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エンタメ関係者は必読!新型コロナきっかけで始めたYouTubeの経費、投げ銭やクラウドファンディングの計上方法は?

公開日:

執筆者:矢郷真裕子

エンタメ業界関係者は必読!新型コロナがきっかけで始めたYouTubeの経費、投げ銭やクラウドファンディングの計上方法は?

新型コロナウイルス感染症の影響により、お笑いや音楽、演劇など、劇場やライブハウスでの活動ができなくなってしまい、活動の場をYouTubeへの動画アップやnoteでの執筆などに求めたり、クラウドファンディングで資金集めを始めたりしたエンターテインメントやクリエイティブ業界で活動する個人事業主の方も多いでしょう。

今回は、給付金の帳簿上の処理や、YouTubeやnoteの作品にかかった出費を経費にする際の注意点、ファンからもらった投げ銭やクラウドファンディング資金の計上方法について、公認会計士兼税理士の星野さんと、MENSA会員の一平さんによる超インテリお笑いコンビ・Gパンパンダのお二人と一緒が解説します。

※この取材はオンライン会議ツールを使用し、リモートでインタビューしたものです。



Gパンパンダ

Gパンパンダ

ワタナベエンターテインメント所属、公認会計士兼税理士の星野光樹さん(左)と、MENSA会員の一平さん(右)という超インテリお笑いコンビ。筑波大学附属中学校・高校、早稲田大学商学部の同級生。ワタナベコメディスクール24期生。NHK「平成30年度新人お笑い大賞」優勝。星野さんのnoteでは、税に関するお役立ち情報を解説中。

給付金の帳簿上の処理は?外出自粛期間中の活動で発生したお金、どこまで経費にできる?

ライター

――前編「【新型コロナ】芸人やアーティストの個人事業主がすぐ確認したい支払い猶予制度や給付金」では、税金や公共料金など支払い猶予の制度や給付金について見てきました。今回は、給付金の帳簿上の処理、YouTubeやnoteの作品にかかった出費を経費にする際の注意点、ファンからもらった投げ銭やクラウドファンディング資金の計上方法についてうかがっていきます。さっそくですが、給付金を実際に受け取った後、帳簿上での会計処理はどのようにしたらいいのでしょうか?

星野

星野:10万円の特別定額給付金については、非課税となっています。一方で持続化給付金については、課税制度となることが明らかになりました。事業所得の収入として処理するものと思われます。

一平

一平:仕訳的には、どう書けばいいの?

星野

星野:特別定額給付金が事業用の口座に入金される場合には、借方は普通預金、貸方は事業主借といった形で処理をして、税額に影響が出ないようにします。

(例)特別定額給付金10万円が事業用の口座に入金された

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
普通預金100,000事業主貸100,000

一方で持続化給付金については、借方は普通預金、貸方は雑収入(その他の収入)となると見込まれます。収入には計上しますが、通常の売上と区別することが望まれます。

(例)持続化給付金100万円が事業用の口座に入金された

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
普通預金1,000,000雑収入(その他の収入)1,000,000

ライター

――新型コロナ対策などで経費にできそうなものは、何かありますか?

星野

星野:......恒例の、がめつい質問ですね(笑)。

一平

一平:節税できるなら、どんなものでも使いたいんですよ!どうですか!星野先生!お笑い芸人の場合だと、「ライブができない代わりに動画配信を始めたので、それに使う機材の購入費を経費にしたい!」って感じのイメージかな?

星野

星野:外出自粛期間中の、皆さんのおうちでの活動費がどこまで経費になるか、というところで考えると、これは他のビジネスと同じ考え方です。「それは趣味としてやっているんですか?それとも、仕事の売上に繋げようとしてやっているんですか?」ということが客観的にわかるかどうかが、判断基準ですかね。

一平

一平:新型コロナ対策は趣味じゃないよ!趣味でやってる人なんかいないよ!

星野

星野:わかる、わかる、それはわかるよ......(苦笑)。たとえば話題になったもので言うと、「SNS上のギャグ動画リレーのために小道具を買いました」という場合は、その費用を経費にするのは厳しいかな、と思います。それは収入に繋がる活動ではないので。

一平

一平:いや!SNSでの広告宣伝費じゃん!立派な広告活動だよ!頭が固いな~。

星野

星野:......じゃあOKです!SNSに使ったものは経費で大丈夫!

