよいでしょう。

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e-Taxで実際に確定申告する流れとやり方

e-Taxで確定申告を行うには、「マイナンバーカード方式」と「ID・パスワード方式」の2つがあります。

従来は「マイナンバーカード方式」のみでしたが、暫定的な方法として、2019年1月から新たに「ID・パスワード方式」でのe-Tax利用も可能になりました。それぞれどのような方式か、見ていきましょう。

マイナンバーカード方式

マイナンバーカード方式の場合、必要なものは2つです。「マイナンバーカード」と「ICカードリーダライタ」もしくは、「マイナンバーカードの読み取りができるスマートフォン」です。

マイナンバーカードを持っていない場合、市区町村に申請すれば、住民票の住所に通知カードと個人番号カード交付申請書が、簡易書留で届きます。スマートフォン、パソコン、証明写真機、郵送の4つ手段で申請が可能です。

マイナンバーカードの交付を申請したいときは、下記のサイトから、それぞれの方法を選択してみてください。

参考

マイナンバーカード交付申請:地方公共団体情報システム機構新規タブで開く

申請してから、書類が届くまでは、2~4週間ほどかかります。早めに手続きするようにしましょう。

次に、ICカードリーダライタは、カードに記録された情報を読むために必要なものです。家電量販店などでも購入することができます。大体、3,000円くらいです。マイナンバーカードの読み取りに対応したスマートフォンがあれば、購入不要ですね。公的個人認証サービスのポータルサイトで対応しているスマートフォンの確認ができます。

参考

公的個人認証サービス ポータルサイト新規タブで開く

マイナンバーカードとICカードリーダライタかマイナンバーカードが読み取れるスマホをそろえた後、さらにインターネットでインスト―ルをしなければならないものが、2つあります。

一つは、他人のなりすまし行為を防止するために「公的個人認証サービス利用者クライアントソフト」です。もう一つは「ルート証明書・中間証明書」で、こちらは、国税庁のサイトからインストールしてください。

こうして一つひとつ、作業工程を挙げていくと、なんだか大変そうに思われるかもしれませんが、ソフトウェアのダウンロード自体はすぐにできます。マイナンバーカードの取得さえ、がんばってやってしまえば、準備は複雑ではありません。すでにマイナンバーカードを持っていれば、なお簡単に手続きが可能です。

ここまで準備ができれば、国税庁の「確定申告書等作成コーナー新規タブで開く」から「作成開始」をクリック。そして「e-Taxで提出 マイナンバーで提出」に入って、通常のように、確定申告の作業を行ってください。

個人事業主の場合は、デスクトップ申告ソフトの「やよいの青色申告」やクラウド申告ソフト「やよいの青色申告 オンライン」、「やよいの白色申告 オンライン」を使えば、確定申告書も簡単に作成できて、e-Taxを直接行えます。

ID・パスワード方式

一方、「ID・パスワード方式」でe-Taxを行う場合については、マイナンバーカードは不要です。その代わり、税務署で本人確認をしてもらったうえで、「ID・パスワード方式の届出完了通知」を発行してもらうことになります。

それでも、最初だけ税務署での本人確認が必要ですが、「ID・パスワード方式の届出完了通知」は即日、発行してもらえますし、本人確認は、運転免許証があればOKです。マイナンバーカードを持っておらず、税務署に行くのが手間でなければ、この「ID・パスワード方式」のほうが、楽そうですね。「税務署に行かずに」という部分と矛盾してしまいますが。

その後は、「マイナンバーカード方式」と同じ流れで、国税庁の「確定申告書等作成コーナー新規タブで開く」から「作成開始」をクリック。そして「e-Taxで提出 ID・パスワード方式」へ進めば、作業が開始できます。

ただし、ID・パスワード方式で利用しようとする場合、「電子申告・納税等開始届出書」を事前に提出して、「利用者識別番号」を取得しなければなりません。若干、面倒ですが、e-Taxソフトで簡単で行えますから、それほど構える必要はないでしょう。

そして、ID・パスワード方式の場合の注意としては、市販の申告ソフトで作成したe-Tax用データは使用できません。あくまで国税庁の「確定申告書等作成コーナー」でしか使用できないことを覚えておきましょう。

e-Taxについては、この2つの方法のいずれかで行えば、問題ありません。「百聞は一見にしかず」で、実際にやってみると、意外に簡単だという印象を持つ人も多いのではないかと思います。まだ始めていない人は、チャレンジしてみてください。

以上、「税務署に行かずに確定申告する方法」をご紹介してきました。

確定申告書の提出については、冒頭でお伝えしたように郵送や税理士さんに依頼する方法もあります。しかし、紙の確定申告書からe-Taxへの移行は、今後ますます進むのが明らかです。より簡単に、より便利になっていっていますからね。税理士さんも、e-Taxに移行していっています。少なくともe-Taxの知識は持っておいたほうがよいでしょう。

「タイム・イズ・マネー」。時は金なり。個人事業主やフリーランスにとっては、特にそうです。だからこそ、確定申告に追われる時間は、なるべく少なくしたいものです。

より効率的に確定申告を行うために、窓口に足を運ばずに済む方法をぜひ、今一度、検討してみてください。

  • 2020年5月25日をもって「マイナンバー通知カード」は廃止されました。今後、新たにマイナンバーが交付される方には「個人番号通知書」により、マイナンバーが通知されます。

なお、「通知カード」廃止後も住民票との記載が一致している場合に限り、マイナンバーを証明する書類として「通知カード」を引き続き利用できます。「個人番号通知書」はマイナンバーの証明書類としては利用できないので、ご注意ください。
詳しくは、「マイナンバー通知カードが廃止に。もう使えなくなる?確定申告への影響は?」をご確認ください。

photo:Getty Images

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この記事の執筆者柳原つつじ

出版社勤務を経て、フリーエディター、コラムニスト。歴史、伝記・評伝、経営、書評、ITなどを得意ジャンルとして、別名義で著作多数。ここでは、脱サラフリーランスならではの視点で、お役立ち情報をお届けしたいと思います。

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