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法人税って?種類や税率、計算方法まで税理士が徹底解説!

公開日:

執筆者:渋田貴正(税理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士)

法人税って?種類や税率、計算方法まで税理士が徹底解説!

会社が納める法人税。制度が複雑で、申告書の様式も何をどこに書いてよいのか分からないくらい細かいです。所得税の確定申告はできた人でも、法人税の申告までできるわけではありません。とはいえ、自分が納める税金。制度概要は知っておいてもよいのではないでしょうか?今回は、法人税について概要を解説します。



POINT
  • 法人税、法人住民税、法人事業税を総称して法人税等という。
  • 法人税等の申告期限や納付期限は原則として、決算日から2か月以内である
  • 法人税の税額控除や、損金算入の特例を使えば、法人税等の納税額を減らすことが可能である

法人税とは?どんな種類がある?

法人税とは一言でいえば、法人の利益にかかる税金のことをいいます。しかし、一口に法人税といっても、いくつかの種類に分かれています。どのような種類の税金があるのかということを整理してみましょう。

法人税

法人の利益にかかる税金で最も代表的なのが法人税です。これは国税といって、国(税務署)に納める税金です。個人でいうと所得税のようなものです。厳密にいえば、税法上は利益ではなく、「所得」という言葉を使いますが、分かりやすいように、「利益」という言葉を使います。

法人の利益にかかる税金という意味で、次に説明する法人住民税や法人事業税を含めて広義で「法人税」という言葉を使うこともありますが、狭義にはこの税務署に納付する税金のことを指して、「法人税」ということもあります。以下では、混乱を避けるために、法人の利益にかかる税金という意味では「法人税等」という言葉を使うことで区別します。

法人住民税

法人にも個人と同じように住民税がかかります。この法人住民税は、大きく分けて「法人税割」と「均等割」の2つで成り立っています。この2つを合わせて、法人住民税といいます。

一つが「法人税割」と呼ばれるものです。これは税務署に納める法人税の額に、あらかじめ決められた税率をかけて計算します。法人税の額自体が利益をもとに計算されているので、法人税割も間接的に法人の利益をベースに計算されているといえます。法人税割は法人税の金額が計算のベースになりますので、赤字の会社のように、法人税が発生しない場合には納付する必要がありません。

もう一つが「均等割」と呼ばれるものです。こちらは、資本金などの金額や従業員数に応じて固定の金額を納めるものです。よく、「赤字でも税金7万円は納めなければならない」といったことを聞きますが、その正体がこの均等割です。

法人税は国に対して納めるのに対して、法人住民税は、オフィス・店舗が所在している都道府県や市町村に対して納めます。

法人事業税

法人事業税は都道府県に対して納めます。

法人事業税も法人住民税と同じくいくつかの区分に分かれています。その中でも、ほとんどの法人は「所得割」といって、法人の利益に対して課税される分のみを支払います。税率の違いはありますが、国に納める法人税と同じようなものです。

しかし、資本金が1億円を超える規模の会社では、所得割のほかに、「付加価値割」「資本割」という区分も加わります。これを外形標準課税といいます。各区分の計算の詳細は割愛しますが、その名の通り企業の利益ではなく企業の規模を基準に課税するものです。法人住民税の均等割に近いといえるかもしれません。

ただし、繰り返しになりますが、外形標準課税は資本金1億円以上の会社に対してのみ課税されます。ほとんどの会社にとっては縁のない税金です。

法人税が課される法人と課されない法人の違いは?

法人税や法人事業税は、最初に書いた通り、利益に対して課税されます。法人住民税の均等割については赤字でも課税されるという例外がありますが、赤字の会社に対しては、法人税や法人事業税、法人住民税の法人税割の課税は行われません。

しかし、赤字の会社といっても、もしかしたら法人税等の計算上は赤字として扱われないこともあり得ますので、注意が必要です。実は、法人税等を計算する上では、いくつか普通の経理とは違うルールが適用されるのです。

まず、最も有名だと思われるのが、役員報酬の制限です。役員への報酬には、毎月支払う給与部分と、臨時で払う賞与部分があります。法人税を計算する上でのルール上、給与部分は原則として毎月定額でなければいけない、賞与部分は事業年度の初め(遅くとも事業年度開始から4カ月以内)に税務署に対して賞与を支払う旨の届け出をしておかなければいけない、といった制限があります。

特に一人社長の会社などでは、自分の給与は裁量で決められますので、法人税の計算上制限を設けることで、法人の利益を調整することを防止しているのです。

その他、交際費は、資本金1億円以下の中小企業については年間800万円までしか費用として認められないといったルールがあります。

これらは一例で、ここですべてを紹介することはできませんが、少なくとも決算書上は赤字でも、法人税等を計算するためのルールを適用した結果、法人税計算上は黒字になった、ということにもなりかねません。このあたりは、税理士のアドバイスを受けながら、ムダな法人税が発生しないように管理しましょう。

法人税の税率と計算方法、申告書類や申告期限は?