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一平

一平:責められたからって、そんな適当なこと言っちゃダメよ(笑)。

星野

星野:結局のところ、活動を反復・継続しておこなって収入を得ることを、事業としてみなすわけです。同じ活動や取り組みを続け、それをずっと安定させて稼いでいるかどうかという観点が、事業の判定要件になるので、「一過性のギャグ動画リレーをやりました」というだけだったら、それは事業としての継続性がないでしょう、と思われる可能性が大きいんじゃないかなと。裏を返せば、「外出自粛期間中、ライブ配信を行うためにZoomの有料会員になりました」という場合、継続的に配信をやっていることが確認できれば、それは経費として認められやすいでしょうね。

一平

一平:「この外出自粛期間を機に、新しくYouTubeチャンネルを開設しました!」という場合も、それに使った機材や道具のお金は経費になる?

星野

星野:YouTubeのチャンネルが収益化されていたら、絶対に経費になると思いますが、「新しく始めました」という場合は、今後どうなっていくか次第だと思いますね。この4月に開設したものの、「新型コロナが収束したら、もう更新はやめました」という場合だと、「事業ではなく、単なる思いつきでやった行動なんじゃないか」と思われても仕方ないでしょう。これを機に、毎週とか毎月更新をするようになったら、ちゃんとお笑い芸人の事業として頑張ろうとしていることが客観的にわかると思うんですけど。

一平

一平:なるほどね~。活動を続けていかないとダメなんだね。

星野

星野:「今後も定期的に力を入れてYouTubeをやっていきます」という場合は、撮影や編集に使ったものの領収書やレシートは取っておくといいでしょう。

ライター

――今後継続するかどうかはちょっとわからないけど、あくまでも「外出自粛期間中も頑張って仕事をしています」というアピールのためにYouTubeなどをやっているという場合は、この期間中だけでも、その活動にかかった費用を広告宣伝費として計上することはできないでしょうか?

星野

星野:新型コロナの外出自粛期間中だけでも活動をやり通しているのであれば、経費だとアピールすることはできると思います。これまではライブで継続して表現していたものを、この期間だけは配信で継続的に表現しているとします。そこで、「お笑い芸人として活動をしていて、ライブで活動している時期は小道具などのお金がかかっていたけれど、外出自粛期間は配信で活動をしているのでこういったお金がかかります。全体としてみれば、お笑い芸人として継続的に事業を行っているんです」という形であれば、納得感のある経費の説明ができるかなと。

ライター

――たとえば、家事按分で通信費の割合が少し増えるケースなども考えられますか?

星野

星野:自宅で仕事をする時間や、活動領域が増えたのであれば、按分の比率を上げて、経費も増えるでしょうね。

一平

一平:僕のうちに椅子はないんだけど、テーブルが1個あるんだよ。で、今まではベッドに腰かけてそのテーブルで作業をしていたんだけど、この外出自粛期間はベッドに横たわって作業をするようになったから、六畳の部屋の中で占める事業用の敷地の割合がちょっと増えたんだよね。これは経費も増えるってことで......。

星野

星野:おい。家事按分なめんなよ。

一平

一平:本当に!大変なのよ!椅子がないから!

星野

星野:作業時に楽な姿勢を取るようになったので、経費が増えるっていうこと?

一平

一平:そうです。体が横になったから、一畳分くらいは増えてるんだよね。

星野

星野:でも、その一畳をベッドとして使っているならダメだよね。

一平

一平:うーん。家にいる時間の3分の1はベッド、3分の2は仕事場という扱いなんだけどね。

星野

星野:本当に在宅時間の3分の2も、仕事のためだけにベッドを使っているなら、そういう計算の仕方もあるかもしれないけどね。

一平

一平:ちょっとお昼寝もしてる。

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星野

星野:じゃあ、ちょっと按分も減ります。

ライター

――一平さん、計算はちゃんと事業の実態に即した家事按分をしてください(笑)。中止になってしまったイベントやライブで使おうと思っていたものや会場費は、経費として認められますか?