法人税、法人住民税、法人事業税については、税率が定められています。また、申告書の提出期限も厳密に定められています。

法人税の税率と計算方法

法人税等の中でも代表的な法人税の税率については以下の通りです。

資本金1億円以下の法人年800万円以下の利益15%
年800万円超の利益23.20%
上記以外の普通法人23.20%

このように、資本金1億円以下の法人は税率が2段階に分かれています。課税される利益が800万円を超えると税率が上がる仕組みとなっています。7段階ある所得税に比べて、かなりシンプルな税率になっています。800万円を超えると、いきなりすべての利益について上がった後の税率が適用されるわけではなく、800万円を超えた部分にだけ適用されます。

ここで忘れてはいけないのが、法人住民税や法人事業税です。これらも自治体によって税率が定められています。これらの税金は各自治体が税率を定めていますので、申告する自治体のサイトで税率を確認しておきましょう。

法人税等の申告書類

法人税等の申告には、それぞれ提出すべき書類が定められています。多くの法人は顧問税理士が申告書を作成しますので、提出する書類の種類について、それほど注意を払うことはないかもしれません。

しかし、中には自社で申告書を作成しようということもあるかもしれません。法人税をはじめ、各税金の書式は数多くあります。一つ一つの書式について解説していると、キリがありませんので、いくつかのポイントだけ説明します。

まず、各申告書の提出の際は、手元控え用も用意しておきましょう。各役所に提出するとその書類自体は手元に残りません。どのような内容の書類を提出したのかを分かるようにするために控え用もあわせて役所に提出しましょう。

控えについては、受理印を押して返却してもらえます。融資の申込みの際に金融機関から、「法人税申告書の控」の提出を求められる場合、この受理印の有無がチェックされることがあります。

また、申告書のほか、毎月の請求書や領収書など、数字の裏付けとなる書類も数多くあると思います。

しかし、その書類については役所への提出は不要です。提出が必要なのは、あくまで申告書など決められた様式の書類だけです。領収書などは手元で保管しておきましょう。

法人税等の申告期限

法人税等の申告期限は、原則として決算日から2カ月以内です。(2カ月後の月末が土日祝など役所の休日であれば、期限も後ろ倒しになります。)

ただし、申告期限の延長の特例の申請を行えば、申告期限を1カ月伸ばすことができます。とはいえ、法定の期限を伸ばすからには事情が必要です。

例えば決算を確定するための株主総会の開催が決算日から2カ月以内に開催されないため、申告書が作成できないなどの理由です。この申請は、適用を受けようとする事業年度終了の日までに提出が必要です。

ただし、新型コロナウイルスの影響により、申告書の提出が間に合わない場合は、申告期限の延長が認められます。間に合わない理由は税務署に届ける必要がなく、申告書の余白に、「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と記載しておけばよい、ということになっています。延長の期限も指定されていないため、提出が可能となった段階で提出すればよいでしょう。

法人税の納付期限と納付方法は?

法人税の納付期限と納付方法について解説します。

法人税の納付期限

法人税等の納付期限は、申告書の提出期限と同じです。原則として決算日から2カ月以内です(2カ月後の月末が土日祝など役所の休日であれば、期限も後ろ倒しになります)。

ここで重要なのが、申告期限の延長の特例との関係です。申告期限の延長ができたとしても、実は納付期限は決算日から2カ月以内のままなのです。結局のところ、申告期限を1カ月延長できたとしても、納付期限が変わらない以上は2カ月以内に申告書を完成させなければいけないということです。

大企業では、実務的に2カ月では決算が確定せず、仮納付のような形でいったん納付して、決算確定後に、改めて差額を納付等して精算するということもあります。

しかし、これはそれなりな規模の会社での話です。そうでなければ、申告期限の延長は当てにせず、2カ月以内に申告・納税を行うことを心がけましょう。

現金納付

納付方法について、最もスタンダードなのが現金納付でしょう。法人税であれば、税務署で納付書を配布していますし、法人住民税や法人事業税については、ほとんどの自治体のサイトに納付書のファイルがダウンロードできるようになっています。また、決算日から1カ月程度で、各役所から納付書などを同封した申告用の封筒が届きますので、そちらを使用してもよいでしょう。

法人住民税や法人事業税については、納付できる金融機関が限られていることがありますので、納付に行く前に、その金融機関で納付ができるかどうかを確認しておきましょう。

クレジットカードによる納付

法人税については、クレジットカードでの納付も可能です。

納付には、決済手数料がかかりますが、金融機関の窓口で並ぶ時間を節約できます。また、その他の決済同様にクレジットカードのポイントもたまりますので、そのあたりを考慮して利用するかどうかを決めればよいでしょう。

法人住民税や法人事業税については、自治体によってクレジットカード納付に対応しているところとしていないところがあります。自治体のサイトで確認しておきましょう。

e-Taxによる電子納付

e-Taxによる納付もできます。この場合は、e-Taxで利用者識別番号などの情報を打ち込むことで、ペイジーという電子納付のためのコードが発行されます。それを使って、ATMやネットバンキングで納付をします。金融機関によって、ペイジーに対応しているところとしていないところがありますので、あらかじめ確認しておきましょう。

法人税の節税方法はある?

納める法人税を少なくする方法はいくつかあります。その中でも、今回はいくつか主だったものをご紹介します。

特別控除を利用する

法人税等を減らすために、最もインパクトがあるのが特別控除です。税額自体をダイレクトに減らすので、納税額への影響も大きいです。

特に中小企業にとって最も活用しやすいのが、「所得拡大促進税制」です。前事業年度と、従業員の給与を比較して、一定率上昇していれば、その差額の15%(一定の基準を満たせば25%)の法人税の税額控除を受けられます。法人税が減れば、法人住民税の法人税割も減りますので、税額控除もそれなりの金額になることがあります。

このほかにも数多くの控除がありますが、いずれも適用要件の判定が難しく、税務署に提出する書類も多いため、税理士と相談しながら進めるのが通常です。

損金に算入されるものを増やす

損金とは法人税の用語で、一般的には費用と思っておけばよいです。費用が増えれば、その分黒字が少なくなりますので、納める法人税等も少なくなります。

しかし、費用に入れてよいのは、もちろん事業で使用したものだけです。手元にある領収書を、プライベートなもの含めて何でも入れるわけにはいきません。

正確な決算書の作成のために買掛金や未払金などは漏れなく計上するということは当然として、何か法人税法上の制度を生かして、損金を増やすことはできるのでしょうか?そこで、ここでは、法人税の計算のための特有の制度を紹介します。

最も活用されている制度が、青色申告の承認を受けている法人が適用を受けられる「中小企業者等の少額減価償却資産の特例」でしょう。

通常は固定資産といえば、減価償却といって、決められた年数に分割して取得額を経費に計上するので、購入した年度で購入額全額を経費に入れることはできません。

しかし、この制度を活用すれば、取得額が30万円未満であれば、購入した事業年度に一括して損金に算入できます(適用できるのは、この制度の適用を受ける固定資産の取得額の合計額が300万円に達するまでです。)

この制度は従業員500人以下(令和2年3月31日までは1,000人以下)の法人が対象です。今のところ、令和4年3月31日までの購入に適用されます。ちなみに期限が来るたびに対象や規模などの見直しがある場合もありますが、延長されています。

もう一つが、短期前払費用の活用です。通常1年分の費用を前払いすれば、月で按分した額を計上するのが基本です。

しかし、例えば家賃や保険料などを1年分前払いすれば、来期にかかる分も含めて一気に支払った年度で計上することができます。

ただし、コンサルティング料金や顧問料など、サービスの主体が人である場合には、使えない点に注意が必要です。短期前払費用に該当するかどうかは税理士にしっかりと確認しましょう。

また、先ほど書いたように、交際費の限度額である800万円まで交際費の金額を抑えるなどして、可能な限り損金に計上できる費用を最大にできるように気を使うことも大切です。(そもそも交際費が年間800万円に達するような法人はそれほど多くはありませんが。)

定められたルールの範囲内で、使える制度はどんどん使って、納める法人税等はできる限り抑えましょう。

益金を減らす

益金とは法人税の用語で、ざっくり「売上」ととらえておけばよいでしょう。損金を増やす方法については前述しましたが、その逆が益金を減らして、課税される利益を減らすということです。

もちろん売上は漏れなく計上しなければなりません。益金を意図的に減らすということはあり得ませんが、例えば期末納品予定の商品の納期が数日後にずれ込めば、その分の売上は翌期の計上となります。相手あってのことなので結果の話になりますが、納期がずれれば、その分売上もずれるということになります。

まとめ

法人税は、利益にかかる税金です。納税は年1回ですが、毎月の経理業務をしっかりと行っておけば、損益の金額もある程度見通せます。損益の金額が分かれば、利益に連動する法人税等の納税額を予測することも可能です。

弥生会計のように会計ソフトを使うことで、毎月の損益を把握しておけば、期末の納税額の予測も立てやすくなります。期末の納税予測のためにも、毎月の経理業務はしっかりと行いましょう。

photo:Getty Images

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この記事の執筆者

渋田貴正(税理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士)
渋田貴正(税理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士)

税理士、司法書士、社会保険労務士、行政書士、起業コンサルタント(R)。
1984年富山県生まれ。東京大学経済学部卒。
大学卒業後、大手食品メーカーや外資系専門商社にて財務・経理担当として勤務。
在職中に税理士、司法書士、社会保険労務士の資格を取得。2012年独立し、司法書士事務所開設。
2013年にV-Spiritsグループに合流し税理士登録。現在は、税理士・司法書士・社会保険労務士として、税務・人事労務全般の業務を行う。

・V-Spirits

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