星野

星野:元々、仕事としてやる予定だったイベントやライブなのであれば、これは一平くんの変なベッドの主張と違って、ちゃんと認められると思いますね。

一平

一平:でも、経費にして節税できても、還付金として返ってくるのはめちゃくちゃ後だから、資金繰りへの即効性は薄いよな~。手元のお金が厳しかったら、支払い猶予や給付金を使いながら、経費にできるものがないか探していくのがいいかもしれないね。

クラウドファンディングやネット上の投げ銭について、会計処理の注意点は?

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ライター

――アーティスト活動などをされている方が、ファンからクラウドファンディングやYouTube、noteなどの投げ銭といった支援を受け取った場合、計上の仕方や、課税対象になるのかどうかについても教えてください。

一平

一平:確かにどれも前からあった仕組みだけど、この外出自粛期間中に、クラウドファンディングや投げ銭を利用してる人が増えたもんな。

星野

星野:まずクラウドファンディングは、"購入型"と"寄付型"が主な2つのパターンで、それとは別に"投資型"と"融資型"というものもあります。僕たちの身近なお笑い業界でよくあるのは、リターンがあるもの。「芸人がお返しとして何かを送ります」というような形ですね。その形式が、購入型にあたります。つまり、商品を売っているのと同じような意味合いであるため、これは売上として計上する必要があります。

一平

一平:売買がおこなわれているようなイメージなんだね。

星野

星野:一方で、寄付型というのは、「購入型のようなリターンはなく、純粋に支援を受ける」という場合のクラウドファンディングですね。これは完全に寄付と同じだとみなされるため、個人から個人へのお金の受け渡しであれば、所得税ではなく贈与税の対象になることが考えられます。具体的には、年間110万円を超えたら贈与税がかかりますね。

一平

一平:寄付型で得たお金だと、仕訳の方法は事業主借でいいの?

星野

星野:所得税上は事業主借として、特に税金は発生しません。ただし、普段やっている確定申告とは別の手続きをして贈与税を納める必要性が、あり得なくはないでしょう。あとは、あまりないケースですが、法人が見返りのない個人のクラウドファンディングにお金を入れてくれた場合です。

一平

一平:このケース、意外にあるんじゃない?有力な焼肉屋さんが、クラウドファンディングに協力してくれたとか!

星野

星野:どうして焼肉屋さん限定なのかはわかりませんが(笑)、この場合に関しては、受け取った側の個人に所得税がかかります。

一平

一平:え!なんで?

星野

星野:これは単純に、お金を個人からもらうか、法人からもらうかで、税制が違うからです。いずれにせよクラウドファンディングに関しては、実態として自分が商品を売っているのか、それとも支援者の良心でお金をもらっているのかというところで、会計処理が変わってくるはずです。

ライター

――新型コロナをきっかけに個人事業主がクラウドファンディングに挑戦してみて、金額が110万円を超えた場合は、贈与税の対象になるかもしれないという点は要注意ですね。

一平

一平:複数人でクラウドファンディングをやった場合は、どうすればいい?みんなで分け分けして計上すればOK?

星野

星野:そうですね。しっかり採算が合っていれば大丈夫だと思います。

ライター

――YouTubeやnoteの投げ銭機能などで得たお金の会計処理は、どういう扱いになりますか?

星野

星野:これは、その活動が事業としてみなされるかどうかによりますね。たとえばお笑い芸人が自分の芸名で何かをアップしていたら、それは芸人の事業の一環としてみなされると思うので、そこで得た投げ銭は事業所得だと考えるほうがいいですね。ただし、一般の方が趣味でアップしたものや、本来の事業とは異なる分野の内容で投げ銭を得た場合は、経費の考え方と同様に、反復・継続してお金を儲けているのなら事業所得になるんですけど、そうじゃないということであれば雑所得になるんじゃないでしょうか 。

必要な情報をうまく集めて、苦境を乗り越えよう!

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ライター

――星野先生は、個人事業主やフリーランス向けの支援策などについては、どういったものを参考にしていますか?「このホームページを見ておくといいよ」など、わかりやすいものがあれば教えていただきたいです!

星野

星野:一番確実なのは、各省庁のホームページですね。

一平

一平:無理だよ!あんな堅苦しいの読めないよ!

星野

星野:新型コロナ関連の事柄については、気になっている人が多いので、いろいろな人が内容がわかるよう意外にやさしく書いてあるんですよ。僕の情報源としては、経済産業省、総務省、厚生労働省、スポーツ庁、文化庁のホームページは見るようにしています。それぞれ最新の情報が載っているので。

ライター

――スポーツ庁や文化庁はあまり意識していませんでしたが、どのようなことが載っているんですか?

星野

星野:一例としては、イベントのチケットを購入した人向けの情報なんですが、あえてそのチケットの払い戻しをしなかった場合、寄附金控除が受けられるという制度の話などが載っていました。新型コロナの影響で、アーティストのライブが中止になったことが今までたくさんありましたし、これからもたくさんあると思うんです。その際、スポーツ庁や文化庁が認めた一定のイベントに関しては、「チケットの払い戻しをしません」という申請をすることによって、そのチケット代を応援しているアーティストの収益にできます。かつ、それが寄付扱いになるので、寄附金控除も使えるよ、という内容でしたね。

一平

一平:そんなお得情報が書いてあるんだ!全然知らなかった。

星野

星野:文化庁のホームページには、「文化芸術に関わる全ての皆様へ」というメッセージや、「文化芸術関係者向けQ&A(新型コロナウイルス関連)」のページなどもあります。

一平

一平:僕たち芸人にも役立ちそうじゃん!もっとガンガン発信してよ~。

星野

星野:うーん。かなり頑張って発信しているとは思うんですが、僕たちのような個人事業主が省庁に届くルートをあまり持っていないので、なかなか響いていないのかもしれません。でも、スポーツ関連の活動や、クリエイティブな活動をされている個人事業主の方には、スポーツ庁や文化庁のホームページも参考になりそうです。

一平

一平:省庁もいいけど、新型コロナに関するお金の情報源にするなら、星野のnoteが一番いいよ!個人事業主は全員必見!!

星野

星野:そうですね~。堅苦しいことが苦手な方向けに、できる限りわかりやすく、新型コロナ関連の支援策などについて今後も書いていくつもりなので。

ライター

――星野先生のnoteは本当に読みやすいので、私も参考にしています。それでは最後に、この記事を読んでいる方へのメッセージをお願いします。

一平

一平:個人事業主には、お金や制度に関する細かいことが苦手な人もすごく多いとは思うんですけど、ここはひとつ、『スモビバ!』の記事と星野のnoteを読んで、給付金の申請などは効率的に終わらせましょう!今はいろいろな支払いの猶予や給付金のチャンスなので、面倒くさがらずに!

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星野

星野:僕たちは、これまでだったらライブでいろいろな表現をするということが当たり前だったのですが、これからもその当たり前がどんどん変わることになっていくと思います。その分、新しい発見もたくさんあると思うので、「新しい場所で、こういう表現ができるんだなぁ」ということを見つける楽しさを、皆さんでそれぞれ作っていけたらいいなと!

ライター

――そうですね!ピンチの中には、新たな発見があるかもしれません。

星野

星野:そして給付金関連については、ようやくインテリ芸人という部分で活躍できるときが来たな~、と(笑)。普段、インテリは鼻につくだけなんですけど、僕たちはインテリ芸人としてここが頑張り時だなと思っています。

一平

一平:インテリ芸人という分野では、2019年の消費税の増税以来に波が来ましたね。

星野

星野:僕たちに波が来るときは、国民が嬉しくないときが多いので、ちょっと嫌ですけどね......(苦笑)。

一平

一平:いやいや。皆さんの助けになるように、インテリなところを活かしていこうよ!

星野

星野:Gパンパンダで頑張って情報を発信していこうと思っていますので、ぜひチェックしてみてください!

ライター

――個人事業主の皆さんが、思いがけない状況の中でもお仕事を続けていくためには、前向きな希望とともに資金繰りも大切です。いろいろな支援策や制度を活用し、苦境を乗り越えていきましょう!

本文写真撮影(スクリーンショット以外):沼田学

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この記事の執筆者

矢郷真裕子
矢郷真裕子

編集者・ライター。出版社勤務を経てフリーランスに。手がけてきた分野はエンターテインメント(お笑い・音楽)、グルメ、衣料(ファッション)、児童、占い、街ブラ、ライトノベルなど。

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